未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

新福祉国家

社会福祉士の大切さを認識していない現代

「現在の日本で最も足りていない職種はなんでしょうか?」 人によって上の質問の答えは変わってくるでしょう。介護士、保育士、プログラマー、3K仕事などがまず思いつくでしょうか。 しかし、100年後、あるいは200年後の人が現代を振り返ると、社会福祉士が…

心理士の仕事は社会福祉士がするべきである

日本では長年、臨床心理士という民間資格はあったものの、公認心理士という資格はありませんでした。受験料徴収で税金の足しになるのならともかく、そうでないのなら、公認心理士の資格は不要でしょう。そもそも、心理士という職業が社会に不要だと私は考え…

生活保護の扶養義務を同一世帯に限定すべきである

「親ガチャ」という言葉があります。どの親に生まれたかで人生が決まってしまう側面が強い日本なら、もっと前から存在していてもいい言葉だったと私は思います。 アジアの国は知りませんが、法制度上、西洋先進国で、日本ほど家族の扶養義務が強い国はありま…

生活保護を現物給付にする

日本の公的医療保険と公的介護保険は、現物給付です。病気になったら、介護の必要が出てきたら、お金がもらえるのではなく、治療や介護を格安で受けられる制度です。 他の全ての社会保障も現物給付にした方が好ましいのではないでしょうか。 たとえば、収入…

「相続税の拡大」と「年金課税の累進化」は今すぐ実現できる有効な財政健全化政策である

「子育て支援と経済成長」(柴田悠著、朝日新聞出版)は読む価値のほとんどない本でした。客観的な部分は分かりきった内容で、主観的な部分は私にとって首をかしげたくなるような見解でした。しかし、おまけのように最後の章にある「財源をどうするか」だけ…

日本のリハビリテーションに欠けているもの

日本の一般入院施設は2016年で、高度急性期が約17万床、急性期が約54万床、回復期が約13万床、慢性期が約34万床になります(他に精神病床などもありますが、今回は扱いません)。大まかな入院期間は高度急性期病棟で数日間まで、急性期病棟で14日間まで、回…

ベーシックインカムよりも人的支援を充実させるべきである

昨日出会った70才の女性です。大腿骨頸部骨折後に手術した患者さんでした。子ども時代にいじめにあったため、ろくに小学校も行っていなかったそうです。年齢からして日本国憲法下の時代に育っているので、憲法違反です。親はどうしていたのか、と思いますが…

パワハラするくらいなら金を払ってクビにすべきである

「さっさと僕をクビにしてくださいよ」 私がブラック企業で働いているとき、理解のある上司に何度も言った言葉です。「会社都合退職なら自己都合退職より失業給付の条件がいいから」といった知識が当時の私にあったからではなく、「怒鳴らないといけないほど…

子ども集団生活施設

日本が新福祉国家に生まれ変わる時、ぜひとも創設してほしい公的機関が、子ども避難所です。避難所といっても、家族の誰かが身体的・精神的暴力を振るっているときだけ、子どもを保護する施設ではありません。親とケンカして家を飛び出し帰りづらいといった…

家庭支援相談員の仕事内容の具体例

例1 中学生の子どもの夜遊びに悩む親が家庭支援相談員に相談した。家庭支援相談員が家庭支援相談センターに戻って上司に報告し、上司は同様の悩みを持つ親が同じ地区に複数いることを突き止める。上司が中学のスクールカウンセラーに連絡したところ、学校の…

家庭支援相談員の調査の有用性

前回の記事に書いたように、家庭支援相談員は1年に1回以上、日本の全家庭を訪問して、全構成員に家庭の問題を聞き取り調査します。そんな制度を発足させたら、莫大な税金がかかってしまうのは事実です。 かりに一人の家庭支援相談員あたり平均50家庭を担当す…

家庭支援相談員

私の提案する新福祉国家で「一人の取りこぼしもない社会」実現のため特に提唱したいのは、家庭支援相談員の創設です。 家庭支援相談員は、日本中全ての家庭に訪問し、実態調査を行います。3世代家族であっても、一人暮らしであっても、1年に1回以上訪問して…

介護職の多くを公務員化すべきである

公務員改革でぜひ提案したいのは、介護職の大規模な公務員化です。 あまり知られていないと思うのですが、大きな政府のスウェーデンでは職業女性の半数以上が公的部門で雇用されています(「仕事と家族」筒井淳也著、中公新書)。また、その公的部門で雇用さ…

公的な人的支援が私的なコミュニティの救済に勝る理由

私の提案している新福祉国家では、公的な人的支援を受ける義務が生じます。最低でも公的な報告の義務は出てきます。この公的な干渉を強く忌避する人は確実にいるでしょう。しかし、私的なコミュニティによる救済が不十分になった今、そしてこれからの時代、…

新福祉国家での雇用政策

私の提案する「一人の取りこぼしもない社会」の新しい日本でAさんがB会社を自主都合退職したと仮定します。 B会社はAさんの退職の意思表示を受け取った時点で、それが口頭であれ文書であれLINEメッセージであれ、失業対策局(仮称)に直ちに連絡する義務が生…

高齢者以上に現役の社会的弱者にも個別事情に応じた人的援助を与えるべきである

前回の記事の続きです。 高齢者天国ニッポンでは、極めて手厚い高齢者介護が行われています。それがよく分かる表を次に示します(日経新聞のHPから引用)。 要介護1で月約15万円、要介護5になると月約35万円もの金額がたった1割の自己負担で利用できます。そ…

一人の取りこぼしもない社会

高度経済成長期の日本にはコミュニティが溢れていました。地域ごとのコミュニティ、学校ごとのコミュニティ、会社ごとのコミュニティ、趣味のコミュニティ、親同士のコミュニティがほぼ必ず存在して、自動的に助け合いが行われていました。自治会、PTAなどの…

金余り国家ニッポン

「これまでとは別次元のインフレ策」として日銀が資金供給量を急激に増加させましたが、たった2%のインフレすら起こせないままです。その理由の一つは、日本人の消費意欲の低さでしょう。消費意欲が高いはずの若者は薄給で長時間労働ですし、貯蓄も時間も十…

富の不公平を失くすために

前回の記事に書いたように、金銭取引のネット上の完全公開が実現したら、現存する富の不公平のほとんどは解消可能なはずです。常識的に考えて、どんなに仕事の質が違うとしても、同じ社会で同じ時間働いて100倍の収入の差が出るのはおかしいです。現在の日本…

資本主義の矛盾は金銭取引を完全公開しないと解決しない

19世紀の資本主義勃興期のヨーロッパでは、自由と平等の名目の下で、明らかな不公平が広がっていました。大多数の下層民が1日のほとんどを労働で過ごしている間、一部の上層民が全く働かずに贅沢三昧していました。 「これでは古代の奴隷社会と同じではない…

退職金制度を廃止すべきである

うつ病の症状に貧困妄想があることを知っているでしょうか。本当は貧乏ではないのに、うつ病のせいで貧乏だと思い込んで、わずかな出費さえ控える症状が出ます。私も医療職に就いているので、貧困妄想の患者さんに何名も会ったことがありますが、全員高齢者…

パワハラを漏らさず把握し、撲滅に専念する公的機関を新設すべきである

前回の記事のような問題を生むパワハラ撲滅のため、まず、パワハラの完全把握に向けて、使用者から労働者へのパワハラ報告先の告知義務を提案します。既に雇用している人たちに最低でも毎年1回、新しく雇用する人たちには採用時に、パワハラがあれば相談窓口…