未来社会の道しるべ

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日米和親条約にある不平等条項

これも日本開国史(石井孝著 吉川弘文館)によって始めて知ったことですが、日米修好通商条約だけでなく、日米和親条約不平等条約でした。日米和親条約治外法権が一部認められうることもそうなのですが、今回注目したいのは片務的最恵国待遇条項が入っていることです。日本が他国に優遇措置をとると自動的にアメリカにもそれが認められる条項です。アメリカも日本に同様の最恵国待遇を認めていれば不平等条約ではないのですが、それはありません。ペリーはこの条項を「最も重要な条項」と誇っています。上記文献の著者はこの条項を「不平等条約の根幹の一つをなす」と書いています。実際、日本側の無知により、これから数年で日本は顔が青ざめるような不平等条約をどんどん結んでしまうのですが、この条項さえなければ、そこまで簡単に日本が騙されることもなかったと分かります。

ここでまたありえない、というか情けない歴史的事実を書きますが、そんな国家の命運を決める重要条項が、前記事にあった「下級役人が上司と相談することもなくペリーとあっさり決めた条項」の一つです。どれだけ強調してもいいと思うので繰り返しますが、日本はこの不平等条約の改正に50年もかかり、その間、何回も内戦を行い、大きな対外戦争も行っています。現代の全外交官の何%がこの痛恨の失敗を知っているか、誰か調べてもらえませんか?