未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

2017-01-01から1年間の記事一覧

五蘊盛苦

五蘊盛苦という仏教用語を知る人は少ないでしょう。四苦八苦の一つで、「自分の容姿と自分の性格が自分の思い通りにならない苦しみ」という言葉です。「キレイになりたい」と思ってもなれない苦しみ、「明るくなりたい」と思ってもなれない苦しみはどんな人…

なぜ日本人は討論下手なのか

建設的な議論が成り立つには、お互いに社会観、人間観、倫理観、洞察力などがある程度の水準以上でなければならない、と私は考えています。ほとんどの日本人はその水準に達していないように私は思っています。日本人集団だと意見がほぼ一致している時だけ口…

「あらゆる思想の正誤は絶対的に決められない」とは絶対的に決められない

あらゆる思想は、正しいか間違っているかを絶対的に決めることはできません。正しいか間違っているかは人間の価値観で判定されるものであり、価値観である以上、自然科学のような絶対的な答えは存在しません。誰もが知っている当たり前のことです。私の社会…

いじめを語る会を作るべきである

ある年齢以下の日本人なら、学校などで「戦争体験を語る会」に参加させられたことはあるでしょう。戦争体験者(空襲被害者や原爆被害者)の講演を聞く会です。そんな風に「戦争を語る会」があるなら、私は「いじめを語る会」があってもいいと思います。 私の…

いじめ問題の教訓をパワハラ撲滅に活かすべきである

「パワハラを漏らさず把握し、撲滅に専念する公的機関を新設すべきである」に述べた提案の実現は容易でないでしょう。その方法を実行するためには、新規の法律と予算が国会審議にて可決されなければなりません。多くの国民が上記の提案に賛同して、それを実…

パワハラ撲滅がもたらす経済効果

パワハラの撲滅に成功すれば、社会に高い寛容性が浸透して、これまで無職だった者も働けると期待されます。生活保護費支給の約3.8兆円も減額できるでしょう(厚生労働省 2015年 生活保護費負担金事業実績報告参照)。 特に若年無業者、いわゆるニートたちの…

パワハラを漏らさず把握し、撲滅に専念する公的機関を新設すべきである

前回の記事のような問題を生むパワハラ撲滅のため、まず、パワハラの完全把握に向けて、使用者から労働者へのパワハラ報告先の告知義務を提案します。既に雇用している人たちに最低でも毎年1回、新しく雇用する人たちには採用時に、パワハラがあれば相談窓口…

パワハラの現状と日本の生産性の低さ

日本の地方労働局に入る苦情のうち、最多の26.0%はいじめや嫌がらせ、いわゆるパワハラ報告です(厚生労働省労働基準局2014年個別労働紛争解決制度実施状況参照)。厚生労働省の2012年調査では、過去3年以内にパワハラを受けた社員は25.3%となっています(職…

いじめ防止対策推進法

前回の記事の大津中2いじめ自殺事件をうけて、いじめ防止対策推進法が成立しました。文科省による行政対策だけでなく、ついに立法政策まで進んだのです。 これまで、いじめなのか犯罪なのか曖昧な事件がありましたが、それらを包括して、いじめと定義してい…

大津中2いじめ自殺事件

前回の記事の続きです。闇に葬り去られるはずだった大津中2いじめ自殺事件の状況が一変したのは、2012年7月です。既に事件から1年近く経過していたのに、共同通信社の記者が「自殺の練習をさせられていた」情報に、今更ながら「1986年の葬式ごっこ事件」を思…

闇に葬り去られたいじめ、非行事件の被害者たち

文科省公表のいじめ件数を見ると、いじめの定義を変えるたびに、いじめ件数が激増して、それから次のいじめ定義の変更までいじめ件数が毎年減少していくサイクルを繰り返しています。こんな文科省のいじめ件数統計があてにならないのは間違いありませんが、1…

いじめ事件、非行事件の被害者を今からでも救うべきである

大河内くん自殺事件の6年後に、またも愛知県で尋常でない恐喝事件が起きます。大河内くん自殺事件では100万円の恐喝でしたが、なんと5000万円の恐喝事件です。100万円が安く感じてしまうくらい被害額が甚大なのに、大河内くん自殺事件と比べると、5000万円恐…

いじめは絶対悪である

私が外国人に、どうして日本でいじめが社会問題となったかを説明するときに、1994年の愛知県大河内くん自殺事件を次のように語っていました。 私「いじめが日本で絶対悪と認識されるようになった事件がある。中学2年生の少年が同級生から暴力を受けて、お金…

いじめ問題の始まり

いじめがマスコミに注目されたのは、1986年の「葬式ごっこ事件」が最初になるでしょう。wikipediaにもある通り、担任教師が、後に自殺する少年の葬式ごっこの寄せ書きを添えていて、自殺後、その行為を生徒たちに口止めするように言っている上、聞き取り調査…

いじめ問題を振り返る

いじめ問題が日本で生じたのは日本のバルブ経済期と重なります。バブル期に日本人は多くの違法あるいは合法の罪を犯していますが、その中でも、いじめ問題は最低最悪の罪だと私は考えています。 文科省調査のいじめ件数は全くあてにならないため私の推測にな…

