未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

おまえなんかに山上を語る資格はない

「82年生まれ、キム・ジヨン」の翻訳者の本「韓国文学の中心にあるもの」(斎藤真理子著、イースト・プレス)によると、「キム・ジヨン」は韓国人男性のほとんどから強い反感を買いましたが、日本人男性からは反感がほぼ聞かれず、むしろ「これは男性こそ読むべきだ」という感想がいくつも寄せられたそうです。

(自分が日本で生きづらいわけだ)

そう感じました。日本のリベラルな男性は、それくらい恵まれているのでしょうか。過半数の恵まれない若い男性が保守化するわけです。

このブログから明らかなように、私はリベラル思考です。しかし、私と同じくリベラル思考の日本人男性は、私と異なり、フェミニズムに共感を示すようです。恵まれない若い世代が、恵まれないからこそリベラルに共感を示した時代は日本にもありましたが、とうの昔に過ぎ去ったようです。

2022年8月30日の朝日新聞に伊藤昌亮という社会学者の記事があります。伊藤は安倍元首相を暗殺した山上徹也のものとされるネットでの書き込みを調べたそうです。山上は自分をインセルだと何度も書いていました。インセルとはinvoluntary celibate(非自発的な禁欲主義者)の略で、伊藤は「いわゆる『非モテ』の男性です。インセルは社会構造の被害者なのに弱者認定されず、むしろフェミニズムから加害者扱いされる、と反発している。旧来の保守のような家父長制的な反フェミニズムではなく、弱者男性の反フェミニズムです」と説明しています。

そこまで分かっていながら、伊藤は「リベラルが在日コリアンやLGBTQを弱者として支援することは間違いなく正しいのですが、漏れてしまう弱者が存在する」と書いたので、憤慨しました。

「リベラルがLGBTQを弱者として支援することは間違いなく正しい」だって! なぜその固定観念から抜けられないんだ! 「漏れてしまう弱者」だと! 最初から救おうともしていないくせに! それに漏れる程度の数じゃないんだ! 彼氏がほしいのにできない女性より、彼女がほしいのにできない男性が遥かに多くいることくらい、社会学者なら知っているべきだろう! おまえみたいな社会観の浅い奴がLGBTQを支援することが正義だなんて思っているから、弱者男性がリベラルを忌避するんだよ! 賭けてもいいが、30年以上前、LGBTQがただの変態としか思われていなかった時代の日本なら、おまえみたいな偽善者がLGBTQを支援することなんて確実になかったよ!

もしかしたら、山上は上の伊藤の意見に賛同するかもしれません。ただし、大多数のインセルは「おまえなんぞにインセルを語る資格はない!」と伊藤の意見に反発すると確信します。

 

※2022年10月13日追記:上では伊藤を批判しましたが、伊藤の「山上徹也容疑者の全ツイートの内容分析から見えた、その孤独な政治的世界」という記事を見つけました。山上徹也について、これほどまで本質を捉えた見解は今のところ、他に存在しないと思います。「リベラルがLGBTQを弱者として支援することは間違いなく正しい」という言葉は、朝日新聞記者たちへのリップサービスだったのかもしれません。

が、それを考慮しても、山上を語る記事で書くべきではなかったと思います。