未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

道徳

「個の尊重」を守るためなら日本が滅んでもいい

「まだこんなこと言っているのか、コイツは! もういいかげんにしろよ!」 今朝の朝日新聞を読んでいての感想です。 今日の新聞一面トップは人口戦略会議の発表でした。このブログでも何度も書いている通り、少子高齢化、特に少子化は現在の日本の最大の政治…

法曹界への2つの失望

「〇〇の常識は世間の非常識」 自虐表現として、よく用いられる言葉です。医療関係者の私も院長に「病院の常識は世間の非常識」と言ったことがあります。 残念ながら、高い社会道徳が要求される「政治家」にも上記の言葉が使われるのは、周知の通りです。今…

育児休暇よりも「育児もできなかった休暇」をもうけるべきである

育児休暇が増えれば増えるほど世の中がよくなるわけではありません。 朝日新聞を読んでいると、こんな当たり前のことを理解していない奴が朝日新聞の記者をしているんじゃないか、と思ってしまったので、書いておきます。 たとえば、「育児休暇は男性でも、…

胎嚢を見せる産科医こそ倫理観に優れる

前回の記事に書いたように、キリスト教国と比べると日本は堕胎に極めて寛容です。 だから、6月9日の朝日新聞の耕論には、朝日新聞の購読を止めようと思うほど、怒りが湧いてきました。とりわけ腹が立ったのは、次の文章です。 「中絶を罪悪視する医療者もい…

私がカナダで唯一反論できなかった意見

キリスト教国に住んだことのある人なら知っているでしょうが、人工妊娠中絶は激しい対立を生みやすい問題です。それにもかかわらず、「西洋人は政治や宗教の話が大好きである」に書いたように、キリスト教徒が圧倒的に多い西洋先進国では、人工妊娠中絶問題…

叩いてホコリの出ない人などいない

タイトルの言葉は、私の人生で会った人の中で最も清廉潔白な人に言われました。 「だから、Aさんみたいにお上と戦うのはよくない」 それが言いたいことでした。Aさんは反権力思考が強い人物で、なにかとあれば公的機関と対立していました。そのせいで手続き…

光市母子殺害事件での罵倒報道批判

光市母子殺害事件は裁判にも検察にも弁護側にも犯人にも問題があり、批判するべき箇所は多くあります。 結論から言うと、私は犯人である福田孝行(現在はある女性の養子となったため、大月孝行という名前ですが、このブログでは福田孝行で通します)を爆発性…

イジメた者はイジメの経験をすぐ忘れるように振った者は振った経験をすぐ忘れる

タイトルは社会や人間の残酷な事実ですが、その残酷さを認識していない社会や人間が多い、多すぎると考えるので、ここにあえて書きます。 恋愛で振られた側は深い心の傷を負いますが、振った側は心の傷をほとんど負わず、相手のことをすぐに忘れる上、罪の意…

フェミニストたちはなにも分かっていない

ウーマンリブの時代まで、女性差別撤廃運動の男性側の反動は大したことなかったはずです。しかし、21世紀以降のフェミニズムの時代になれば、「バックラッシュ」「ミソジニー」という専門用語が誕生してしまうほど、反動は大きくなりました。「『キム・ジヨ…

おまえなんかに山上を語る資格はない

「82年生まれ、キム・ジヨン」の翻訳者の本「韓国文学の中心にあるもの」(斎藤真理子著、イースト・プレス)によると、「キム・ジヨン」は韓国人男性のほとんどから強い反感を買いましたが、日本人男性からは反感がほぼ聞かれず、むしろ「これは男性こそ読…

「キム・ジヨン」のバックラッシュの妥当性

「ウーマンリブ」という言葉は死語になったようで、代わりに「フェミニズム」という言葉がここ10年ほど、毎日のように見聞きします。どちらも意味は似たようなものでしょう。その時代を生きていたわけではありませんが、「ウーマンリブ」には9割程度の共感を…

知的能力が低くても感情能力が高い人たちはいます

「ケーキの切れない非行少年たち」(宮口幸治著、新潮新書)はひどい本でした。 IQテストを重視しすぎています。「誤解だらけのIQ」の記事でも書きましたが、知的能力を客観的に測るのは難しいです。また、IQは恒常性(年齢が変わってもIQは変化しない)があ…

褒めるだけで上手くいくはずがなく、本当に反省させることは極めて難しい

こんなことは誰もが知っていると私は考えていますが、現実には知らない人も多いようです。 「ケーキの切れない非行少年たち」(宮口幸治著、新潮新書)からの抜粋です。 著者も参加する学校コンサルテーションでは、小中学校で困っている生徒の事例を先生が…

「自己肯定感」「自尊感情」という言葉を使うべきでない

「本当の貧困の話をしよう」(石井光太著、文藝春秋)はひどい本でした。私が絶賛した「浮浪児1945」(石井光太著、新潮文庫)の著者であり、その他にも私が素晴らしいと考えた本の著者なので期待していましたが、裏切られました。 最初から「自己肯定感が高…

内面だけでなく外見も重要である

「相手の気持ちを最優先する日本と道徳を最優先する西洋」とほぼ同じ意見の記事です。 「なぜ外見から内面まで判断してしまうのか」と「ここまで浅い日本人の人間観」で内面重視すべきとの記事を二つ書いたので、あえて、その反対意見の記事も載せておきます…

