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経済縮小時代を迎える韓国と日本

韓国の不動産バブルが崩壊しはじめました。ここ10年ほどの韓国の地価の値上がりは異常で「まるでバブル時代の日本のようだ」と何度も言われ、いずれバブルが崩壊すると多くの経済専門家が指摘していたのに、「不動産価値が上がって資産が倍増した」などと能天気に喜ぶ韓国の一般人が少なくなかったのも、日本のバブル時代と同じでした。

もっとも、現在、世界的に注目されているのは韓国の不動産バブル崩壊ではなく、近いうちに始まる日本の不動産バブル崩壊でもなく、中国の不動産バブル崩壊です。バブル崩壊の規模が韓国と日本を合わせたものの数倍に及ぶからです。

中国の不動産バブル崩壊がどれくらいの悪影響を世界経済に及ぼすのかは私には予想不可能ですが、それでも中国経済は成長し続けると予想しています。その理由は、一人当たりのGDPで中国は日本や韓国と比べて低いので成長の余地があり、中国の就労人口がまだしばらく増えていくからです。

一方で、今回の韓国の不動産バブル崩壊が、1990年頃の日本の不動産バブル崩壊同様に、韓国衰退の始まりになる可能性は高いはずです。

バブル期まで日本には土地神話があり、地価は上がり続けると信じている日本人が多くいました。韓国も建国以来現在まで、一時的な小さな下落はあっても、基本的に地価は上昇し続けてしまいました。GDPが拡大したこともあり、今回の韓国土地神話崩壊により吹き飛ぶバブルの損害額は、四半世紀前のアジア通貨危機IMF危機)の損害額を越えるでしょう。これがどの程度の不況を韓国にもたらすかは私には予想不可能ですが、その不況を乗り越えても、これから韓国の存在感が世界で縮小していくことは避けられないと私は予想しています。中国と異なり、韓国の一人当たりGDPは日本に追いついて成長の余地がほとんどない上、韓国の就労人口は減少していく一方だからです。

私にとって不思議なのは「現在の韓国の不動産バブルは、1980年代後半の日本の不動産バブルのようだ」と予想する人は少なくないのに、「1990年のバブル崩壊が日本の停滞期と衰退期の始まりだったように、今回のバブル崩壊が韓国の停滞期と衰退期の始まりである」と予想する人がいないことです。

そういえば、1990年に株価が暴落し始めた頃、これから日本は衰退に向かい、世界経済全体での日本の割合が減少していく一方である、と正確に予想していた人はあまりいませんでした。バブル後の日本が高齢者増加で経済の足を引っ張ることは予想できても、科学技術、特にIT分野で世界に遅れ、生産性の低さで苦しむと予想することは難しかったからかもしれません。

それと比べると、韓国の不動産バブル崩壊は既に始まっていますし、人口減少も北朝鮮が崩壊しない限り必然なので、これからの韓国経済の停滞と衰退は予想しやすいように思います。

他国の衰退を予想するのは失礼なので誰もしないのかもしれませんが、日本(経済)の衰退も止められないので、韓国は日本と同じ問題を抱える仲間です。平成の30年間に日本は衰退を食い止めようと、さらに傷を深めてしまう失敗を何度も犯してきましたが、韓国も衰退を食い止めようとあがくに違いありません。日本が失敗経験とわずかな成功経験を韓国に適切に伝えれば、同じように韓国も自身の経験を日本に伝えてくれるはずです。

たとえば、韓国も少子化対策に「130兆ウォンも費やしたのに、全く効果がなく、解決する兆しもない」(文在寅大統領の演説)ので、既に無駄な努力をしてきています。その少子化対策費用の詳細を知れば、日本も大いに参考になるはずです。「未婚税と少子税と子ども補助金」や「養子移民政策」といった人権に抵触する解決策も、韓国が仲間になってくれるなら世界で議論できるでしょう。