未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

2023-01-01から1年間の記事一覧

空想内全共闘の終わり

前回の記事の続きです。 私が大学時代、新左翼運動に参加しなかった最大の理由は、インターネットの炎上です。大学時代に、新左翼についてのHPを立ち上げ、ネット上で議論したら、ものの見事に炎上したのです(当時は炎上という言葉もなかったですが)。議論…

全共闘とはなんだったのか

前回の記事の続きです。 私の出身大学でも、1990年代後半に、わずかですが、新左翼グループが残っていました。全共闘運動に尋常でない興味を持っていた私は、当然、その新左翼グループに加わることも考えましたが、躊躇していました。 最大の理由はインター…

全共闘の思想的敗北

前回の記事の続きです。 全共闘は思想的にも負けていたと私は考えています。当時の大学や自民党に問題が多くあったのは事実です。だから、大学当局や政治に反抗するのは確実に正当性があります。しかし、それにしても「この要求は横暴だ」「その理屈は飛躍し…

全共闘はなぜ失敗したのか

前回の記事の続きです。 日大紛争の1968年9月30日は一つの到達点ではありますが、その1ヶ月前くらいから全共闘側の道徳違反が目立ち始めています。私が大学生だった2000年頃に文献だけを頼りにしても、特に全共闘側が我田引水なので、本質がつかみづらかった…

全共闘の熱狂

「日本で理性的な反抗があった」 「不良どもによる道徳にもとる反抗ではない」 「学力の高い一流大学の学生たちが民衆運動として反抗していた時代があった」 私の大学時代の勉強の半分は、全共闘の自己研究に費やされたと言っても過言でないでしょう。とりわ…

全共闘という日本の黄金時代

「日本人がデモするなど想像できない」 日本に何年も住んでいる外国人から、こう言われたことが私は一度ならず、あります。日本人は体制に従順で、周りと同じように行動し、ルールはどんな理由があっても守らなければならず、年上や先生や上司への発言は、そ…

国スポ(国体)を東京に固定する提案

前回の記事の続きです。 オリンピックを東京に固定する提案は、国民スポーツ大会(旧称:国民体育大会)を東京に固定する提案を元にしている気がします。国スポ東京固定案は、20年ほど前から、私も何度も聞いています。 国スポを東京に固定すべき最大の理由…

オリンピックを東京に固定する提案

今朝の朝日新聞に「オリンピック開催地を毎回東京にすればいい」との意見が載っていて、「よくぞ言ってくれた」と感心しました。朝日新聞らしくない斬新なアイデアですが、元読売新聞記者で作家の堂場瞬一の意見でした。 この案の最大のメリットは開催費用の…

日本人初の宇宙飛行士が女性だったらよかったのに

日本人初の宇宙飛行士の秋山豊寛を知っている人は、おそらく私同様に40代以上の人でしょう。JAXAが日本中から募集して選んだエリートである毛利衛など3名が日本人初の宇宙飛行士になるはずでした。しかし、1986年のチャレンジャー号爆発事故で、NASAによる日…

始まる前から失敗が約束された公費2兆円以上の半導体事業

今朝の朝日新聞を読んで、笑っていけないと思わないながらも笑ってしまう特集記事がありました。ラピダスとTSMCの新規半導体事業にどちらも1兆円以上も公費が投じられて、失敗するとほぼ断定されている記事です。 私は半導体の専門家ではありませんが、三菱…

「木を見て森を見ず」の失敗

前回の記事の続きです。 「完本福島第一原発メルトダウンまでの五十年」(烏賀陽弘道著、悠人書院)は2021年に発売されていますが、「完本」が前に着かない通常版は2016年に発売されamazonで絶賛されています。 通常版では「テレビ報道のカメラに収録される…

原発事故調査は不十分である

「完本福島第一原発メルトダウンまでの五十年」(烏賀陽弘道著、悠人書院)は2つの意味を持つ本でした。一つは事故調査委員会でも注目されていないECCS(非常用炉心歴薬装置)の重要性を指摘している点です。もう一つは、著者の能力と内面に問題がありすぎ…

運命の五分間はなかった

太平洋戦争は、その名の通り太平洋が主戦場です。海軍が主役となる戦争であり、その海軍の主役は空母(飛行機を発着させる船)、つまり飛行機になりました。これを戦前から最も正しく予想していたのは、敗れた日本の山本五十六連合艦隊司令長官であり、その…

コロナ自粛は先進国の高齢者の残り数年の命を延ばし、発展途上国弱者の命より価値ある尊厳を踏みにじった

コロナ禍により開業医の収入は激減しました。初期に「あのクリニックでコロナが出た」などの風評被害があったり、新型コロナを警戒して患者が受診を控えたりしたからです。病院も収入が減りましたが、補助金が出ましたし、そもそも勤務医の給与は患者の多寡…

日本のマイノリティ弱者は若者男性のマジョリティである

いまだに「マイノリティ(少数派)である女性」という表現も見かけますが、女性の方が長生きするので、少子高齢化に悩む多くの先進国では女性の方がマジョリティ(多数派)です。必然的に、世界史上最高の高齢者率を誇る日本は何十年も前から、女性がマジョ…

