未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

医療

大学病院でも見捨てられた末期がん患者が治る奇跡の科学的説明

稀に医療者でも知らない人がいますが、生存率が医学的に0%の末期癌と診断され、「もう医療でできることはありません」と医師にはっきり言われたのに、なぜか癌がなくなってしまう人はいます。 末期癌と診断されて、場合によっては通院しなくてもいいとまで医…

100兆円を越えるコロナ予算の事後検証

「コロナ予算」は、新型コロナの流行が本格化した令和2年度だけで、総額77兆円です。日本大震災の復興予算が、10年あまりの総額で約32兆円であることからも、「コロナ予算」がいかに異次元の規模かがわかります。ワクチン接種、国のマスク配布、Go To イート…

コロナ自粛は先進国の高齢者の残り数年の命を延ばし、発展途上国弱者の命より価値ある尊厳を踏みにじった

コロナ禍により開業医の収入は激減しました。初期に「あのクリニックでコロナが出た」などの風評被害があったり、新型コロナを警戒して患者が受診を控えたりしたからです。病院も収入が減りましたが、補助金が出ましたし、そもそも勤務医の給与は患者の多寡…

高齢者天国日本が見えない新聞記事

今朝の朝日新聞の記事です。 「年金が減ったうえに、医療費の負担が増え、これからは病院に行きたくても我慢するしかありません」 横浜市に住む斎藤キヨ子さん(78)は今月14日に届いた新しい保険証を手にため息をつく。「一部負担金の割合」の欄には「…

がん検診にペナルティをなぜ与えないのか

「がん検診に上限年齢は設けるべきである」にも書いた意見ですが、もう一度書きます。 日本のがん検診は低いままです。 当然です。他国のようにペナルティがないのですから。 韓国は、ちょっとした風邪でもクリニックにかかれる世界で二つしかない国の一つで…

胃瘻しないのに栄養点滴する理屈はない

このブログで何度も書いているように、日本の医療は世界最高です。特に高齢者に関してはダントツで世界史上最高の医療・福祉国家で、結果として高齢者に対する過剰医療、過剰福祉が行われています。高度経済成長もJapan as No.1も経験してきた十分恵まれた高…

日本でマスクをはずせるのはいつの日か

「新型コロナウイルスで亡くなった日本の小児はゼロである」にも書いたように、私はコロナ自粛当初からマスク着用には反対でした。日本では以前からマスク文化があったせいか、マスクのウイルス感染予防効果を疑ってすらいない人が大多数でしょう。だから、…

全ての人は精神疾患を少しは持っている

「私が日本の最も嫌うところ」に書いたように、私の人間観の一番の柱は「人間は皆同じ」です。 だから、どんな人間でも精神疾患を大なり小なり持っていると私は考えています。 たとえば、前回の記事で書いた境界性人格障害を例にとってみます。「相手(主に…

性格は医療で治らない

しばしば誤解されていることですが、人格障害(パーソナリティ障害)は病気かどうか明確でありません。確かに、人格障害の診断基準はあり、病名は公式に使えて、精神療法の保険適応にはなっています。しかし、精神医学では「本当に病気なのか」「医療で対応…

救急搬送した高齢者とそうでない高齢者での生命予後のデータを出してほしい

在宅でできる治療と入院でできる治療に差がないのに、病院に搬送したがる訪問診療医がいます。私に言わせれば、藪医者です。 こんな奴がいるから、本人が望んでいるはずの在宅死が日本では増えないのでしょう。こんな奴がいるから、日本は無駄な医療費が増え…

粉ミルクを熱湯で溶かす表示を今すぐ止めてほしい

今、日本中の多くの赤ちゃんが熱湯のミルクを飲んでいる事実を粉ミルクの製造会社は知っているのでしょうか。残念ながら、そのうちの一人が私の家の0才児です。もちろん、WHOのガイドラインでは「必ず湯冷まししてから」と書いていることは知っています。し…

日本人は集団主義ではなく身内主義

1987年9月に後に重症心身障碍者と診断される娘を出産した母の「殺す親 殺される親」(児玉真美著、生活書院)からの抜粋です。 その小児科医は横柄な態度で、椅子にふんぞり返り、児玉が挨拶しても、返事もしませんでした。児玉の娘の脳波記録用紙を見て、「…

わずかな新型コロナ患者数で日本の病床が逼迫した問題の正解

コロナ病床逼迫 本日の朝日新聞朝刊の記事です。 コロナ病床が逼迫した理由について、簡潔に示しています。さすが一流新聞だけあり、本質を突いています。「 今の日本で医療崩壊が起こっていると本気で信じている日本人が多くいます(10年後の日本人へ)」の…

コロナを制圧するためにも、全国民の位置情報をネット公開すべきである

私のように、新型コロナを2類感染症から5類感染症に変えて、インフルエンザ同等に対応するのが一番だと考えている日本人は、ごく少数でしょう。一方で、中国や台湾やシンガポールのように、徹底した隔離・規制によって、新型コロナをゼロにすべき、と考えて…

今の日本で医療崩壊が起こっていると本気で信じている日本人が多くいます(10年後の日本人へ)

