「西洋人は政治や宗教の話が大好きである」にも書いたことですが、性について議論するのは難しいです。ほとんど全ての人にとって関心が強く、重要だからです。わずかな違いでも、大きな差に感じて、言い争いになることも珍しくありません。
「非暴力を成功に導いたガンジーの実像」の記事で私はガンジーを批判していますが、性についての問題はとりあげませんでした。しかし、「ガンジーの実像」をネットで検索したら、ほぼ全てのサイトで性についての問題を扱っています。ガンジーは晩年、彼を暖めるため、若い女性たちに服を脱いで、身体をぴったり寄せて寝るよう要求した、というスキャンダルです。古今東西、一般大衆はこんな性的な話に興味津々です。質の低いスキャンダルな情報が集まるネット上で、この話題ばかり取り上げられるのは必然なのかもしれません。
ただし、「ガンジーの実像」(ロベール・ドリエージュ著、白水社)を読めば分かる通り、この節のタイトルは「スキャンダラスな関係?」と疑問符がついています。根拠となっている出典は事実上一冊だけのようです。現在の日本でもそうですが、性的スキャンダルについては、あることないこと書かれるのは世の常です。ガンジーの同行集団に若い女性がいただけだったのに、上のような事件があった、と書かれたのかもしれません。
性についての本質的な要素から考えると、従軍慰安婦は極めて難しい問題でしょう。性に関するだけでなく、政治にも関わっていますから。日本の政治家の問題発言を封じるのも、韓国人の感情的な反対運動を封じるのも、しばらくは無理かもしれません。日本も厄介な問題を抱えてしまったものです。