2024-01-01から1年間の記事一覧
「私が日本の最も嫌うところ」に書いた通り、タイトルのような考えを私は持っています。 だから、先日、「私は殺人なんかしません」と言った患者さんに、私は反論しました。 私「殺人したくない、なら分かりますが、殺人しないと断言できる人はいないはずで…
「なんの罪もない被害者などこの世に存在しない」の続きです。 被害者家族と加害者家族のどちらをより救うべきかといえば、それは被害者家族になるでしょう。 「『少年A』被害者遺族の慟哭」(藤井誠二著、小学館新書)と「加害者家族」(鈴木伸元著、幻冬舎…
今さらですが、大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件の事後処理のひどさを知りました。当時、私は生きていたので、このニュースに接していたはずですが、記憶にはありません。 これは端的にいえば、井口俊英というトレーダーが損失を取り戻すため、巨額の投…
私には得意な人がいます。得意とは、「つきあいやすい」「話しやすい」「一緒に物事を進めやすい」くらいの意味です。たとえば、「倫理観に優れた人」「頭のいい人」「優しい人」は得意です。もっとも、それらの人は、私に限らず、誰でも得意だと思います。…
孫文といえば、台湾だけでなく中国でも、「国父」として神格化された存在です。しかし、その実像は、中国人はもちろん、台湾人ですら、ろくに知られていません。 「孫文」(深町英夫著、岩波新書)によると、孫文の絶頂期は1912年1月1日の辛亥革命時の臨時大…
「日本が負けるに違いない太平洋戦争を始めた本質的理由、あるいは日本が第二次大戦で負けた本質的原因」などの100年たっても忘れるべきでない事件を論じているのに、1年後には忘れられていい事件を論じたくないのですが、既に「斎藤前兵庫県知事の大逆転勝…
今朝の朝日新聞からの引用です。 官民ファンドは、民間企業だけではリスクが高くて手が出せない投資を支援する。官民が共同で出資し、「民間主導で投資案件の目利きを行う」とされる。 内閣官房が点検の対象とする官民ファンドは昨年3月末時点で14ある。この…
斎藤前兵庫県知事に対する県職員のアンケートには次のような内容がありました。 「知事がイベントや視察に行くときは、個室の控室が必要。控室には鏡も必須」 「牡蠣の養殖場視察には、船室付きの船を用意」 「現場視察には、必ずマスコミを呼べ」 「マスコ…
前回の記事の続きです。 「戦争まで」(加藤陽子著、朝日出版社)には、リットン報告書が出た後でも、日本が国際連盟から脱退しないですむ方法を提案しています。結論から言うと、そんな方法はあるわけがなく、満州事変を起こした時点で、日本にできることは…
「戦争まで」(加藤陽子著、朝日出版社)を読んで、失望しました。 「太平洋戦争と日露戦争の相似」で示したような加藤陽子の道徳観の浅さは相変わらずですが、歴史の本質を見抜く能力の低さにも失望しました。 加藤は「アメリカが強気で出れば日本は戦争し…
前回の記事の続きです。 「それでも、日本人は戦争を選んだ」(加藤陽子著、新潮文庫)では、松岡洋右の造語「満蒙は日本の生命線」の「生命線」とは、山県有朋がシュタインから教わった「利益線」と同義である、と断定しています。 「誰もが不要と認めてい…
「それでも、日本人は戦争を選んだ」(加藤陽子著、新潮文庫)を最後まで読んでみました。この本は現在まで30万部を越えて売れているのですが、序章の著者の道徳観の浅さに失望して、そこから先を読まないまま、数年が過ぎていました。 この本は東大の歴史学…
今朝の朝日新聞の記事の抜粋です。 USスチールは1901年、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーらによって創設された。粗鋼生産量が国内の3分の2を占めた時期もある。社名に「US」を冠し、米国を代表することが運命づけられた企業だった。 時代を画した…
この1ヶ月ほど、毎日のように袴田再審無罪のニュースが流れています。再審が認められた10年前に、無罪であることは実質的に世間に知れ渡っていたので、今回の判決は「裁判でも検察・警察側の捏造が認められた」程度の意義しかありません。 それにしても不思…
「アメリカに潰された政治家たち」(孫崎亨著、河出文庫)という本があります。「戦後史の正体」(孫崎享著、創元社)の「日本の首相が反米ならアメリカに潰される」説をより詳しくしたものです。 牽強付会(こじつけ)と私も考えますが、本では、ほぼ全ての…
