未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

2023-01-01から1年間の記事一覧

育児休暇よりも「育児もできなかった休暇」をもうけるべきである

育児休暇が増えれば増えるほど世の中がよくなるわけではありません。 朝日新聞を読んでいると、こんな当たり前のことを理解していない奴が朝日新聞の記者をしているんじゃないか、と思ってしまったので、書いておきます。 たとえば、「育児休暇は男性でも、…

胎嚢を見せる産科医こそ倫理観に優れる

前回の記事に書いたように、キリスト教国と比べると日本は堕胎に極めて寛容です。 だから、6月9日の朝日新聞の耕論には、朝日新聞の購読を止めようと思うほど、怒りが湧いてきました。とりわけ腹が立ったのは、次の文章です。 「中絶を罪悪視する医療者もい…

私がカナダで唯一反論できなかった意見

キリスト教国に住んだことのある人なら知っているでしょうが、人工妊娠中絶は激しい対立を生みやすい問題です。それにもかかわらず、「西洋人は政治や宗教の話が大好きである」に書いたように、キリスト教徒が圧倒的に多い西洋先進国では、人工妊娠中絶問題…

こんな人が日本のAIの最前線にいたのか

5月29日の新井紀子の朝日新聞記事を読んで、失望しました。こんな人が国費の投じられた東ロボ(東大合格を目指すAI)プロジェクトのリーダーになれたのが不思議です。なお、東ロボは2016年に「東大合格は無理」とプロジェクトが終了しています。もっとも、「…

こんな社説が大新聞に載っているから日本のIT化は進まない

5月25日の朝日新聞社説からの引用です。 「マイナカード 拙速な活用拡大反省を」という見出しで、「拡大一辺倒の姿勢を改め、安心して使える環境を整えることに注力しなければならない」という結論で終わっています。マイナンバーカードにより複数の経路で情…

子育て保険

前回までの記事の続きです。 世界史上最高の高齢者天国・日本を支える重要な柱の一つが、「高齢者以上に現役の社会的弱者にも個別事情に応じた人的援助を与えるべきである」にも書いたように、月5~35万円も1割負担で使える世界史上最高の介護保険です。 日…

子育てなしなら年金ゼロ

前回までの記事の続きです。 「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」(山田昌弘著、光文社新書)は日本の少子化対策の失敗原因の本質を解説している素晴らしい本です。しかし、残念ながら「では、どうすればいいのか」についてはほとんど書かれていません…

なぜ欧米の少子化対策は日本で無効だったのか

前回までの記事の続きです。 「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」(山田昌弘著、光文社新書)の著者は「パラサイト・シングル」という言葉の生みの親です。(南欧を除く)欧米では、学校卒業後、男女とも親の家を出て自立して生活するのが一般的ですが…

非正規雇用の女性が子育てと仕事の両立で悩むわけがない

前回までの記事の続きです。 「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」(山田昌弘著、光文社新書)によると、日本の少子化対策は、欧米の少子化対策を見習ったため、失敗しました。欧米で広まった「仕事による自己実現」という考え方は、日本では少数の女性…

日本の男性はなんてかわいそうなんだと西洋男性に同情される

前回の記事の続きです。 「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」(山田昌弘著、光文社新書)にある下のアンケート結果を見てください。 上記の本では、「日本の少子化対策が失敗した理由は、西洋の少子化対策を模倣したからである」と繰り返し主張してい…

日本の少子化対策はなぜ失敗したのか

「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」(山田昌弘著、光文社新書)は素晴らしい本です。この本を読めば、他の少子化の本は読まなくていい、むしろ読まない方がいい、と言えるほど本質を突いています。日本の少子化対策として、保育所の確保だとか、女性…

インセル問題と少子化

下のようなデータを知っているでしょうか。 コンドーム会社Durexのセックス回数の国際比較調査です。こちらの記事のように東大教授も引用しているデータで、毎回日本が必ず最下位になり、しかも下から2番目のシンガポールの6割ほどです。 このデータが事実か…

一人一票の多数決が間違いを導く代表例がインドにあった

「コルニーロフの反乱がなかったら、現在の世界はどうなっていたのでしょうか?」 「21世紀に世界の中心に出現した国はなぜ共産主義なのか」に書いたように、「(くだらない)コルニーロフの反乱がなければボルシェビキ革命(10月革命)は存在しなかった」と…

「資本主義と共産主義」あるいは「民主主義と共産主義」が対立しない実例は70年以上前からインドにあった

私が生まれる前の話になりますが、「民主主義=資本主義」という考え方が、戦後から1970年代くらいの日本人には強くあったようです。昔の本を読むと、「共産主義VS民主主義」という言葉、あるいは考え方が、特に反共産主義派(資本主義擁護派)から頻出しま…

なぜミャンマーで2021年の軍事クーデターが起きて、今後ミャンマーはどうなるのか

21世紀初頭、ミャンマーは20年間も憲法を無視した軍事独裁政権が続いていました。しかし、2008年に憲法ができ、2011年に軍最高司令官とは別の大統領が憲法にのっとって就任し、2016年に民主選挙による政権移譲が行われました。ミャンマーの民主化は着実に進…

2010年代のミャンマーの民主政治期

2021年2月1日にミャンマーで軍事クーデターが起きます。事実上の最高指導者であるアウンサンスーチーが拘束され、「ミャンマー現代史」(中西嘉宏著、岩波新書)によると、「2011年以来続いていた民主政治」が終わりました。 ミャンマーは軍事独裁政権が長く…

世界で最も注目すべき国はインドである

タイトルをより正確に修正すれば、「現在、注目されるべき程度と、実際に注目されている程度の差が最も大きい国はインドなので、インドは最も注目すべき」になります。 日本だと、この命題は間違いなく真でしょう。もう既にインドはG7の多くの国をGDPで抜い…

中国はアメリカのようだが、インドはヨーロッパのようだ

先日、久しぶりの海外旅行でバリ島に行きました。千年以上の歴史あるダンスのようで、実際は西洋人のために100年ほど前に作られたケチャダンスを観ていた時、妻が観客席を指して「人種のるつぼだね」と言っていました。 そこには500人くらいの観客がいたと思…