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官民ファンドの失敗

今朝の朝日新聞からの引用です。

 

官民ファンドは、民間企業だけではリスクが高くて手が出せない投資を支援する。官民が共同で出資し、「民間主導で投資案件の目利きを行う」とされる。

内閣官房が点検の対象とする官民ファンドは昨年3月末時点で14ある。この中核を占めるのが、投資の終了後に国に資金を返済することを前提とする「財政投融資」を元手とする8ファンドで、その出資状況を調べた。

8ファンドは、2009~22年に設立された。ともに経済産業省が所管する「産業革新投資機構」(JIC)と「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン機構、CJ)を除く六つは、国と企業の折半出資だった。

政府は国の出資比率の上限を定めていない。ただ、財務省幹部によると、「官民」という建前から、多くが国と企業が折半で設立された。CJも、設立時に財政投融資を要求した際に、「民間からの出資については、政府出資と同額程度を期待」と説明していた。

ところが、昨年度末時点では、8ファンドの国の出資の平均は80.2%まで高まっている。折半出資だった6ファンドのうち、五つで国の出資比率が上昇し、「海外交通・都市開発事業支援機構」(JOIN)、「農林漁業成長産業化支援機構」(A―FIVE)、「海外通信・放送・郵便事業支援機構」(JICT)は9割を超えた。

ただ、国の出資が9割を超すファンドのほとんどは100億円を超える累積赤字を抱え、経営の手直しが急務になっている。

官民ファンド

官民ファンドと言いながら、ほとんど純官ファンドです。

それはそうでしょう。これら官民ファンドの第一目的は、利益を出すことではなく、お金を使うことです。利益が出ないなら、お金が減るだけのファンドなら、誰も出したいお金などありません。例外は、自分のものでないお金(税金)です。朝日新聞の引用を続けます。

 

ファンドの多くは、積極財政が持論だった安倍晋三政権下の13~15年に設立された。財務省で予算を担当する主計局は、予算の膨張で、財政が悪化することを恐れていた。

そこで目を付けたのが財投だった。各省庁や自民党族議員から求められた企業支援を、財投を原資にしたファンドで行えば、その分予算の膨張を抑えることができるからだ。

 

積極財政とは、バラマキ政治とほぼ同義です。安倍政権は、バラマキ政治で「好景気」を無理やり作り出し、ツケ(借金)を後の世代に回しました。財投とは財政投融資の略で、もう一つの国債(国の借金)と考えても、そう間違っていません。

官民ファンドの役員に、官僚たちが天下っているのは言うまでもありません。バラマキ政治が行われると、新しい公的機関ができて、官僚たちの天下り先(再就職先)が増えて、国の借金がうなぎ上りになるのは、天皇制と並ぶ日本の金城湯池です。この鉄壁の既得権益を崩すことは、憲法改正以上に難しいでしょう。

そういえば、「ガソリン価格減額補助金3兆円は博報堂が分配」で莫大な税金の不正支出批判記事を去年に書きましたが、正直にいえば、私自身、そのことを忘れていました。

このような莫大な税金の無駄使い報道がろくに注目も批判もされず、黙認され続けるのは、なぜなのでしょうか。10年以上解けない日本の謎の一つです。