立花隆といえば、1974年10月10日に文芸春秋に載った「田中角栄研究 その金脈と人脈」が出世作です。この記事により、田中角栄首相が辞任に追い込まれて、その後、田中は首相再任を狙っていたものの、果たせることなく政治生命を終えています。「戦後史の正体…
「戦後史の正体」(孫崎享著、創元社)では、60年安保闘争がアメリカの陰謀だと書いています。あの日本史上最大の国会デモがアメリカに仕組まれたものだと証明しています(あるいは証明しようとしています)。 「バカをいえ! なぜアメリカが日米安保条約の…
「アメリカは日本の防衛義務がある」 多くの日本人はそう考えています。外務省のHPにもそう書かれていますし、全ての日本の外交政策はそれを前提に進めています。 「日本にある米軍基地の7割は沖縄に集中している」 沖縄問題でよく出てくる事実です。鳩山由…
10年以上前、「戦後史の正体」(孫崎享著、創元社)を初めて読んだ時の衝撃は忘れられません。「60年安保のデモはアメリカが仕組んだものだ」、「立花隆の出世記事『田中角栄研究~その金脈と人脈』は当初誰も驚かなかった。アメリカが大ニュースに仕立てあ…
「朝鮮戦争の正体」(孫崎亨著、祥伝社)を読むと、アメリカが朝鮮戦争の虚偽発表をしいていたことがよく分かります。 1950年6月26日、つまり戦争勃発翌日の朝日新聞の記事です。 「解説・軍事力は伯仲」の見出しで、「戦局の発展は予断を許さないが、三十八…
朝鮮戦争は双方に奇襲成功があり、戦局が大きく変わっています。そのどちらの奇襲作戦も、味方の大反対を覆して、実行しています。 一つ目は1950年9月15日、アメリカ軍の仁川上陸作戦です。マッカーサー自身も認めるように、失敗の可能性が高く、しかも失敗…
「人びとのなかの冷戦世界」(益田肇著、岩波書店)によると、タイトルの答えは毛沢東の気まぐれとしか言いようがありません。 毛沢東が最初に参戦を要求されたのは、中華人民共和国の建国1周年の1950年10月1日です。その夜のうちに毛沢東は中国参戦の電報を…
「人びとのなかの冷戦世界」(益田肇著、岩波書店)によると、朝鮮戦争が1950年6月25日から始まった、との認識は当時、誰も持っていませんでした。多くの韓国人は1945年からずっと内戦は継続していて、1950年6月25日の北からの大攻勢は、その内戦の一部とし…
朝鮮戦争は200万人以上の死者を出した大きな戦争でしたが、戦争前と戦争後で、国境は全く変わらず、両国の政治体制も変わらず、両国の最高権力者も変わりませんでした。一方で、近隣の国には現在まで続く多大な影響を与えています。 まず最も影響を受けたの…
このブログの最初の記事「like a boy of twelveの国から脱却できたのか」で掲げた問に「マッカーサーのような人格破綻者がどうして日本で20世紀の最大の改革を成し遂げられたのか?」があります。 「人びとのなかの冷戦世界」(益田肇著、岩波書店)によると…
「日米開戦の正体」(孫崎亨著、祥伝社)は素晴らしい本でした。 太平洋戦争はアメリカによって起こされたことを「日米開戦の正体」で示した、と著者が「アメリカに潰された政治家たち 」(孫崎亨著、河出文庫)に書いています。だから、「孫崎がまた陰謀論を…
水戸学、および明治維新から第二次大戦敗戦までの政府は日本の崇高さや偉大さを誇っていました。 しかし、古事記にみられる日本建国神話から、「日本は崇高で偉大だ」と導くのはかなり無理があります。 神道は他の多くの多神教同様、それぞれの神が個性豊か…
前回の記事の続きです。 「楠木正成忠君神話の矛盾を気にしない日本人」に書いたことは間違いでした。徳川光圀などの日本史をある程度研究した人は、やはり現天皇家と敵対した南朝側の楠木正成を称賛することに矛盾を感じていました。 そもそも天皇家が二つ…
「尊皇攘夷」(片山杜秀著、新潮選書)を読んで、日本の国粋主義の源流の一つに徳川光圀、つまり水戸黄門がいると分かりました。 幕末に盛んになった尊皇攘夷思想は、徳川光圀が創り上げた水戸学をほぼ踏襲しています。たとえば、「楠木正成忠君神話の矛盾を…
「中国共産党の歴史」(高橋伸夫著、慶應義塾大学出版会)は興味深い本でした。 ほとんどの歴史書で統計的に短く扱われている大躍進政策について、最新の研究結果を含めて、詳しく書いています。地域によって、餓死者数はかなりの差があるようです。 この大…