2017-01-01から1年間の記事一覧
高齢者ほど貯蓄額が高い問題は、ここ最近の話ではありません。私の知る限り、バブル時代の1980年代には日本の重大な経済問題として取り上げられていました。この問題の根本原因には、日本の年功序列賃金制度があります。年次が上になるほど高賃金になります…
内閣府発表では、2016年で世帯主が65才以上である場合、平均貯蓄額は2499万円です。日本では、高齢者ほどお金持ちになる、と統計によって明らかにされています。ただし、常識で考えて、高齢者は医療・福祉以外に大したお金の遣い道はありません。そんな高齢…
「日本人の一人当たりの平均金融資産は約1千万円です。これは赤ちゃんも含めた全日本人の平均額です」 「え! それなら、4人家族の自分だと、4千万円の貯金がある計算なのか! 貯金どころか、家のローンがあと何年も残っているのに。いかに自分の家が貧乏か…
「西洋人は政治や宗教の話が大好きである」にも書いたことですが、性について議論するのは難しいです。ほとんど全ての人にとって関心が強く、重要だからです。わずかな違いでも、大きな差に感じて、言い争いになることも珍しくありません。 「非暴力を成功に…
「オリーブの罠」(酒井順子著、講談社現代新書)というバブル世代の著者の本では、「自分のために美しくなろう」という言葉が出てきます。その意味するところは「全方位的におしゃれな女の子」を目指すことのようです。全方位的といっても、私が「世界一自…
個人としての日本人ほど、他人からどう見られているか、どう思われているかを気にする意識=自意識(self-awarenessではなくself-consciousness)が過剰な人はいないでしょう。私は日本人にしては自意識が低い方だと思いますが、それでも海外にいる時と比べて…
日本の医療不満では、待ち時間の長さが上位に来ることがあります。その一方で診察時間は極めて短いです。いわゆる「3時間待ちの3分診療」と呼ばれる問題です。他の先進国の医療事情をある程度知っている私からすると、これは贅沢な不満だと思います。 診察待…
私は小学生の時、魏志倭人伝を習いました。最も古い書物による日本実在記録です。しばらくして、マンガの「中国の歴史」を読んでいるとき、ふと気づきました。 (魏は三国志の曹操の国じゃないか。魏志倭人伝とは、中国の歴史書の一部だ。他国の歴史書が自国…
上記の表は「スウェーデンにおける医療福祉の舞台裏」(河本桂子著、新評論)からの抜粋で、著者が務めるスウェーデンのリハビリセンターでの活動件数です。日本人医療者にとって驚きなのは学校訪問と家庭訪問の数でしょう。10件の通院患者に対して、学校訪…
スウェーデンなどの北欧国家は福祉先進国との固定観念が日本にあります。日本以外でこの固定観点が強いかどうかまで知りませんが、普通の日本人が北欧の医療・福祉を体験して、感激することはまずないと思います。私も北欧の医療や福祉を褒めている日本人に…
国全体での医療費高騰の一番の原因を次の中から選べ。 1、国民所得の上昇 2、医療技術の進歩 3、高齢化 4、医療保険の普及 5、病気の蔓延 日本の医学部には準国家試験に等しいCBTという全国統一試験があります。現在それに合格しないと、5年生以降の病…
「日本は世界最高の高齢化先進国ですから、日本がどうやってその問題に対処していくのか、私たちは注目しています」 大学時代に留学生たちから、こんな言葉をよく聞きました。日本の高齢化率が世界最高だということは、どんな発展途上国から来た人でも知って…
「あなたはマスコミに洗脳されていない自信がありますか?」 ここで「全く洗脳されていない」と自信を持って言う人は、返って危険でしょう。新聞やテレビニュースを全く見ない人でも、マスコミでニュースを作る側にいる人でも、どんな人でも、自分が思ってい…
「あなたは母国が戦争したときに、戦争を支持する大衆の一人にならない自信がありますか?」 日清戦争、日露戦争、満州事変、日中戦争、太平洋戦争、これら全ての戦争で日本の一般大衆は開戦前から熱狂的に戦争を支持しました。「どうして日本はあんなバカな…
「日本外交のトラウマ」の記事で小沢一郎を名指しで批判したので、彼が日本最高のタカ派でないことを示しておきます(私がそう思っていないことを示しておきます)。「日本改造計画」(小沢一郎著、講談社)に書いているように、小沢一郎は自衛隊を国連軍と…
