「幕末の動乱は不可避だったのか」で書いた結論とほぼ同じですが、別の視点から考えます。日本人の多くが開明思想を持っていれば、アメリカと不平等条約を結ぶことはなかったでしょう。また、かりに結んだとしても、維新期の最初に、つまり岩倉使節団派遣の頃に、日本の法体系を西洋列強並みに整備して、民主選挙を実施して(当然、このために日本人に開明思想を大規模に普及しなければなりませんが)、不平等条約も改正できたはずです。
極論すれば、たとえ日本がアメリカと戦争して植民地化されたとしても、日本人全員が開明思想を持っていれば、怖くなかったはずです。アメリカもそんな日本に圧政を敷かなかったでしょうし、かりに圧政を敷いたなら日本人たちが反乱を起こして、すぐに独立を達成したでしょう。
幕末・維新の改革の最重要項目、あるいは最終目標は、日本人に開明思想を身に着けさせることにあった、と私は考えています。そのためには、経済を発展しないといけない、交通・通信インフラを整えないといけない、公衆衛生を発展させなければいけない、などとなるわけですが、最重要項目は国民の啓蒙にあったと考えています。日本人全員が高い教養と道徳観を持っていれば、あらゆる近代化と経済発展が円滑に進んだと考えるからです。
そして、それは現在でも変わらないはずです。