未来社会の道しるべ

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戦争と大衆

「あなたは母国が戦争したときに、戦争を支持する大衆の一人にならない自信がありますか?」

日清戦争日露戦争満州事変、日中戦争、太平洋戦争、これら全ての戦争で日本の一般大衆は開戦前から熱狂的に戦争を支持しました。「どうして日本はあんなバカな戦争をしてしまったのか?」は、第二次大戦後、何万回も日本人の中で問われていますが、「一般大衆が戦争を支持したから」がその最大の理由でしょう。つまり、日本人である「あなた」の責任でした。

GHQが戦争責任を軍人や政治エリートに限定してしまったことは、日本史上において痛恨の失敗だったと私は考えています。だから、現在に至るまで、日本人の大衆は「軍部が庶民を無理やり戦争に巻き込んだ」「空襲や原爆で庶民は耐えがたい苦痛を受けた」と考えて、第二次大戦の被害者意識から抜け切れていません。

「突然、小さな紛争が起こり、死傷者が出たために、お互いの敵愾心が強くなり、小競り合いを繰り返しているうちに戦闘は大きくなっていき、気づいたら、大戦争になっていた」ということが現在の日本で起こる可能性がゼロでない、と私は考えています。特に、このような流れができたとき、日本の一般大衆が歯止めになることは期待できないように私は考えています。私は自身のブログで政治家やジャーナリストなどのエリートを何度も批判していますが、「学歴社会嫌いな私が学歴好きになった理由」に書いたように、それでも知的エリートは一般大衆よりは高い倫理観を持っていると、自分の経験から考えているからです。

だから、世論を誘導できるマスコミには期待しています。自分が会ったこともないスポーツ選手が金メダルを獲っても自分の人生にはなんの関係もないのに、マスコミが報道しているだけで、一緒になって興奮してしまう被洗脳者が溢れているこの国で、マスコミが果たせる役割は大きいはずです。

しかし、次の記事に書くように、人間社会の性質とマスコミが私企業である以上、マスコミに戦争勃発を止める力はないようにも思います。

現在、メディアは新聞やテレビ以外にも、一般大衆が作るネット上に多く存在しています。これによって、マスコミの暴走を防ぐ効果はあるでしょう。このブログを読むような方は、広い視野と物事の本質を見抜く力をある程度持っているでしょうから、日本が本当に戦争に進みそうになった時、国境紛争が起こった時、ネットで情報発信して、その動きを逆転、静止、あるいは抑制してほしいです。

極端な話、たとえ戦争になったとしても、そんな良心的な日本人がいたことだけは一つでも多く記録として残しておいてほしいです。