財政
マルクスはお金の価値は本質的に労働にある、と考えていました。だから、単にお金を出しただけの資本家の利益(取り分)は「余剰価値」と見なし、「本来存在しないもの」もしくは「存在すべきでないもの」と否定しました。なぜなら、余剰価値は労働の対価で…
「人間の数値化社会」のメリットと言えるのは、「シンギュラリティが生む『人間の数値化社会』」でも触れたように、刑務所に不要になる、という点です。ただし、刑務所改革は「全ての人間の位置情報の把握」技術が、より重要です。 そもそも、なぜ刑務所は必…
日本の郵便局問題を全て語ろうとしたら、何百ページ必要になるか分かりません。それこそ「ソ連の共産主義はなぜ失敗したのか」と似ている点が多いです。とはいえ、日本の郵便局問題の大きさは、ソ連共産党の問題の大きさの1万分の1か100万分の1くらいでしょ…
2005年の夏なので、私が27才の時です。小泉劇場の最高潮、郵政選挙が行われていました。 改革政治家の小泉が人生をかけた「改革の本丸」である郵政民営化を強行したのです。しかし、郵政民営化法案は衆議院で可決されたものの、参議院で否決されます。ブチ切…
全国では全く無名でしょうが、愛知県には日本を代表する天才ラジオパーソナリティ荒戸完(あらとかん)がいます。ZIP-FMでMORNING BOOOOOOSTという変な名前のラジオ番組のナビゲーター(司会)を月曜日から金曜日までの毎日、朝6時から9時まで務めています…
私みたいに財政にある程度の知識のある方なら、財務省がよく出す「ワニの口」のグラフは何度も見たことがあるでしょう。 財政問題ワニの口 コロナ禍を理由に、財政出動が狂気の沙汰まで膨大した後のグラフを見て、「ワニの口に、ついに角まで生えた」と財務…
「お金持ちの経済学者なんて歴史上一人もいない。この事実こそが経済学が机上の空論の証拠である」 よくある批判です。現実には、「(私がもらった)8400万円なんて少しですよ」と問題発言をして炎上した竹中平蔵のように、お金持ちになった経済学者はいるの…
日本が経済的困窮を脱却するため満州事変を始め、石油が欲しかったので太平洋戦争を始めたことは、よく知られています。歴史上のほぼ全ての戦争と同じく、日本が十分に豊かなら、アジア太平洋戦争など起きませんでした。 ただし、日本の同盟国であったドイツ…
「日本が負けるに違いない太平洋戦争を始めた本質的理由、あるいは日本が第二次大戦で負けた本質的原因」などの100年たっても忘れるべきでない事件を論じているのに、1年後には忘れられていい事件を論じたくないのですが、既に「斎藤前兵庫県知事の大逆転勝…
今朝の朝日新聞からの引用です。 官民ファンドは、民間企業だけではリスクが高くて手が出せない投資を支援する。官民が共同で出資し、「民間主導で投資案件の目利きを行う」とされる。 内閣官房が点検の対象とする官民ファンドは昨年3月末時点で14ある。この…
今朝の朝日新聞に租税特別措置の批判記事がありました。 税制は「公平・中立・簡素」という原則がありますが、その例外として特別に認められた措置で、現在369項目あって、全て知っている方はほぼいないでしょう。 総務省は毎年秋、それぞれの租税特別措置の…
「コロナ予算」は、新型コロナの流行が本格化した令和2年度だけで、総額77兆円です。日本大震災の復興予算が、10年あまりの総額で約32兆円であることからも、「コロナ予算」がいかに異次元の規模かがわかります。ワクチン接種、国のマスク配布、Go To イート…
「科学立国の危機」(豊田長康著、東洋経済新報社)は統計を元に、いくつもの相関関係を調べています。まず、論文数と一人あたりのGDPは正の相関、論文数と労働生産性は正の相関があることを示しています。 また、論文数は単純に大学研究者数(実際には総研…
前回の記事に書いたように、経済対策の補助金は、「基金」として支出され、独立行政法人や一般社団法人にピンハネされた後、民間の大企業でピンハネされ、分配される制度が確立しているようです。 その二段階ピンハネ事業のうち15%の29基金では、実質的に20…
国家支出で、つまり税金で、燃料油価格激変基金が3兆円もある、と今朝の朝日新聞で知り、驚きました。現在の日本の国家予算は110兆円程度で、年間3兆円以上の売上のある企業となると、日本に50ほどしかありません。利益が年間3兆円もある企業など、日本に一…
