経済
今朝の朝日新聞に租税特別措置の批判記事がありました。 税制は「公平・中立・簡素」という原則がありますが、その例外として特別に認められた措置で、現在369項目あって、全て知っている方はほぼいないでしょう。 総務省は毎年秋、それぞれの租税特別措置の…
2008年の世界金融危機の時、多くの人はこう考えました。 「デリバティブなどの訳の分からない金融商品がのさばっていたから、巨大な経済バブルが発生した」 私も、ほぼ同意見です。サブプライムローンという住宅の借金を債権に変えるなど、誰でもおかしいと…
今朝の朝日新聞を読んで、笑っていけないと思わないながらも笑ってしまう特集記事がありました。ラピダスとTSMCの新規半導体事業にどちらも1兆円以上も公費が投じられて、失敗するとほぼ断定されている記事です。 私は半導体の専門家ではありませんが、三菱…
コロナ禍により開業医の収入は激減しました。初期に「あのクリニックでコロナが出た」などの風評被害があったり、新型コロナを警戒して患者が受診を控えたりしたからです。病院も収入が減りましたが、補助金が出ましたし、そもそも勤務医の給与は患者の多寡…
前回の記事に書いたように、経済対策の補助金は、「基金」として支出され、独立行政法人や一般社団法人にピンハネされた後、民間の大企業でピンハネされ、分配される制度が確立しているようです。 その二段階ピンハネ事業のうち15%の29基金では、実質的に20…
国家支出で、つまり税金で、燃料油価格激変基金が3兆円もある、と今朝の朝日新聞で知り、驚きました。現在の日本の国家予算は110兆円程度で、年間3兆円以上の売上のある企業となると、日本に50ほどしかありません。利益が年間3兆円もある企業など、日本に一…
前回の記事の続きです。 第二次世界大戦の失敗を例に、「日本は撤退戦が苦手だ」という評価があります。しかし、日本に限らず、撤退戦はほぼ全ての国や組織にとって苦手でしょう。「天才経営者などいない」で「どの時代、どの社会であっても、『名経営者だっ…
「GE帝国盛衰史」(トーマス・グリタ、テッド・マン著、ダイヤモンド社)は素晴らしい本でした。GEの経営がおかしいことは今となっては常識ですが、ジャック・ウェルチがCEOの頃は革新的な経営手法でGEは成功しているとの見方が一般的でした。その最大の証拠…
私が生まれる前の話になりますが、「民主主義=資本主義」という考え方が、戦後から1970年代くらいの日本人には強くあったようです。昔の本を読むと、「共産主義VS民主主義」という言葉、あるいは考え方が、特に反共産主義派(資本主義擁護派)から頻出しま…
タイトルをより正確に修正すれば、「現在、注目されるべき程度と、実際に注目されている程度の差が最も大きい国はインドなので、インドは最も注目すべき」になります。 日本だと、この命題は間違いなく真でしょう。もう既にインドはG7の多くの国をGDPで抜い…
先日、久しぶりの海外旅行でバリ島に行きました。千年以上の歴史あるダンスのようで、実際は西洋人のために100年ほど前に作られたケチャダンスを観ていた時、妻が観客席を指して「人種のるつぼだね」と言っていました。 そこには500人くらいの観客がいたと思…
「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)は、累進課税こそ社会正義との考えで貫かれています。私もそれに異論は一切ありません。極端に貧しい者と極端に富める者もいない社会は、有史以来、人類普遍の理想だと私は信…
このブログを読むような方なら、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」というトリクルダウン理論は知っているでしょう。これが間違っていることは、次のグラフで一目瞭然です。 「つくられた格差」(エマニュエル・サ…
ソ連が崩壊した頃から、多くの先進国は自由競争を重視し、富裕者へ課税率を下げ、貧富の差が拡大しています。当時から現在まで、ほとんどの先進国は民主主義国家です。古今東西全ての社会で、富裕者は一部で、大多数の一般人は富裕ではありません。だとした…
「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)によると、いつの時代であれ、法人税の主な存在理由は租税回避の防止にありました。法人税が個人所得税と同時に生まれた理由も、そこにあります。 資本を持たない被雇用者は個…
