国際
コロナ禍前の統計ですが、日本にいる外国人の資格内訳は下の通りです。 「出稼ぎ目的の外国人が日本で実習生と留学生になる理由」に書いた通り、技能実習生だけでなく、留学生にも出稼ぎ目的の者が少なくありません。留学生は週28時間のアルバイトが認められ…
現状、なっていません。なれそうもありません。 特定技能が適応される2019年頃、頭の弱いコメンテーターが「既に日本は移民大国になっている。特定技能を導入したら、日本にさらに移民が押し寄せて、西洋の国と同様に外国人犯罪が多発する」と本気で心配する…
「ルポ技能実習生」(澤田晃宏著、ちくま新書)によると、ベトナム人労働者が払う韓国への渡航費はわずか7万円です。ベトナムで韓国語テストに合格しなければならないので、それにかかる費用も事実上必要になりますが、その韓国語習得費用も1万8千円程度です…
「ルポ技能実習生」(澤田晃宏著、ちくま新書)からの抜粋です。 日本の受入企業に採用されたベトナム人技能実習生は、4ヶ月から1年間、「訓練センター」の寮で寝泊まりして、朝から晩まで日本語と日本文化のスパルタ教育を受けます。送り出し機関自らが「軍…
多くの外国人技能実習生は70万円~100万円という莫大な渡航費を払って、日本に来ます。日本への航空券代はその10分の1程度なのに、他の費用は一体どうして生じているのでしょうか。それについて調べあげた貴重な本が「ルポ技能実習生」(澤田晃宏著、ちくま…
外国人労働者の報道といえば、「劣悪な労働環境で働かされる外国人」が定番です。2019年に報道されたNHKドキュメンタリー番組の「ノーナレ」もその例に漏れません。 「厳しいノルマを課され、仕事は朝の7時から11時まで。洗濯する時間もなく、雨の季節は生乾…
前回までの記事で、マスコミ記者が介護制度の基本知識すらないまま介護殺人を感情的に報道していることを嘆きました。その記者たちの弁護をすると、日本の介護制度は1日や2日で全体像を把握できるほど単純ではありません。まして、外国の介護制度と比較して…
2004年4月に起きたイラク日本人人質事件で、家族の態度はひどすぎました。 この事件は、発展途上国支援を重視する左翼と、それを軽視する右翼の対立も絡んでいるので、左翼は人質びいきで、右翼は人質批判になっている傾向があります。しかし、問題の本質は…
毛沢東の記事を書いたので、毛沢東の通説を根底から否定する一般書の「真説毛沢東」(ユン・チアン、ジョン・ハリディ著、講談社+α文庫)を読みました。「マオ誰も知らなかった毛沢東」(ユン・チアン、ジョン・ハリディ著、講談社)の文庫版です。 張作霖…
どうして朝鮮戦争の開戦時にソ連は国連安全保障理事会で拒否権を行使しなかったのでしょうか。この疑問を考えた人は少なくないはずです。私に言わせれば、そう考えない人の方がおかしいです。 もしソ連が拒否権を行使していれば、国連軍が韓国を支援できませ…
21世紀の最初の20年間、世界で最も存在感を増した国は中国でした。隣国の日本は言うに及ばず、世界中のほとんどの国で、中国製品なしで社会生活は成り立たなくなりました。経済的な影響力だけでなく、政治的な影響力も否応なく大きくなっています。アフリカ…
毛沢東は世代が新しい人ほど悪いイメージが強いのではないでしょうか。タイトルは、最近のネットでよく見る言葉です。40代の私だと、最初に見た時は「スターリンの方が多いだろう」という感想をどうしても持ってしまいました。 第二次大戦中、戦後世代の日本…
前回の記事の続きです。 このブログを読む人なら当然知っていることでしょうが、完全な中立などありません。完全な中立を定義することもできません。 だから「政治的には中立です」と断言する人は、私の価値判断からすると、見識が極めて浅いです。まるで「…
以前の記事にも書いたとおり、国連はコネで就職や昇進が決まったりする不公平な組織です。国連、あるいは国際機関には唖然とするほど倫理観や見識の浅い奴がいて、そんな奴がカリスマのように称賛されていたりするので、失望してその世界から去る者もいます…
前回の記事と全く同じ出だしになりますが、「インド独立の志士朝子」(笠井亮平著、白水社)を読んで、またも日本人として悲しくなってしまいました。 「世界中から非難されている第二次世界大戦時の日本で、外国人なのに日本の味方をして、命をかけて戦った…
