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日本建国神話は崇高さや偉大さと矛盾する

水戸学、および明治維新から第二次大戦敗戦までの政府は日本の崇高さや偉大さを誇っていました。

しかし、古事記にみられる日本建国神話から、「日本は崇高で偉大だ」と導くのはかなり無理があります。

神道は他の多くの多神教同様、それぞれの神が個性豊かで、感情的です。

古事記によると、最も崇高な神は天照大神(あまてらすおおみかみ)とされていますが、怒ったり、拗ねたり、隠れたりします。古事記の主人公は素戔嗚尊(すさのおのみこと)と大国主命(おおくにぬしのみこと)ですが、この2人もウンチをまき散らしたり、兄弟イジメにあったりします。崇高さや偉大さからはほど遠いです。古事記の物語を制作した人は、この日本建国神話で日本や天皇家の崇高さや偉大さを示したいとは微塵も考えていなかったはずです。

水戸学者が日本の崇高さを示すために日本建国神話は不適切と気づいていたかは分かりませんが、明治時代以降の何名かの学者はそれに気づいていました。第二次大戦中までは教科書に日本建国神話が載っていましたが、あまりに低俗で下品な部分は削除したりしていました。場合によっては、古事記などの日本建国神話は無視して、楠木正成七生報国の話ばかり注目していたりしました。

戦後になって、神国日本思想は天皇により否定されましたが、いまだ日本は崇高で偉大と考えたがる国粋主義者はいます。その人たちは今後も、日本建国神話の滑稽さや下品さと戦い続けていくことでしょう。