未来社会の道しるべ

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環境

「大地震連鎖と富士山大噴火」と「国債デフォルト」よりも被害が明らかに大きくなる日本のリスク

前回の記事の続きです。 「大地震の連鎖と富士山大噴火」と「国債デフォルト」の被害規模の比較は難しいですが、それ以上に悲惨な状況になる危機を今現在の日本が抱えていることを知っているでしょうか。この問いに日本人の多くが即答できないのなら、それは…

なぜ今日起きてもおかしくない国債デフォルトが起きた時の準備をしないのか

2023年12月15日の朝日新聞の記事の抜粋です。 「国会が開いているにもかかわらず、国会審議がいらない予備費で経費をまかなう事例が相次いでいる。政府が2020~21年度に使い道を決めたコロナ予備費約14兆円のうち4割超が国会開会中の決定だった。政府は緊急…

東日本大震災は誰も予知していなかったのか

2008年の世界金融危機の時、多くの人はこう考えました。 「デリバティブなどの訳の分からない金融商品がのさばっていたから、巨大な経済バブルが発生した」 私も、ほぼ同意見です。サブプライムローンという住宅の借金を債権に変えるなど、誰でもおかしいと…

「木を見て森を見ず」の失敗

前回の記事の続きです。 「完本福島第一原発メルトダウンまでの五十年」(烏賀陽弘道著、悠人書院)は2021年に発売されていますが、「完本」が前に着かない通常版は2016年に発売されamazonで絶賛されています。 通常版では「テレビ報道のカメラに収録される…

原発事故調査は不十分である

「完本福島第一原発メルトダウンまでの五十年」(烏賀陽弘道著、悠人書院)は2つの意味を持つ本でした。一つは事故調査委員会でも注目されていないECCS(非常用炉心歴薬装置)の重要性を指摘している点です。もう一つは、著者の能力と内面に問題がありすぎ…

海水注入問題で吉田の英断はムダだった

ここ5年くらいの福島第一原発の本を読んでいる人にとっては常識になっているでしょうが、知らない日本人が大半でしょうから、あえて時系列に沿って述べます。 どこの情報源なのか明確にしてほしいですが、アメリカのウォールストリートジャーナルが2011年3月…

「東京電力全面撤退は誤報である」は誤報である

「東京電力撤退事件」の記事は誤解を生じさせているので、訂正させていただきます。正しい時系列は次のような順序になります。 2011年3月14日午後8時頃、東京電力の清水社長から政府(官邸)に撤退の許可を求める。この時に清水は一部撤退だと伝えておらず…

日野行介や高田昌幸による日本のための報道を知らない国民たち

「県民健康管理調査の闇」(日野行介著、岩波新書)、「被災者支援政策の欺瞞」(日野行介著、岩波新書)、「除染と国家」(日野行介著、集英社新書)を読みました。日野行介という素晴らしい記者を知らなかった自分を恥じると同時に、日野の報道が日本で広…

日本の農業は日本のために世界で勝負すべきである

「2025年日本の農業ビジネス」(21世紀政策研究所著、講談社現代新書)は日本の農業問題を簡潔に指摘している本です。 「農業大国」といえば、広大な土地を持つ国で、大量生産している農業を思い浮かべる日本人は多いでしょう。本が指摘している通り、そのイ…

現場重視のフォレスター

「持続可能社会を作るために日本の森林を利用すべきである」の記事にも書いた通り、針葉樹人工林の放置が日本の森林の大問題であることは周知されているので、国も間伐推進策をとってきました。しかし、必要な水準の技術者や経営者がいないまま、画一的な条…

日本人は森林の重要性を認識すべきである

「林業がつくる日本の森林」(藤森隆郎著、築地書館)は、日本人の森林の関心不足、知識不足を繰り返し嘆いています。1970年代までは世界のどの国も森林管理の理念は木材生産の保続管理でした。つまり林業主体で森林管理を考えていましたが、1992年リオデジ…

持続可能社会のために日本の森林を利用すべきである

地方(田舎)への税金投入を批判した一連の記事を書いたので、まだ十分な知識を持っていませんが、地方で必ず税金投入すべき森林対策についての記事を書いておきます。主な参考文献は「林業がつくる日本の森林」(藤森隆郎著、築地書館)です。 日本では室町…

本当の善と偽善の差

「効果的な利他主義宣言」(ウィリアム・マッカスキル著、みすず書房)は極めて興味深い本でした。「知ってはいけない」(矢部宏治著、講談社現代新書)が日本中の全ての人に読ませたい本なら、「効果的な利他主義宣言」は世界中の全ての人に読ませたい本で…

池上彰を原子力村の名誉村長に推薦します

「福島第一原発1号機冷却 失敗の本質」(NHKスペシャル『メルトダウン』取材班著、講談社現代新書)という本があります。この本のあとがきには「現場職員の一人ひとりは有能で意欲のある者たちだった」という言葉が出てきてしまいます。前回の記事で示し…

福島原発事故現場職員の被害者意識

メルトダウン中、福島第一原発の現場で働いていた職員たちが一番心配していたのはなんだったか知っているでしょうか。 福島の住民たちに及ぼす被害ではなく、東日本壊滅の危機でもなく、同じく現場で働く人たちの安全でした。つまり、事故の被害者ではなく、…

なぜ情報に振り回されるのか

このブログで何度も指摘していることですが、日本人は大卒でも科学的思考が確立されていない人が少なくありません。だから、福島で原発事故が起こった時でも、怪しい情報に流されて軽挙妄動に走った日本人は多くいました。当時の公的情報に多くの間違いやご…

環境問題と教養

今朝の朝日新聞のオピニオン&フォーラムの記事は興味深い内容でした。昨年、九州電力管内で太陽光発電業者らに出力抑制が出され、「原発の稼働を止めずに、再生可能エネルギーの出力を抑制するとはなにごとか」と朝日新聞を含む多くのメディアが批判的に報…

「東電が悪い」だけではいけない

「福島第一原発事故7つの謎」(NHKスペシャル『メルトダウン』取材班著、講談社現代新書)には、こう書かれています。「(最初にメルトダウンを起こした)1号機こそ、事故の進展を決める重要なポイントだった。その鍵を握っていたのが、1号機のIC(非常用冷…

福島原発事故は日本人全員の失敗である

福島原発事故では、私を含む多くの日本人が東京電力に怒り、呆れたことでしょう。しかし、私は事故が起きるまで、東電があそこまで腐敗して、あそこまで大局的な視野のない社員たちばかりとは全く知りませんでした。そもそも東電社員がどんな人たちか関心す…

東京電力撤退事件

2011年3月14日から15日、福島第一原発の2号機が格納容器の圧力破壊という最低最悪の事態に陥る可能性がありました。東電社長の清水が官邸首脳部に福島第一原発からの現場職員撤退を進言して、菅直人首相以外の政治家たちはそれを容認しようか迷っていたこと…

福島原発事故に天才もいなければバカもいない

福島第一原発所長である吉田昌郎は事故後、あっという間に英雄視されてしまいました。まるで乃木希典が日露戦争後、あっという前に英雄視されたかのようです。 第二次大戦後、司馬遼太郎の「坂の上の雲」が部下たちに無謀な突撃を何度も強いた乃木の愚策を世…

福島原発事故と八甲田山遭難事故の相似

福島原発事故での吉田昌郎所長を「東日本壊滅から救った英雄」と考えている日本人は、まだどれくらいいるのでしょうか。 1902年の八甲田山遭難事件は第二次大戦中まで、210人中199名も死亡した青森歩兵第5連隊を英雄視することが常識でした。1971年の「八甲…