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看護師資格をなくすべきである

私の母校は総合大学なのですが、医学部には最も入学難易度の高い学科と、最も入学難易度の低い学科がありました。言うまでもなく、医学科は他の全ての学部学科から群を抜いて偏差値が高く、看護学科は他の全ての学部学科から群を抜いて偏差値が低かったのです。

費用対効果にちなんでいえば、学力対年収で最も高い職業は看護師でしょう。学力的に看護師は最も簡単になれるのに(大卒の看護師ならまず留年なしで卒業できて、国家試験合格率は90%)、年収は一般の大卒よりも遥かに高いです。私も一般企業時代、看護師の給料の高さは心底羨ましかったものです。

現在、私は病院で毎日働いていますが、看護師が資格職である必要はほとんどないと確信しています。医学的な判断はほぼ全て医師の指示を仰ぐので、看護師に必要な医学知識はないに等しいですし、看護師が間違った医学知識を持っていることは珍しくありません。器具の扱い方や現場での手順は知らなければなりませんが、それらは仕事をしながらも覚えられますし、実際、そうして覚えています。

こういった主張をすると、「実習期間はある程度必要だろう」「国家試験なしで看護師になれる国など聞いたことがない」といった反論が出てくるでしょう。それに対しては、「実習を受けた看護師、国家試験を受けた看護師がそうでない看護師より優秀なエビデンスはあるのでしょうか?」と逆に聞きたいです。

看護師よりも明らかに知識が重要であると思われる学校教員でさえ、免許の有無は質の高さとほぼ無関係というエビデンスがいくつも出ています。

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「学力の経済学」(中室牧子著、discover21)

もちろん、看護師は学校教員と違って、資格の有無によって質の差が出る可能性はあります。私はその可能性はほぼないと確信していますが、もしあれば看護師を資格職にすることに異論はありません。

教員がそうであるように、看護師が資格職でなくなれば、本来適性のある方が看護師になれるので、看護の質は上がります。また、現在のように恵まれすぎた高い給与でなくても、なり手が確実に現れるので、医療費が下がります。

なお、看護師以外の医療職、医師、リハビリなども現在のような資格職にする必要はない、と私は考えています。リハビリなどについては上記の理由とほぼ同じですが、医師を資格職からはずす理由は上記と異なるので、いずれ記事にするつもりです。