「法人税がゼロでいい」理論の誤りをこの記事と次の記事で示します。この記事では、「(法人税を含む)資本所得の税率はゼロがいい」理論の誤りを示します。根拠は全て「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)です。 …
「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)は私の長年の疑問に答えを出してくれた素晴らしい本でした。 極端に貧しい者もおらず、極端に富める者もいない社会は、誰もが理想とするはずです。1990年頃の日本は、見方によ…
韓国の不動産バブルが崩壊しはじめました。ここ10年ほどの韓国の地価の値上がりは異常で「まるでバブル時代の日本のようだ」と何度も言われ、いずれバブルが崩壊すると多くの経済専門家が指摘していたのに、「不動産価値が上がって資産が倍増した」などと能…
「東芝の悲劇」を読んで、私が一番感じていたのは前回の記事で論じた「経営者の資質」などではなく、「日本はこのまま上手く衰退していけるのだろうか」でした。日本企業の「お公家さん」である東芝でさえ、引き際にここまで無様な醜態をさらしました。日本…
「東芝の悲劇」(大鹿靖明著、幻冬舎文庫)は素晴らしい本でした。「日本人である前に人間である」に書いたように、ほとんどの日本人ジャーナリストは取材相手に接する間に取材相手に取り込まれて、偏った見解を報道するのが一般的ですが、著者は取材相手を…
「日本経済の成長も衰退も全ては人口動態が根本原因である」に書いたように、日本が韓国に再逆転するとしたら、その最大の理由は人口動態にあると私は考えます。つまり、韓国が日本以上の少子高齢化により韓国経済の足を引っ張るからだと考えています。 とは…
「韓国社会の現在」(春木育美著、中公新書)からの引用です。 韓国では住民登録番号(日本のマイナンバーにあたる)を通じて、生年月日、性別、出生地、顔写真、10本の指紋、家族構成、行政サービス、納税、医療、銀行、教育、福祉、出入国管理、クレジット…
「韓国カルチャー」(伊東順子著、集英社新書)は「爆速」に変化する韓国という表現が頻出します。中国に住んだ経験のある私からすると、この表現には違和感がありました。もっと言えば、視野の狭さを感じました。 「変化のスピードが恐ろしく遅い時代」の日…
1990年頃は日本の存在感が世界で最も大きかった時代です。欧米諸国、特にアメリカの少なくない知識人は日本に追い抜かれる、あるいは、追い抜かれたと本気で考えていました。 日本人はアメリカ人より努力家で勤勉であり、停滞するアメリカと違い、日本は絶え…
韓国の大衆文化の本を3冊ほど読みました。「K-POP」(金成玟著、岩波新書)、「韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか」(菅野朋子著、文春新書)、「韓国カルチャー」(伊東順子著、集英社新書)です。まず驚いたのが、どの本も「韓国のポップカルチャーは…
コロナ禍前の統計ですが、日本にいる外国人の資格内訳は下の通りです。 「出稼ぎ目的の外国人が日本で実習生と留学生になる理由」に書いた通り、技能実習生だけでなく、留学生にも出稼ぎ目的の者が少なくありません。留学生は週28時間のアルバイトが認められ…
現状、なっていません。なれそうもありません。 特定技能が適応される2019年頃、頭の弱いコメンテーターが「既に日本は移民大国になっている。特定技能を導入したら、日本にさらに移民が押し寄せて、西洋の国と同様に外国人犯罪が多発する」と本気で心配する…
「ルポ技能実習生」(澤田晃宏著、ちくま新書)によると、ベトナム人労働者が払う韓国への渡航費はわずか7万円です。ベトナムで韓国語テストに合格しなければならないので、それにかかる費用も事実上必要になりますが、その韓国語習得費用も1万8千円程度です…
「ルポ技能実習生」(澤田晃宏著、ちくま新書)からの抜粋です。 日本の受入企業に採用されたベトナム人技能実習生は、4ヶ月から1年間、「訓練センター」の寮で寝泊まりして、朝から晩まで日本語と日本文化のスパルタ教育を受けます。送り出し機関自らが「軍…
多くの外国人技能実習生は70万円~100万円という莫大な渡航費を払って、日本に来ます。日本への航空券代はその10分の1程度なのに、他の費用は一体どうして生じているのでしょうか。それについて調べあげた貴重な本が「ルポ技能実習生」(澤田晃宏著、ちくま…