なぜ日本だけ窓際職員が多いのか

前回の記事に書いたように、経済対策の補助金は、「基金」として支出され、独立行政法人や一般社団法人にピンハネされた後、民間の大企業でピンハネされ、分配される制度が確立しているようです。 その二段階ピンハネ事業のうち15%の29基金では、実質的に20…

ガソリン価格減額補助金3兆円は博報堂が分配

国家支出で、つまり税金で、燃料油価格激変基金が3兆円もある、と今朝の朝日新聞で知り、驚きました。現在の日本の国家予算は110兆円程度で、年間3兆円以上の売上のある企業となると、日本に50ほどしかありません。利益が年間3兆円もある企業など、日本に一…

密室政治・稟議制批判

私が高校生の時、天文部の予算会議に出席することがありました。出席者は天文部の部長の私と副部長、生徒会役員の2人の計4人です。天文部の年間予算額は既に書かれており、その根拠を私が聞くと、生徒会役員はあいまいな説明をしました。しばらく話してみて…

地方議会は失くしていい

前回の記事と同じく、「地方議員は必要か」(NHKスペシャル取材著、文春新書)を読んでの考察です。 地方議員のなり手不足は、昨今、新聞でもよく目にします。無選挙当選は3割の自治体でありますし、定数割れの自治体すらあります。公職選挙法で定員の6分の5…

日本は政治家より官僚が強い

タイトルは、このブログを読む人なら常識でしょう。たとえば、第二次安倍政権時の議員提出と内閣提出の法案の差です。 議員提案だとほとんど否決されていますが、内閣(実質は官僚)提案だとほとんど成立しています。もちろん、成立した法律数でも官僚が政治…

里親になると月15万の収入

私は福祉について人並み以上に勉強しており、里親制度(親権を持たずに子どもを育てる制度)について知っているつもりでしたが、里親になると月15万円も補助金がもらえるとは知りませんでした。 「児童養護施設施設長殺害事件」(大藪謙介、間野まりえ著、中…

マニュアル・スカベンジャーを推奨するヒンドゥー僧侶の一例

1950年代頃まで、日本の高学歴の青年たちは難しい哲学の本を肌身離さず持っていたそうです。私の記憶が正しければ、藤子・F・不二雄も、級友たちはみんなそうしていたと書き残していました。「教養本のすすめ その1」からの記事に書いた私のように、哲学書は…

「IT先進国インド」の暗部

ビクトリア朝時代の全盛期の大英帝国のロンドンは、人類史上最高の富豪と人類史上最悪の貧困が同居していました。 人類史上最高の富豪は言い過ぎかもしれませんが、それ以前の貴族ではありえないほどの物質的な豊かさを手に入れられる面と、それ以後の税金や…

インドの野外排泄ゼロ達成は大嘘である

「摩訶不思議国家インド」では、トイレを使用しないインド人は今も何億人もいると書きましたが、実は、インドはスワッチ・バーラトという「史上最大のトイレ作戦」を2014年から5年間実施し、2019年10月2日に野外排泄ゼロが成功したとモディ首相が祝典まで開…

5千円札と1万円札を使用不可にしても支持率7割

最近のインド本を読むと必ず出てくるモディの高額紙幣廃止政策は、「13億人のトイレ」(佐藤大介著、角川新書)にも書かれています。外国人を含むインド通貨を使う全ての人の生活を大混乱に陥れた政策だったので、インドに関わりにある人はどうしても書きた…

摩訶不思議国家インド

「13億人のトイレ」(佐藤大介著、角川新書)は素晴らしい本でした。 私がインドに興味を持つきっかけになった本の一つに「河童が覗いたインド」(妹尾河童著、新潮文庫)があります。その本でもトイレには注目しているように、インドに旅行して、トイレが気…

名経営者とは会社を鮮やかに縮小させた人である

前回の記事の続きです。 第二次世界大戦の失敗を例に、「日本は撤退戦が苦手だ」という評価があります。しかし、日本に限らず、撤退戦はほぼ全ての国や組織にとって苦手でしょう。「天才経営者などいない」で「どの時代、どの社会であっても、『名経営者だっ…

GE不正の主犯はウェルチである

「GE帝国盛衰史」(トーマス・グリタ、テッド・マン著、ダイヤモンド社)は素晴らしい本でした。GEの経営がおかしいことは今となっては常識ですが、ジャック・ウェルチがCEOの頃は革新的な経営手法でGEは成功しているとの見方が一般的でした。その最大の証拠…

なぜ日本のカンボジア支援は失敗したのか

1992~1993年に日本を含めたPKOが民主選挙に貢献したカンボジアは、現在、経済力を背景とした中国の影響力が増し続け、民主主義も後退しています。2017年には最大野党のカンボジア救国党を政府権限で解党させるなど、民主主義国家としてはありえないほどの独…

中国の現実的外交は、ある国と同じである

今年3月10日のイランとサウジアラビアの国交正常化を中国が仲介したニュースには驚きました。対立する両国家の関係を正常化させるなど、国連など国際機関を除けば、アメリカとソ連(ロシア)くらいしかできなかった特権を中国が持ったのですから、私の世界観…