斎藤前兵庫県知事に対する県職員のアンケートには次のような内容がありました。
「知事がイベントや視察に行くときは、個室の控室が必要。控室には鏡も必須」
「牡蠣の養殖場視察には、船室付きの船を用意」
「現場視察には、必ずマスコミを呼べ」
「マスコミが来ない時には、動画と写真を撮れ」
「知事が使う鉛筆の芯は尖り過ぎてはいけない。丸くしたものを机に置く」
「車のドアは職員が開ける」
「海づくり大会のポロシャツのサイズはM」
「視察の際の知事の荷物は、事前に職員に運ばせる」
「着替えのシャツは、しわになるのでカバンには入れない」
「イベントや出張時、知事は歩かない」
「20メートル歩くと激怒」
「会議の際、激高すると必ず机をたたく」
「知事が乗るタイミングでエレベーターが来るようにする」
「広報物には必ず知事の写真を載せる」
「職員がテレビ取材を受けてはいけない。必ず怒られる」
当然ながら、この斎藤はパワハラ知事としてマスコミに罵倒され、疑惑を懸命に否定したものの、県議員たちに満場一致で不信任案を決議され、辞任せざるを得なくなりました。東大卒で元総務省官僚の斎藤に対する罵詈雑言の一つを下に記録しておきます。
この知事、子供の頃から「元彦ちゃんはお勉強だけ頑張ってくれたら、あとはなんでもしますからね。テストの成績がよかったらなんでも買ってあげるし。疲れてお勉強できないと困るから歩かなくてもよいですからねー」って感じで育ったんでしょうね。いい歳して周りの職員さんたちに対する怒り方や威張り方がもう幼稚な小学生レベル。まだ知事を続けたいと言っているのが究極のワガママですね。「ヤダヤダ!絶対に知事やめないもんね!!」 大人は付き合いきれません。
日本中から批判されたにもかかわらず、斎藤は臆面もなく、県知事選に再度立候補します。「斎藤だけは当選させてはいけない」と誰もが思う中、斎藤も予想していなかった援助者、立花孝志が現れます。
立花孝志は斎藤の疑惑を全否定して、斎藤は加害者ではなく被害者である、とこれまでと180度違う見解を披露します。特に衝撃的な「事実」は、自殺した元県民局長に不倫疑惑があり、マスコミがそれを「プライベートだから」と一切報道しなかったことです。
その後、「県の公益通報担当部署が斎藤のパワハラを否定していた」「県職員の天下りOBの規制を斎藤が徹底して、ほとんどの県職員は斎藤に反感を持っていた」などのマスコミがほとんど(あるいは全く)報じなかった事実がSNSなどで拡散されます。多くの兵庫県民は「マスコミに騙されていた」と感じ、斎藤は「パワハラ知事」から「悲劇のヒーロー」に生まれ変わり、知事選でも大逆転勝利しました(この記事は県知事選の前日に書いていますが、誰もが容易に予想できる未来なので、過去形で書いています)。
ただし、この斎藤勝利の最大の功労者である立花も事実を歪曲しています。選挙の時点で、どれくらいの人がそれを認識していたのでしょうか。
まず、立花自身も既に認めている通り、立花が片山元副知事に会った、立花が片山元副知事から直接資料をもらった、というのは真っ赤な嘘でした。肝心かなめの情報源で嘘をついていたのです。しかも、立花は嘘を認めた後に、「嘘も方便」という言い逃れまでしています。
また、元県民局長が10人との女性と不倫していた、と立花は言っていましたが、常識で考えて、多すぎます。他にも、元県民局長の公用PCに「不倫動画」があった、と立花が言っていたのに、いつの間にか公用PCに「不倫日記」があった、と発言内容が変わっていたりします。
そもそも不倫なんて事実無根の可能性もあります。元県民局長と一緒に斎藤の悪い噂を集めていた県職員がたまたま女性だったために、不倫疑惑をでっちあげられた可能性も十分あるはずです。共に仕事をしていただけなのに、男女なので、交際疑惑や不倫疑惑が出てきてしまうのは、世の常です。若い女性の小保方のSTAP細胞の捏造疑惑で、援助者である著名学者の笹井が自殺したのも、同じ構造です。
さらに、立花の存在自体が怪しすぎます。立花はNHKに対する脅迫罪で有罪判決が確定し、執行猶予期間中です。斎藤の知り合いでもないのに兵庫県の知事選に、自身ではなく斎藤を勝たせるという異常な動機で出馬しています。しかも、立花の立候補費用300万円は、斎藤の知り合いでもない林尚弘なる塾経営で大儲けした胡散臭い人物が支払っています。立花や林、マスコミのどちらを信用するかと言えば、私なら圧倒的にマスコミになります。
とはいえ、立花からの情報を全て無視したとしても、不倫が一切のデマだとしても、現時点での情報を総合すれば、斎藤に正当性があると私は考えています。
ぜひマスコミには、斎藤に投票した人のうち、何%が立花の発言を信じていたか、何%が立花とは無関係に選んだのか、調べてもらいたいです。
これから、つまり選挙後、立花の発言に嘘が多かったことは暴かれていくと思います。立花の発言を信じていた人はそれに愕然とするかもしれません。
確かに立花の「斎藤絶対正義」は絶対的に間違っています。しかし、よほどの新事実が明らかにならない限り、マスコミによる斎藤の「パワハラ」に対する総バッシング、その頃のマスコミによる斎藤擁護の情報の乏しさは、立花同様に間違っていたはずです。いえ、参議院議員を3ヶ月で辞職してしまう怪しいyou tuberの立花と、第四の権力とも呼ばれるマスコミの社会に対する影響力を考えれば、マスコミの罪は立花の数倍重いと私は考えます。
また、この事件からも言えることは、「ハラスメント」「虐待」という言葉は絶対悪となるため、よほどでなければ避けた方がいい、ということです。