2000年頃には、いずれインドが人口で中国を追い抜き、中国同様に急激な経済成長を遂げて、21世紀中にアメリカを経済力で上回る大国になることを、私は知っていたように思います。1990年代には「21世紀は中国の時代だ。この波に乗り遅れるな!」という記事をよく読んだ記憶がありますし、今でも中国語の重要性を述べる記事はよく見かけますが、「21世紀はインドも経済大国になる。今から戦略的に投資しておくべきだ!」という記事はあまり見かけないように私は感じています。その大きな理由の一つは、日本人にとって、インドは中国より地理的にも心理的にも遠い国だからでしょう。
「深夜特急」(沢木耕太郎著、新潮文庫)の影響もあり、私は10年間くらい最も行きたい外国がインドで、最初に選んだ外国旅行は当然のようにインドでした。その後、中国にも長期滞在した経験からいえば、「中国人とうまくつきえない日本人がインド人とうまくつきあえるのだろうか」との疑問はどうしても出てきます。失礼ながら、日本人は中国人を、マナーが悪い、声がデカい、不潔だ、とよく批判しますが、大変失礼ながら、インド人は中国人よりもマナーが悪く、声がデカく、不潔です。私は「中国の実態は誰も知らない」と書きましたが、インドの実態は中国の実態よりも遥かに混沌としています。中国人には常識が通じないと不平を言う日本人はぜひインド人と深く交流したり、インドに旅行したり、インドに住んでみてください。よほど変わった日本人でない限り、中国はインドよりも日本の常識がずっと通用すると感じるはずです。
21世紀にインドがアメリカ以上の経済大国になるので、日本は嫌でもインドの経済力の影響を受けることになります。あまりいい表現ではありませんが、その時になれば「インドと比べれば中国は天国だった」と感じる日本人が激増することでしょう。中国の次はインドが台頭すると分かりきっているので、今のうちに、まだしも交流の容易な中国人とは仲良くなっておくべきだと思います。