日本の郵便局問題を全て語ろうとしたら、何百ページ必要になるか分かりません。それこそ「ソ連の共産主義はなぜ失敗したのか」と似ている点が多いです。とはいえ、日本の郵便局問題の大きさは、ソ連共産党の問題の大きさの1万分の1か100万分の1くらいでしょう。
ええ、そうです。70年以上続いたソ連共産党問題と比べれば、日本の郵便局問題なんて、比較にならないほど微々たる問題なんです。それに気づいていないのは現代に生きる日本人だけです。
郵便局に限らず、日本の伏魔殿は、他にも山のようにあります。自民党、創価学会、連合(日本労働組合総連合会)、ゼネコン、裁判所、都道府県警察、東京大学、日本医師会、共産党、日教組、外務省に限らない各省庁も、当然ながら、日本の伏魔殿に入ります。
その中でも最大規模の伏魔殿は、やはり郵便局でしょう。ちなみに次点は農協です。
以前は電電公社と国鉄も日本が誇る伏魔殿でしたが、民営化したら、ウソのように闇が解消していき、現在は伏魔殿判定からはずれるほどになりました。
だから、本当に小泉が郵政民営化を2005年に実現できていたら、20年後の今、郵便局も伏魔殿判定から確実にはずれていたんですよ。
「21世紀初頭の日本の最大の伏魔殿は郵便局で、第2位は農協でした」の「日本の基礎知識」は、多分、100年後の日本の社会の教科書に載っています。載らなければいけません。
そんな闇に覆われて、複雑怪奇な郵便局問題を無理やり、こんな短い記事で語っています。大雑把にならざるを得ないことをご承知ください。
第一に言えることです。ソ連の計画経済の全貌など、ソ連の書記長を含めたソ連人の誰も把握していなかったように、日本の郵便局の全貌など、日本郵政社長の増田寛也を含めた日本人の誰も把握できていません。ただし、ソ連の計画経済が極めて悪いと世界中の誰もが知っていたように、日本の郵便局に深刻な問題があることは日本人の誰もが知っています。
これは医療でいえば、全身状態がよく分かっていないが、なにか治療をしなければ最悪の状況になると分かっている症例に近いです。しかし、全身状態がよく分かっていないのですから、どう治療すればいいのか分かっている医師はいません。いや、多分、病状の本質を把握し、すべき治療を分かっている医師はいるんでしょうが、それを万人に納得させる根拠はない、と言うべきでしょうか。あるいは、適切な治療方法を分かっている医師は何名もいるが、その治療方法が適切だと「科学的に」証明することは、現代の医学ではできない、と言うべきかもしれません。
その場合、「事なかれ主義」が蔓延する日本だと、どうなるか想像できますよね。
もちろん、現状維持ですよ。
「俺が責任取る!」と意思も能力も高い小泉純一郎のような政治家が手をあげても、潰されます。小泉劇場を実現させ、衆議院で3分の2の議席をとっても、潰されたのです。
(日本、もうどうにもならんわ)
小泉を含め、そう嘆いた何万人もの日本人の一人が私です。
衆議院で3分の2の議席を獲得して、日本最高の権力を使っても潰せなかった郵便局は、日本が誇る最強の伏魔殿であることは間違いないでしょう。
でも、ここで諦めたら、正義の負けになります。
考えてみてください。ソ連共産党を潰すよりは、日本の郵便局を潰す方が何万倍も簡単です。日本の郵便局は、世界を何回も滅ぼせるほどの核兵器なんて持っていないじゃないですか。核兵器どころか、郵便局は戦車も戦闘機も戦艦もなく、銃さえ一つも持っていませんよ。
しかも、郵便局を潰そうとしているわけでもないんですよ。民営化するだけですよ。その程度の改革がなぜ、この国だと実現できないんですか。総理大臣が国会の圧倒的支持で民営化しようとしても、なぜできないんですか。
だったら、どうすれば郵政民営化を実現できるんですか。
日本の郵便局は、まさに伏魔殿としか言いようがありません。
ただし、一つ言えることは、郵政民営化を本当に実現させれば、郵便局は伏魔殿でなくなることです。
(いや、でも、郵便局が伏魔殿だから、民営化できなかったんでしょ?)
それはそうなんですが、その理論が正しいとなると、「民営化不可能」の結論になるじゃないですか!
ソ連が崩壊したように(民営化したように)、日本の郵便局も絶対に民営化できます。それは日本の常識を遥かに超越する、人類普遍の事実です。
たとえば、民主党政権が小泉以上に郵政民営化に本腰を入れていれば、とっくの昔に、郵便局はNTTやJRのように伏魔殿判定からはずれていたはずです。
郵便局という日本最強の伏魔殿に潜む悪魔どもも、世界全体の視野で観れば、狡猾な小者に過ぎません。言い訳だけは天才的ですが、意思も能力も大したことのない世界中の小役人たちと一緒です。恐れることはまるでありません。本気で挑めば日本中の郵便局など一つ残らず潰せますし、民営化ならもっと容易です。
結論としては、「郵政民営化を実現させる」という民意が強く継続していけば、いずれ郵政民営化は必ず実現できる、ということです。
もういいかげん、私を含む1千万人以上の日本人が抱く(郵政民営化とはなんだったのか?)という20年ほど続く無力感を消滅させてください。