「大英帝国の親日派」(アントニー・ベスト著、中央公論新社)を読んで、またも日本人として悲しくなってきました。 上記の本は、第一次大戦と第二次大戦の戦間期の日英外交の中心人物たちの考えを紹介しています。当時の外務大臣を始めたとした日本の外交官…
「米中もし戦わば」(ピーターナヴァロ著、文藝春秋)は中国の軍事的脅威を理解するために有益な本でした。 アメリカが誇る空母軍を無力化する新兵器を中国が開発している、対衛星兵器により制空権ならぬ制宇宙権を中国が事実上持っている、5000㎞にも及ぶ地…
「二つのコリア」第三版(ドン・オーバードーファー、ロバート・カーリン著、共同通信社)は朝鮮問題、特に北朝鮮問題を考える上で、必読書でしょう。ここまで本質を突いた本は、日本人の著作では存在しないように思います。いまだに六者協議を開催すべきで…
「亡国の密約」(山田優著、石井勇人著、新潮社)を読んでいると、日本とアメリカでの外交の質的な違いが嫌でも分かります。70年前の日本の独裁者、マッカーサーの言葉を借りれば、アメリカが大人の交渉をしているのに対して、日本は「like a boy of twelve…
「知ってはいけない2」(矢部宏治著、講談社現代新書)には、こんな文章が出てきます。 「米国の外交はアメフト型。プレイヤーはフォーメーションに従い陣形を組み、バックヤードでは多くのスタッフが過去のデータを徹底分析し、最善の1手を指示する。一方…
「日本人が知らない中国セレブ消費」(袁静著、日経プレミアシリーズ)を読んで、私の中国知識を広めるとともに、こんな中国の基本情報を紹介する本がいまだ日本で必要なことを残念に思いました。「中国人は冷めた料理を食べない」は、「中国の実態は誰も知…
前回の記事の続きです。 中国が日本を追い抜いたもう一つの点は、街中カメラの設置台数です。これにより誰がどこの場所にいるのか瞬時に把握できます。残念なのは、それを報道している日本の記事が次のような切り口になっていることです。 正確な統計はない…
ここ最近の中国について情報収集していると、中国が日進月歩で変化しているのに、日本が10年1日のように停滞していることに意気消沈してしまいます。なにより残念なのは、ほぼ全ての日本人がそのことに危機感を全く持っておらず、未だに先進国気分で中国を見…
「ピンピンコロリは無理である」と「ピンピンコロリは理想でない」の続きです。 ピンピンコロリが不可能な理由はどこにあるのでしょうか。それは医学の進歩、および医療アクセスの充実です。もはや心筋梗塞や脳卒中を起こしても、すぐに救急車を呼べば、特に…
今回の一連の記事で「日本人がしたがらない仕事を外国人に低賃金労働させるなんて非人道的だ」なんて説教をするつもりはありません。むしろ「日本の人手不足産業を外国人労働者にしてもらった方が、日本全体の利益になるので好ましい」という見解で書いてい…
「長寿大国の虚構」(出井康博著、新潮社)にある通り、外国人介護士の受け入れに積極的だった日本の介護施設経営者は決して少なくありませんでした。「ルポニッポン絶望工場」(出井康博著、講談社+α文庫)にある通り、経済産業省や外務省も外国人介護士受…
「外国人実習生が職場から失踪するのは、受け入れ先企業でひどい目にあっているからだ」 マスコミでよく使われる表現で、事実ではありますが、表面的な見方です。こういった見解でしか日本の移民問題を捉えていないとしたら、浅はかと批判されても仕方ないこ…
「ルポニッポン絶望工場」(出井康博著、講談社+α文庫)には、全ての日本人が知るべき日本での移民の実態の一端が書かれていました。誰もが知っている通り、今後、日本の少子化は深刻化していきます。同時に移民賛成派と反対派で日本の世論も分かれるはずで…
「日本は集団の和を大切にするのに対して、西洋は個人主義である」ということはよく言われます。私も同様のことをブログに書いたように思います。この個人主義という言葉は自己中心のような語感があり、誤解を生みやすいと私は考えます。 教養のある西洋人と…
2024年と2028年のオリンピック開催都市が同時に決まる異常事態になったのは、開催される前から大赤字が決まっている東京オリンピックの失敗が影響したのは間違いないでしょう。名乗りを上げた都市がオリンピックの莫大な費用に愛想を尽かして撤退し、五輪開…