未来社会の道しるべ

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加害者なのに心は被害者

教誨師」(堀川恵子著、講談社)からの抜粋です。

死刑事件の加害者である死刑囚には被害者的な恨みにとらわれている者があまりに多く見受けられた。幼い頃から家や社会でしいたげられ、謂れのない差別や人一倍の不運にさらされて生きてきた者が圧倒的に多い。彼らは成長するにつれ、自己防衛のために自己中心の価値観しか持てなくなっていく。

彼らが犯した事件はさておき、まずは彼ら自身に向き合って、その被害感情を取り払わなくては、事件に対する真の反省も被害者への慰藉の気持ちも永遠に訪れることはない。

本来なら裁判で事件に至った経緯を詳しく調べ、曲がりなりにも彼らの言い分を聞き、やむをえない気持ちも酌んでやった上で判決を下せば、たとえそれが死刑判決でも彼らなりに納得して刑に服すこともできるかもしれない。なぜなら、彼らは独房で幾度となく判決文を読みなおすからだ。

かたや軽率な言葉の刃物で相手の心をズブリと貫き、治らぬ傷を刻みつけ、その人生までも狂わせてしまう者を罰する法律は見当たらない。見えない傷は、人間の法律では裁けない。なにより言葉を吐いた側の多くは、自分がそんな大変な事態を招いていることに気づいてもいない。

また同じようなことを書きますが、まるで私について書かれているような気分になりました。