前回の記事の続きです。 湾岸戦争時の日本外交を例えるなら、次のような話になるでしょうか。 街のガソリンスタンドがテロリストたちに襲撃されたとします。あなたは他のガソリンスタンドを使うこともできたので、あまり関心がなかったのですが、街の自治会…
湾岸戦争は1990年8月、イラクがクウェートに侵攻したことがきっかけとなって勃発しました。冷戦中はアメリカとソ連の拒否権発動でまともに活動していなかった国連安保理が、冷戦終結により一致団結して多国籍軍を結成し、1991年1月、あっという間にクウェー…
先日、ある飲み会で自己紹介しました。自分の子どもが欲しいこと、子どもの教育本を100冊以上も読んでいることを熱弁しました。 「あれ? 結婚してましたっけ?」と聞かれて、「結婚どころか彼女もいません!」と言うと大ウケして、次に「子どもの名前はなに…
前回までマザー・テレサ、ナイチンゲール、ガンジーと3名の私の尊敬する人物を紹介させていただきました。この3人は自分を犠牲にしてでも他者のために生きていますが、なぜそんなことができたのでしょうか? その理由は誰にも特定できないでしょうが、3人と…
20世紀に最も人類に貢献した人物といえば、ガンジーだと私は考えています。もっと言えば、人類史上で彼ほど偉大な人物はいない、とさえ考えています。 暴力に対して非暴力で対抗する理想主義を主張するだけでなく、その実践により、大英帝国が絶対に手放した…
ナイチンゲールは資本主義勃興期のイギリス家庭に生まれました。貧富の差が極限まで広がっていた時代の上流階級であり、名前のフローレンスはイタリアの都市「フィレンツェ」のことです。両親が2年間の新婚旅行中にフィレンツェでナイチンゲールを産んだこと…
マザー・テレサというと、若い世代には歴史上の人物でしかないでしょう。生まれたのは1910年でオスマン帝国と聞くと、なおさらのはずです。 テレサはその地方では裕福な家で育ち、幸せに満ちた子ども時代を過ごしていたようです。敬虔なカトリック教徒であっ…
代議制民主主義の国では、国民が民主的な投票によって代表者を選び、その代表者たちが国民の守るべき法律を定め、税金をどう徴収するかを決め、税金をどう使うかを決めます。 これは合理的に思えるのですが、なぜこの政治形態が上手くいかないのでしょうか。…
どんな時代のどんな社会でも、幸せな人はより幸せになりやすく、不幸な人はより不幸になりやすいです。それを是正するため、自由や平等を尊重する民主主義国家が誕生したのでしょうが、完全ではありません。 幸せな人は幸せになりやすく、不幸な人は不幸にな…
私がブラック企業にいた頃、同じ現場で毎日パワハラに耐えている同僚が「他の叱責は仕方ないにしても、そう言われることだけは我慢ならない」と口を揃えていた不満があります。上司からの次のような叱責です。 「ここでダメだったら、どこいっても同じだから…
私はこちらのブログで何度もカナダの自由と平等を称賛してきました。しかし、人生の重要な分岐点である就職について、カナダは自由でも平等でもありません。 カナダで就職を目指そうとする複数の日本人およびカナダ人から聞いた言葉ですが、カナダでは「なに…
前回の記事の最後で、「医学では、統計による根拠はメカニズムによる根拠に勝る」ことを示しただけで、文部科学省批判までしているのは論理の飛躍があるので、捕捉しておきます。 身の回りのことで、理由を説明できることはどれくらいあるでしょうか。電車が…
ノーベル賞受賞者の山中伸弥と将棋の羽生善治の対談動画あります。 www.youtube.com この動画の25分以降に、羽生が「AIは確率的にこちらが正しいと言っているだけで、その理由の説明がない。医療のような世界で、理由がよく分からないのでは、命を預けられな…
私が小学生の頃です。タチの悪い友だちが得意気にこんなことを言っていました。 友だち「知っているか? アメリカでは銃で人を撃っても、『撃たれそうになったから撃った』と言えば罪にならないんだぜ」 私(バカ言うな。そんなことあるわけないだろう) そ…
若い世代には通じないでしょうが、10年ほど前、日本には「PISAショック」という言葉がありました。「国際的な学力テストのPISAで日本の成績が下がったショック」を意味しています。PISAショックは、当時導入されていたゆとり教育批判の根拠にもなりました。…