日本の外交
「日米開戦の正体」(孫崎亨著、祥伝社)は素晴らしい本でした。 太平洋戦争はアメリカによって起こされたことを「日米開戦の正体」で示した、と著者が「アメリカに潰された政治家たち 」(孫崎亨著、河出文庫)に書いています。だから、「孫崎がまた陰謀論を…
「尊皇攘夷」(片山杜秀著、新潮選書)を読んで、日本の国粋主義の源流の一つに徳川光圀、つまり水戸黄門がいると分かりました。 幕末に盛んになった尊皇攘夷思想は、徳川光圀が創り上げた水戸学をほぼ踏襲しています。たとえば、「楠木正成忠君神話の矛盾を…
今朝の朝日新聞では、現在の世界情勢は戦間期(第一次世界大戦と第二次世界大戦の間)と似ていると主張していました。 2014年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、当時の安倍首相が日中関係を第一次世界大戦前の英独と似ていると発言して、世界中…
前回までの記事の続きです。 「戦争の大問題」(丹羽宇一郎著、東洋経済新報社)によると、尖閣諸島で日中が戦争すれば、日本がすぐに負けます。 核兵器を使えば日本が負けることは当たり前ですが、さすがに中国はこんな無人島のために、そこまでしないでし…
前回の記事の続きです。 「戦争の大問題」(丹羽宇一郎著、東洋経済新報社)を読んで、私は初めて認識したことですが、2002年9月、小泉純一郎と金正日が調印した日朝平壌宣言では、北朝鮮がNPT(核不拡散条約)を遵守し、IAEA(国際原子力機関)による査察を…
「戦争の大問題」(丹羽宇一郎著、東洋経済新報社)は素晴らしい本でした。以前、同じ著者の本を読んで、大したことないと思った記憶がありますが、その判断が間違っていたと思うほど質の高い本でした。 第二次世界大戦の経験から「負ける戦争は絶対してはい…
1992~1993年に日本を含めたPKOが民主選挙に貢献したカンボジアは、現在、経済力を背景とした中国の影響力が増し続け、民主主義も後退しています。2017年には最大野党のカンボジア救国党を政府権限で解党させるなど、民主主義国家としてはありえないほどの独…
今年3月10日のイランとサウジアラビアの国交正常化を中国が仲介したニュースには驚きました。対立する両国家の関係を正常化させるなど、国連など国際機関を除けば、アメリカとソ連(ロシア)くらいしかできなかった特権を中国が持ったのですから、私の世界観…
「幕末の動乱は不可避だったのか」の記事に誤解を生む表現があったので、訂正させてもらいます。 この記事では「当時のアメリカ側の文献を読めば読むほど、ペリーは日本と本気で戦争する意思はほとんどなく、アメリカ本国政府に至っては日本と戦争する意思な…
これまでの記事で明らかでしょう。断定します。間違いありません。アメリカやヨーロッパの報道をしている暇があったら、一文、一秒でも多く韓国について報道してください。 「反響が大きいから」「視聴率が高くなるから」という、くだらない理由で、韓国での…
ポツダム宣言受託で日本が無条件降伏した時、中国に105万の支那派遣軍(関東軍を除く中国派遣軍)がいました。一部の例外を除けば、日中戦争で日本は楽勝だったので、終戦時点でも、支那派遣軍のほとんどの兵士は「日本が勝っている」と信じて疑っていません…
前回までの記事に書いたように、カンボジアPKOの文民警察派遣は、失敗だらけでした。これは日本人文民警察官に限らず、どこの国の文民警察官も、まともに活躍できていません。目の前で殺人事件が起きても、文民警察官は見ているだけ、という体たらくで、治安…
前回までの記事の続きです。 1993年4月8日、UNTACのボランティアの日本人、中田厚仁が殺害されます。大阪大学法学部卒業で外資系コンサルタント会社に就職が決まっていたエリートで、1年間の休職を願い出て、カンボジアで国連ボランティアとして働いている中…
前回までの記事の続きです。 カンボジアPKOの75名の日本人文民警察官は、カンボジアもPKOの基礎知識もないまま現地に到着したので、「文民警察官とは何なのか」という疑問に誰もが突き当たることになりました。「現地警察への助言・指導・監視」が公的な目的…
カンボジアPKOの警察派遣についての本である「告白」(旗手啓介著、講談社)によると、カンボジアから帰国した74名の隊員(1名はPKO中に死亡)は1993年7月、各自で報告書を作成し、階級ごとに業務検討会を行っています。その検討会の内容を総括した8枚の非公…
