未来社会の道しるべ

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観念論でなく教育内容に注目すべきである

日本で「基礎学力教育」と「個性尊重教育」のどちらを重視すべきか、という意味のあまりない議論は耐えることがありません。一長一短であり、どちらも極端すぎるのはいけない、などの当たり前の結論にしか到達しないでしょう。そんな抽象的な観念論よりも、現場の教育をより重視すべきです。

日本にも教育についての本は山のようにあります。しかし、私が図書館でいくら調べても、国際的なカリキュラム(教える内容)を詳細に調査し、比較した本を見つけられませんでした。「日本では小2の2学期に九九を習うが、カナダでは九九に相当する内容は〇年で教えるが完璧に覚えさせるのではなく通年での電卓教育に力に入れていて、イギリスでは地区によって違うが平均は×年で、韓国では……」といった内容の本がないのです。私は学者でもなく教育学の専門教育すら受けていないので、単に文献検索する能力がなかっただけかもしれません。国際教育内容を比較した本が日本にあるのなら、ぜひ下のコメント欄に書いて教えていただけると助かります。ただ、もしそんな本が本当にないに等しい状況なら、日本は具体的なカリキュラム(なにを教えるか)について国際比較をろくにしないで、現場の教育の役に立たない観念論ばかりしていたことになるでしょう。

教育内容の違いは、極めて重要です。今より1世代以上前なら、有名中学、有名高校に進学するためには、塾に通うことが必要でした。私は大学に入ってから、ある進学塾のテキストを見て、その内容の素晴らしさに仰天しました。「有名中学、有名高校の入試では、学校に普通に通っていただけでは、まず解けない問題ばかり出していたのか。それを理解できるように、塾ではこんなに体系的な教育が行われているわけだ。入学時にそれほど差がついているなら、有名私立高校生に、公立高校生が負けるのも道理だ」と、中学、高校と一度も塾に通わず、三流大学に入った私は感じました。

話は飛躍しますが、私が最もなりたい職業は国際教育の研究者です。世界中の教育内容、教育方法を調べ尽くして、統計的に最も効果的な教育内容、教育方法を追い求め、未来の世界を担う子どもたちに科学的に求めた最適な教育を提供することです。残念ながら、他の多くの人と同様、私にはなりたい仕事に就く能力と意思力と幸運に恵まれなかったので、違う仕事をしていますが、私を理解してくれる結婚相手と数名の子どもを養うだけの十分な給与があるなら、現状より給与が低くても全く構わないので、国際教育の研究をしたいと今でも本気で思っています。