ここまで浅い日本人の人間観

前回の記事でも書きましたが、「連続殺人犯」(小野一光著、文春文庫)を読んで、日本人の浅い人間観に絶望しました。 高橋裕子という2人の夫を殺して、保険金を着服した奴がいます。福田和子同様、甘やかされて育った女です。福田和子と違って美人で家が裕…

なぜ外見から内面まで判断してしまうのか

「言葉は性格である」に書いたように、私は「性格(話し方や所作)」と「内面(自然観や社会観や人間観)」を明確に区別しています。「メラビアンの法則」にあるように、人間は外見や性格に騙されやすいのですが、とりわけ日本人はその傾向が強いです。「連…

炎上から学べること

「炎上するバカさせるバカ」(中川淳一郎著、小学館新書)は大きいものから小さいものまで100以上のネット炎上事件が紹介されています。しかし、著者は学習能力が低かったのか、次のようなくだらないネットのプチ炎上事件を起こしたと白状しています。 ダイ…

性格は医療で治らない

しばしば誤解されていることですが、人格障害(パーソナリティ障害)は病気かどうか明確でありません。確かに、人格障害の診断基準はあり、病名は公式に使えて、精神療法の保険適応にはなっています。しかし、精神医学では「本当に病気なのか」「医療で対応…

日野行介や高田昌幸による日本のための報道を知らない国民たち

「県民健康管理調査の闇」(日野行介著、岩波新書)、「被災者支援政策の欺瞞」(日野行介著、岩波新書)、「除染と国家」(日野行介著、集英社新書)を読みました。日野行介という素晴らしい記者を知らなかった自分を恥じると同時に、日野の報道が日本で広…

日本人は集団主義ではなく身内主義

1987年9月に後に重症心身障碍者と診断される娘を出産した母の「殺す親 殺される親」(児玉真美著、生活書院)からの抜粋です。 その小児科医は横柄な態度で、椅子にふんぞり返り、児玉が挨拶しても、返事もしませんでした。児玉の娘の脳波記録用紙を見て、「…

反省していた犯罪者を開き直らせた検察の不正義

前回の記事の続きです。 熊谷男女4人殺傷事件の尾形が裁判後に開き直った最大の理由は、警察や検察や裁判官の不正義です。 「日本では自白が作られる」に示した通り、本当に残念ですが、日本の検察は調書を捜査側の好きなように作成します。この事件で、尾形…

死刑よりも反省し、被害者に償うべきでないのか

下は熊谷男女4人殺傷事件で死刑が確定した尾形英紀の手紙で、「絞首刑」(青木理著、講談社文庫)からの抜粋です。 俺の考えでは死刑執行しても遺族は、ほんの少し気がすむか、すまないかの程度で何も変りませんし、償いにもなりません。俺個人の価値観から…

死刑により罪が償えるのか

前回の記事の続きです。 1979年~1983年の半田保険金殺人事件で、被害者の兄である原田は「死刑以外に考えられない」と一審で発言しています。原田には、弟の死後に保険金1400万円が支払われていました。しかし、犯人の長谷川の逮捕後、弟が交通事故死でなく…

被害者が死刑よりも望むことはないのか

先進国の中で、日本は人権意識の低い国です(断定します)。その代表例として、しばしば挙げられるのは死刑が残っていることです。死刑を残している先進国はアメリカと日本、そしてシンガポールと台湾くらいです。韓国ですら事実上死刑は廃止されています。 …

加害者なのに心は被害者

「教誨師」(堀川恵子著、講談社)からの抜粋です。 死刑事件の加害者である死刑囚には被害者的な恨みにとらわれている者があまりに多く見受けられた。幼い頃から家や社会でしいたげられ、謂れのない差別や人一倍の不運にさらされて生きてきた者が圧倒的に多…

殺人がいけない理由を答えられない日本人

100年後の人には信じられないでしょうが、「なぜ人を殺していけないのか」に明確に答えられない日本人が21世紀初頭に多くいました。「そんな当たり前の質問にも答えられないのなら、どうやって子どもに倫理観を身に着けさせられるのか」と思われるでしょう。…

三菱銀行人質事件の犯人はどうして現れたのか

1979年に起きた三菱銀行人質事件は、その残虐性において、日本の人質犯罪史上最悪でしょう。猟銃で脅しながら、人質銀行員に同僚の耳をナイフで削ぎ落させ、女子行員を裸にして並ばせ、肉の盾にしています。犯人の梅川は42時間もの長時間、一睡もせず銀行内…

日本の犯罪者は反省を強要される

「アメリカ人のみた日本の検察制度」(デイビッド・T・ジョンソン著、シュプリンガー・フェアラーク東京)によると、「犯罪者を反省させることが重要」と考える日本の検察官は92.7%なのに対して、アメリカの検察官はわずか8.8%です。また、「犯罪者と被害者…

日本では自白が作られる

「自白は証拠の王様ではありません」 これは私が中学の社会の先生から教えられた格言です。ウソで自白だってできますし、強迫されて自白する人も過去の歴史に山のように存在しています。情けない過去を白状しますが、私は子どもの頃、ある大人に間違って犯人…