日本で医療崩壊が起こるのは「欧米先進国と違って、日本の病床数の大多数を占める民間病院がコロナ患者を受け入れていないから」という説が今月号の文芸春秋に載って、多くの人がその説を引用しています。こんな議論が起こっていること自体、私には不思議と…

新型コロナウイルスで亡くなった日本の小児はゼロである

タイトルに書いた通り、2020年12月21日までの段階で、新型コロナウイルスで亡くなった20才未満の日本人は一人もいません。こんな重要な情報ですら、マスコミは報道していないので、「コロナ対策のため、今は(この子どもの遊び場)使えないんですよ」と言う…

新型コロナで亡くなった人の過半数は80才以上で、8割は70才以上である

こんな重要な情報をほとんどの日本人が知らないので、あえてタイトルにしました。 日本で新型コロナで亡くなった人の過半数は80代以上です(2020/12/14の国立社会保障・人口問題研究所統計)。70代以上まで含めると、8割を越えます。ちなみに、50才未満はわ…

安楽死と自己安楽死と自殺と老衰

オランダ安楽死統計 オランダの安楽死の統計は上記の通りです。ここで注目したいのは、安楽死した場所の8割が自宅であること、および、安楽死させた医師の85%が家庭医であることでしょう。 以前の記事でも書きましたが、欧米では自宅近くの医師を家庭医とし…

社会的弱者に死を強要しないために

今回の記事は「安楽死・尊厳死の現在」(松田純著、中公新書)を元にしています。 2001年、オランダは安楽死を合法化した世界で最初の国です。オランダの安楽死法によると、患者の要請に基づいて患者の生命を終結させる医師は次の六つの「注意深さの要件」を…

命の選別は間違っているのか

「ポストコロナは社会でなく医療体制を変えるべきである」で高齢者や基礎疾患のある方が新型コロナに罹患した場合、人工呼吸器で一時的に助かったとしても、遠くないうちに別の感染源から肺炎で亡くなる可能性が高いので、人工呼吸器の優先順位を下げるべき…

ポストコロナは社会でなく医療体制を変えるべきである

新型コロナによる感染は日本で落ち着いてきています。「未来社会の道しるべ」というブログタイトルをつけているのに、このブログでは未来予想と進むべき道をほとんど示していないので、ポストコロナについて簡単な予想と「道しるべ」を記述しておきます。 コ…

病気の子どもは保育園に行かないべきか

病児保育なるものがあると知ったのは、私が病院で働くようになってからです。病児保育とは、病気になった子どもを保育所ではあずかれないので、保育所の代わりにあずかってくれる施設です。子どもが病気になったからといって、両親は仕事を簡単に休めない時…

看護師資格をなくすべきである

私の母校は総合大学なのですが、医学部には最も入学難易度の高い学科と、最も入学難易度の低い学科がありました。言うまでもなく、医学科は他の全ての学部学科から群を抜いて偏差値が高く、看護学科は他の全ての学部学科から群を抜いて偏差値が低かったので…

帝王切開で不妊が増える

タイトルの知識は医療者なら当然持っているものだと私は思っていましたが、「そんなことはない」と否定する産科医がいて、唖然としました。産科看護師はもちろん、助産師すらも、こんな基本的な知識を持っていない人ばかりで、愕然としました。こちらのガイ…

抗がん剤治療の費用対効果

ホスピスとも呼ばれる緩和ケア病棟が日本では保険適用されています。入院費用は5万円/日、入院期間は1ヶ月までになります。「日本のリハビリテーションに欠けているもの」に示した通り、急性期の入院費用の3万8千円/日よりも高額です。緩和ケア病棟に1ヶ月い…

健康的な食事と医学

「ビタミンCは風邪を治す」との仮説があります。ビタミンCを入れた試験管内で、免疫細胞が活性化していることが、この説の根拠です。 しかし、この論文にあるように、風邪にかかってからビタミンCを摂取しても効果はありません。ビタミンCを毎日1~2g摂取し…

高齢者が増えたからといって医療費が増えるとは限らない

高齢者が増えると、医療費が増えると多くの人は考えています。長年、私もこれを疑ったことがありませんでした。しかし、それは必ずしも正しくないはずです。高齢まで生きようが、生きまいが、人間は必ず死に、死ぬ前には病気になります。高齢者には申し訳あ…

なぜ歯科の保険診療総額は増えないのか

歯科医師の数は右肩上がりです。 日本で医師の数が約30万人ですから、歯科医師数約10万は多すぎです。誰だって歯科医師数を制限したくなります。だから、かつて90%合格が当たり前だった歯科医師国家試験の合格率を70%程度まで低くして、新しく歯科医になる…

日本のリハビリテーションに欠けているもの

日本の一般入院施設は2016年で、高度急性期が約17万床、急性期が約54万床、回復期が約13万床、慢性期が約34万床になります(他に精神病床などもありますが、今回は扱いません)。大まかな入院期間は高度急性期病棟で数日間まで、急性期病棟で14日間まで、回…

高齢者が肺炎で入院すれば寿命が短くなる

高齢者が発熱で苦しんでいると、家にいても施設にいても、誰かがその高齢者を病院に連れてきます。もし肺炎だと分かると、ほぼ自動的に入院になります。高齢者だと誤嚥性肺炎の可能性が高いので、入院初期は絶食とされます。食事をして、また誤嚥したら、肺…