1992年から1993年に日本が初めて国連のPKO(平和維持活動)に参加しました。カンボジアでの民主選挙を実現するため、日本の自衛隊が派遣されたことは私もよく知っています。しかし、カンボジアでのPKOのメンバーとして、自衛隊員の他、警察官がいたことは知…
「大英帝国の親日派」(アントニー・ベスト著、中央公論新社)を読んで、またも日本人として悲しくなってきました。 上記の本は、第一次大戦と第二次大戦の戦間期の日英外交の中心人物たちの考えを紹介しています。当時の外務大臣を始めたとした日本の外交官…
「二つのコリア」第三版(ドン・オーバードーファー、ロバート・カーリン著、共同通信社)は朝鮮問題、特に北朝鮮問題を考える上で、必読書でしょう。ここまで本質を突いた本は、日本人の著作では存在しないように思います。いまだに六者協議を開催すべきで…
「知ってはいけない」(矢部宏治著、講談社現代新書)は現状の日米外交の根本的な欠陥を赤裸々に示してくれた素晴らしい本です。ただし、疑問点もあります。「密約でも、国際法である以上、必ず守らなければならない。それは世界の常識である」と断定してい…
「亡国の密約」(山田優著、石井勇人著、新潮社)を読んでいると、日本とアメリカでの外交の質的な違いが嫌でも分かります。70年前の日本の独裁者、マッカーサーの言葉を借りれば、アメリカが大人の交渉をしているのに対して、日本は「like a boy of twelve…
「知ってはいけない2」(矢部宏治著、講談社現代新書)には、こんな文章が出てきます。 「米国の外交はアメフト型。プレイヤーはフォーメーションに従い陣形を組み、バックヤードでは多くのスタッフが過去のデータを徹底分析し、最善の1手を指示する。一方…
「知ってはいけない」(矢部宏治著、講談社現代新書)を先月読んで、茫然としてしまいました。著者は立花隆を尊敬しているようですが、その立花隆の全ての本をこの一冊で凌駕しているのではないでしょうか。日本の主権が米軍に蹂躙されていること、あるいは…
「外国人実習生が職場から失踪するのは、受け入れ先企業でひどい目にあっているからだ」 マスコミでよく使われる表現で、事実ではありますが、表面的な見方です。こういった見解でしか日本の移民問題を捉えていないとしたら、浅はかと批判されても仕方ないこ…
「ルポニッポン絶望工場」(出井康博著、講談社+α文庫)には、全ての日本人が知るべき日本での移民の実態の一端が書かれていました。誰もが知っている通り、今後、日本の少子化は深刻化していきます。同時に移民賛成派と反対派で日本の世論も分かれるはずで…
「あなたは母国が戦争したときに、戦争を支持する大衆の一人にならない自信がありますか?」 日清戦争、日露戦争、満州事変、日中戦争、太平洋戦争、これら全ての戦争で日本の一般大衆は開戦前から熱狂的に戦争を支持しました。「どうして日本はあんなバカな…
「日本外交のトラウマ」の記事で小沢一郎を名指しで批判したので、彼が日本最高のタカ派でないことを示しておきます(私がそう思っていないことを示しておきます)。「日本改造計画」(小沢一郎著、講談社)に書いているように、小沢一郎は自衛隊を国連軍と…
前回の記事の続きです。 湾岸戦争時の日本外交を例えるなら、次のような話になるでしょうか。 街のガソリンスタンドがテロリストたちに襲撃されたとします。あなたは他のガソリンスタンドを使うこともできたので、あまり関心がなかったのですが、街の自治会…
湾岸戦争は1990年8月、イラクがクウェートに侵攻したことがきっかけとなって勃発しました。冷戦中はアメリカとソ連の拒否権発動でまともに活動していなかった国連安保理が、冷戦終結により一致団結して多国籍軍を結成し、1991年1月、あっという間にクウェー…
「幕末の動乱は不可避だったのか」で書いた結論とほぼ同じですが、別の視点から考えます。日本人の多くが開明思想を持っていれば、アメリカと不平等条約を結ぶことはなかったでしょう。また、かりに結んだとしても、維新期の最初に、つまり岩倉使節団派遣の…
岩倉使節団が不平等条約改正を達成できなかったのは、その目的意識が薄かったことにあります。留守政府も岩倉使節団も不平等条約を改正する意志が強くなかったのです。より正確にいえば、強かった者もいたようですが、改正など不可能と諦めている連中に負け…