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インセル問題と少子化

下のようなデータを知っているでしょうか。

コンドーム会社Durexのセックス回数の国際比較調査です。こちらの記事のように東大教授も引用しているデータで、毎回日本が必ず最下位になり、しかも下から2番目のシンガポールの6割ほどです。

このデータが事実かどうか、いつも議論になります。女性の自慰率同様、セックス回数の国際統計比較など、まず正確にできないのは事実です。しかし、東大教授でもこのデータを引用するくらい、現在、これ以上に科学的なデータは存在しません。私の国際経験からしても、このセックス回数の国際比較データは事実に近いと思えます。日本ほどセックスレスの国は存在しないと私は推定しています。

このセックスレスが日本の少子化オタク文化の隆盛、その他多くの文化、社会問題の背景にあるはずです。少なくとも、このセックスレス統計を無視して、少子化問題を論じていたとしたら、問題の本質を避けていると断定していい気がします。日本の結婚社会学の第一人者と自称している(私もそう考えています)山田昌弘は、「『少子化問題保育所問題』ではないと30年以上前から言ってきた。しかし、『女性が自分や自分の父以下の収入の人と結婚しないから、少子化が進んでいる』と1990年代に本当のことを言ったら、『そんなこと出版や放送できません』とどこからも断れた。結局、日本は少子化問題を本気で解決する気がないんじゃないか」と何度も書いていますが、それと同様、セックスレスの問題を扱わなければ、少子化問題もなんら進展しないでしょう。

話は少し変わります。英語で「できちゃった結婚」をなんと言うか、知っているでしょうか。Shotgun weddingです。娘を妊娠させたことに激怒した父が、ショットガンで相手を脅して結婚させるから、という意味です。東洋ではそんな恐ろしい文化などありません。女性が妊娠した場合、娘の父がショットガンで脅さなくても、素直に男性は結婚してしまいます。婚外子の比率が、東洋より西洋が圧倒的に多いのは、ここに改めて示すまでもないでしょう。

なぜ、西洋では婚外子が当たり前になったのに、東洋ではいまだに極めて珍しいのでしょうか。この理由は一つではありません。最大の理由は、東洋だと女性が一人で子どもを育てていくのが大変で、西洋だとそれが容易なことでしょう。

ただし、もう一つ、あまり公言されない理由があると私は確信しています。それは上のセックスレス統計と関連します。東洋の女性、とりわけ日本女性が、よほどの高ランクの男性としかセックスしないから、またその高ランク男性とすら、結婚前に、あまりセックスしないからです。西洋女性は、結婚したいと思わない男性ともよくセックスしますが、東洋女性は結婚したいと思わない男性なら、まずセックスもしませんし、結婚したいと思う相手でさえあまりセックスしません。端的にいえば、西洋女性より東洋女性は男性を選り好みして、警戒して、拒否しているのです。

もしそうでなければ、妊娠が発覚した時、東洋男性は西洋男性より女性に優しく、結婚してあげていることになりますが、そんなことはまずないでしょう。現代なら、洋の東西を問わず、結婚の主導権あるいは選択権は女性が持っているはずです。未婚で妊娠した場合、西洋女性より東洋女性が妊娠相手と結婚したい割合が高いから、できちゃった結婚が東洋で多いはずです。

また、「結婚不要社会」(山田昌弘著、朝日新書)でも書いてある通り、東洋女性は結婚相手に収入を求める傾向があるのに、西洋女性は結婚相手に愛情を求める傾向があります。だから、結婚後も、西洋人よりも東洋人がセックスレスになります。ただし、ここでは結婚後のセックスレス問題は無視します。

日本では、結婚適齢期の多くの若い男性がセックスレスであり、その中でも最多グループはセックスゼロです(私はこれを事実と確信するので、あえて統計を示さず断定します)。これも公言できないことでしょうが、どうも昔は風俗が若い男性でも入れるほど安かったようです。しかし、ビートたけしがどこかの雑誌で書いていましたが、若い女性の数が減っている上、高収入の高齢男性たちが値段を吊り上げているので、現在、収入の低い若い男性が風俗に行きにくくなってしまいました。結果、恵まれない男性のセックスゼロがますます増えています。

この欲求不満の男性たちがいたからこそ、日本でオタク文化が世界最高に隆盛したと私は確信します。オタクは生身の人間と付き合うことができないから、マンガやアニメに逃げているという印象は、東洋でもありますが、西洋だと、さらに強くあります。恥ずかしながら、私もそれに抗弁できないオタクの一人です。

オタク文化が社会的地位を得てきたので、以前とはだいぶ変わってはいますが、ほとんどの日本女性は、いまだオタクを「気持ち悪いもの」と感じているでしょう。しかし、世界最大のセックスレス大国(女性が男性を拒否している国)なのに、下のようにレイプ犯罪は世界最小であるので、日本女性は日本男性にもっと感謝してもいいのではないでしょうか。

こんなことを書くと、「レイプされないことで男に感謝する女などいるわけない。あなたは殺されないことで犯罪者予備軍に毎日感謝しているのか」と反論されそうなので、書いておきます。これまでのブログを読めば明らかですが、自ら暴力的になるヤクザは私が最も嫌う人たちですが、恵まれないのに犯罪者にならない人たちには、私は常に感謝しています。それは「『秋葉原通り魔事件の犯人の母の罪は取り返しがつかないものだったのか』また『犯人に彼女がいれば秋葉原通り魔事件は起こらなかったのか』」や「私は『黒子のバスケ事件』の犯人である」に書いてある通りです。