学歴社会嫌いな私が学歴好きになった理由

私は二度大学を卒業していますが、一度目の大学受験では、二流大学に合格したのに、わざわざ偏差値の低い三流大学に進学しました。 「人を学歴で評価すべきではない。その人の真の知性、内面で評価するべきである」 そんな理念を元にした価値のある決断だと…

観念論でなく教育内容に注目すべきである

日本で「基礎学力教育」と「個性尊重教育」のどちらを重視すべきか、という意味のあまりない議論は耐えることがありません。一長一短であり、どちらも極端すぎるのはいけない、などの当たり前の結論にしか到達しないでしょう。そんな抽象的な観念論よりも、…

保証人制度をなくした場合の金利上昇はいくらなのか

日本社会に非効率な制度は多くありますが、人の流動性を妨げる点で、保証人が異常に浸透した制度は筆頭に挙げられるでしょう。借金をするとき、引っ越しをするとき、入学するとき、入社するときなど、ありとあらゆるときに保証人が必要です。 日本人ほど真面…

日本が国債デフォルトする前に金銭取引を完全公開しておくべき理由

異次元緩和も国債消化には無力に終わりそうなので、日本政府が莫大な国債を本気で消化しようとして、1946年以来の預金封鎖をする可能性は十分あるでしょう。悪夢のように膨張した国債を消化させるためには、預金封鎖、新通貨切替、急激なインフレなどの極端…

ポピュリスト支持者の本当の敵であるグローバリズムの弊害の解決方法

21世紀の現在、資本主義経済は地球規模で急速に浸透しており、世界中で貧困層が急激に富を得ています。発展途上国から安価な商品が入ってくることで、相対的に賃金の高い国の人たちは職を失っています。このため、多くの先進国で外国人排斥を唱えるポピュリ…

バブル期日本の長所

「国家の富は国民の道徳と教養によって決まる」との考えを持っているため、そう思ってしまう側面はあるでしょうが、世界で日本の存在感が最も大きかったバブル期(世界のGDPに対する日本のGDP比が最も高かった時代と一致しますが)、日本は相対的に他の先進…

共産主義が失敗した思想的理由

共産主義が失敗した一番の理由は計画経済の非効率性にあったと私は確信しています。ただし、他にも理由はいろいろあげられるでしょう。思想的な側面でいえば、本来利益を受けるはずの下層大衆が利益を受けていると理解できなかったことにある、と私は考えて…

言葉は性格である

「英語で話すと、日本語で話すより、言い方が率直になる」 そんなことを感じる人は多くいます。私もその一人です。私はこの現象を「言語によって性格が変わる」と表現しています。 私は日本語を母語としてない300名以上の外国人と日本語で話しています。そこ…

中国人とつきあえない日本人がインド人とつきあえるのか

2000年頃には、いずれインドが人口で中国を追い抜き、中国同様に急激な経済成長を遂げて、21世紀中にアメリカを経済力で上回る大国になることを、私は知っていたように思います。1990年代には「21世紀は中国の時代だ。この波に乗り遅れるな!」という記事を…

好むと好まざると中国経済の影響を受ける日本

中国人が旅行中に高級品を買い漁る「爆買い」という言葉が2015年に流行語大賞をとりました。この「爆買い」のように、日本人が好むと好まざるにかかわらず、いまだ成長の止まらない中国から受ける影響力はしばらく増え続けます。 隣国に経済大国が誕生してい…

21世紀に大戦争が起こる可能性

アラブの春が起こっても、中東での民主化が一気に進むという夢は実現しませんでした。友人のイスラエル人にその理由を聞くと、こんな答えが返ってきました。 「フランス革命後にフランスで一気に民主化が進んだわけではない。独裁者が出たり、王政が復活した…

21世紀を大局的に見る

世界の人口の大部分を占める発展途上国は、20世紀までは後進国と呼ぶのが適切だったのでしょうが、現在は文字通りに爆発的に発展しています。産業革命の恩恵を一気に獲得している人たちが地球規模で何十億もいるのと対照的に、先進国の発展は停滞しています…

変化のスピードが恐ろしく遅い時代

18世紀末に始まった産業革命は有史以来最高の急激な変化を世界中にもたらしています。いち早く産業革命を達成した一部の国家群は20世紀まで、良くも悪くも世界全体を動かしていました。ついに21世紀には先進国だけでなく、世界中のほぼ全ての国に産業革命の…

最低な日本人の国際感覚

「アジアを見下して、西洋を尊敬する」のは最低な日本人の国際感覚でしょう。一方で、多くの日本人が持っている感覚でもあります。 私はそれと反対の国際感覚を持つべきだと長年考えていました。今でも「アジアに敬意を払うべきだが、西洋に敬意を払う必要は…

日本人の美徳は国際的にも美徳である

前回の記事の続きです。 謙虚さが西洋でも通用するように、英語に敬語はありませんが、相手に敬意を示す表現は世界中のどの言語にもあります。当然、教養の高いカナダ人も頻繁に丁寧な表現を使っていますし、品のないカナダ人はスラング(俗語)ばかり使いま…