今朝の朝日新聞に租税特別措置の批判記事がありました。
税制は「公平・中立・簡素」という原則がありますが、その例外として特別に認められた措置で、現在369項目あって、全て知っている方はほぼいないでしょう。
総務省は毎年秋、それぞれの租税特別措置の効果を点検します。昨年点検した36項目のうち、19項目でこれまでの効果について、32項目について将来の効果について、それぞれ説明や分析が不十分と指摘しました。
とりわけ、昨年末に延長と拡充が決まった「賃上げ減税」については、「著しく不十分」と厳しく評価しました。減税が賃上げにつながっているのか、効果検証するためのデータが開示されておらず、総務省ですら検証しようがなかったのです。
このブログで何度も批判していることですが、日本は検証しない国で、情報開示しない国です。賃上げのために減税したなら、当然、減税が賃上げにつながったかどうか考察しなければいけないのですが、していないのです。考察以前に、減税の恩恵を受けている企業名すら謎なのです。ありえません。
日本は一度決めたことは、なかなか変更できない国でもあります。本来、例外である租税特別措置なのに、1951年の昔から2年ごとの延長を続けている「船舶特別償却」もあります。担当者によると、日本の船舶の税制優遇措置はヨーロッパの主要海運国と比べて遥かに劣っているらしいのですが、だったら恒久減税にすべきです。そうすれば、海運の業界団体が毎年1千万円も自民党に寄付しなくてすみますし、役人の無駄な事務処理も減ります。それにもかかわらず70年も延長を繰り返しているのは「延長を繰り返すことで税調(自民党)は業界への影響力を保てるし、財務省も恒久化を避けられる」からだそうです。そんなくだらないことのために、毎年1千万円と無駄な公務員の労力を使うべきと考える日本人が一人でもいたら、下のコメント欄に実名を書いてください。
賃上げ減税も含めた租税特別措置で、毎年8兆円もの税収が減っています(2023年度国家予算の7%)。今年3月の参院財政金融委員会で共産党の小池晃が「(減税は)企業献金のキックバックだと言われても仕方ないのではないか」と批判しています。同感です。