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世界で最も注目すべき国はインドである

タイトルをより正確に修正すれば、「現在、注目されるべき程度と、実際に注目されている程度の差が最も大きい国はインドなので、インドは最も注目すべき」になります。

日本だと、この命題は間違いなく真でしょう。もう既にインドはG7の多くの国をGDPで抜いています。あと10年もしないうちに日本も抜いて、それから10年もしないうちにアメリカを抜くことも分かっています。恐ろしいほど巨大な経済国家が出現するにもかかわらず、日本だと、インドがニュースになる回数はアメリカの100分の1以下、あるいはイギリスの10分の1以下でしょう。アメリカはともかく、イギリスよりもインドの注目度が低いなど、時代錯誤も甚だしいです。

もっともインドの注目度が本来あるべき程度より極端に低いのは、日本だけではなく、旧宗主国のイギリスを除けば(あるいはイギリスを含めても)、世界中でそうだと推測します。そう考える根拠は、私が得る英語ニュースでもインドはほとんど記事になっていないからです。一方で、アメリカと並ぶ経済大国になり、かつ、軍事的脅威である中国は頻繁に記事になっています。

インドがニュースにならない理由はいろいろあるでしょうが、「中国はアメリカのようだが、インドはヨーロッパのようだ」に書いたように、インドが多様すぎて理解しづらい国になっていることも大きい、と私は考えています。その記事で「中国という一つの国に、1940年代から2030年代までの10年ごとの日本の経済レベルの地域が全て存在する」と書きましたが、インドについていえば「インドという一つの国に、1860年代から2010年代までの10年ごとの日本の経済レベルの地域が全て存在する」のではないでしょうか。ジニ係数では中国とインドでそれほど差がありませんが、実際に二つの国を観てきた私の推測です。

なお、インドへの無関心と比較すると、日本が関心を寄せすぎている国といえば、イギリスを筆頭としたヨーロッパの国々でしょう。一方で、インドに比べると関心が高い国で、イギリスと比べると関心が低すぎる国といえば、東南アジアの国々でしょうか。日本との地政学的関係、人口構成と天然資源、経済規模と成長率などを考慮すれば、日本の東南アジアへの関心は高すぎず、低すぎず、適度なのかもしれません。

ただし、東南アジアにもいろいろな国があるので、十把一絡げにしているのは不適切でしょう。

たとえば、日本のインドネシアへの関心は、その人口構成と天然資源、経済規模と成長率を考慮すれば、明らかに低すぎます。インドネシアは、インドに次いで2番目に、日本がもっと関心を持つべき国と考えます。一方で、主に第二次世界大戦の影響でしょうが、昔から関心が高い東南アジアの国の筆頭にあげられるのはミャンマーになるはずです。

この論理の流れからすれば、インドやインドネシアについてもっと書くべきなのですが、やはり日本だと情報が少なくて書きづらいです。日本人の国際認識にさらに悪影響を及ぼすかもしれませんが、次の記事ではミャンマー現代史について解説します。