「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)は、累進課税こそ社会正義との考えで貫かれています。私もそれに異論は一切ありません。極端に貧しい者と極端に富める者もいない社会は、有史以来、人類普遍の理想だと私は信…
このブログを読むような方なら、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」というトリクルダウン理論は知っているでしょう。これが間違っていることは、次のグラフで一目瞭然です。 「つくられた格差」(エマニュエル・サ…
ソ連が崩壊した頃から、多くの先進国は自由競争を重視し、富裕者へ課税率を下げ、貧富の差が拡大しています。当時から現在まで、ほとんどの先進国は民主主義国家です。古今東西全ての社会で、富裕者は一部で、大多数の一般人は富裕ではありません。だとした…
「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)によると、いつの時代であれ、法人税の主な存在理由は租税回避の防止にありました。法人税が個人所得税と同時に生まれた理由も、そこにあります。 資本を持たない被雇用者は個…
「法人税がゼロでいい」理論の誤りをこの記事と次の記事で示します。この記事では、「(法人税を含む)資本所得の税率はゼロがいい」理論の誤りを示します。根拠は全て「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)です。 …
「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)は私の長年の疑問に答えを出してくれた素晴らしい本でした。 極端に貧しい者もおらず、極端に富める者もいない社会は、誰もが理想とするはずです。1990年頃の日本は、見方によ…
確たる証拠もないのに書くので、陰謀論になってしまいますが、あえて断定します。 日本財政は粉飾されています。遅くとも1990年代にバブルが崩壊した頃からは粉飾されていると私は推定しています。「亡国予算」(北沢栄著、実業之日本社)を読んで、一般会計…
海外でも農業保護に税金が使われていることは以前から私は知っていました。「2025年日本の農業ビジネス」(21世紀政策研究所著、講談社現代新書)の著者の一人は、それを知らない日本人が大半だと考えているようです。 PSE(Producer Support Estimate:生産…
既に借金だらけの日本にもかかわらず、コロナ禍でばら撒き政策が大盤振る舞いになっています。とりわけ、批判を浴びているのはgo toキャンペーンです。「Go toキャンペーンは税金のばら撒きだけでなく、コロナもばら撒きしている」「コロナ感染対策を訴える…
1997年から、ようやく日本でもTAC(総漁獲枠)制度が導入されました。日本の魚種別漁獲量の下のグラフで、薄いグレーの魚種でTAC制度が導入されています。 日本で大量に獲れる魚種のほとんどはTAC制度が導入されているのです。それにもかかわらず、どうして…
地方(田舎)への税金投入を批判した一連の記事を書いたので、まだ十分な知識を持っていませんが、地方で必ず税金投入すべき森林対策についての記事を書いておきます。主な参考文献は「林業がつくる日本の森林」(藤森隆郎著、築地書館)です。 日本では室町…
「子育て支援と経済成長」(柴田悠著、朝日新聞出版)は読む価値のほとんどない本でした。客観的な部分は分かりきった内容で、主観的な部分は私にとって首をかしげたくなるような見解でした。しかし、おまけのように最後の章にある「財源をどうするか」だけ…
ホスピスとも呼ばれる緩和ケア病棟が日本では保険適用されています。入院費用は5万円/日、入院期間は1ヶ月までになります。「日本のリハビリテーションに欠けているもの」に示した通り、急性期の入院費用の3万8千円/日よりも高額です。緩和ケア病棟に1ヶ月い…
昨日出会った70才の女性です。大腿骨頸部骨折後に手術した患者さんでした。子ども時代にいじめにあったため、ろくに小学校も行っていなかったそうです。年齢からして日本国憲法下の時代に育っているので、憲法違反です。親はどうしていたのか、と思いますが…
数年前まで病床利用率が50%未満の大赤字の市民病院が私の県にありました。その市民病院が儲からなかったのは、設備の整った大病院が近隣にいくつもあり、市民の多くはそれらの病院を利用していたからです。 当然、市議会では市民病院の閉鎖案が出されました…