日本に限った話ではありませんが、歴史科目では人物名を記憶することが主な勉強内容になりがちです。本来、歴史はどの時代にどんな事件が起きて、それによって民衆の生活がどう変わったかが重要であるはずですが、教科書にそんな記述がほとんどなく、当然、教師もそんな内容を教える時間がほとんどありません。「歴史は暗記科目ではない」は歴史教科批判の常套句で、1人の王の名前よりも、その下にいる数百万の民衆の生活に注目すべきであることは誰でも分かります。
同じ批判は、現代の政治ニュースにもあてはまるでしょう。本来、日本の総理大臣の名前だとか、アメリカの大統領の名前など一般大衆にとってはどうでもよく、どの国でどんな政策が実施されて、それによって民衆の生活がどう変わるのか、変わったのかが重要なはずです。しかし、現実には日本はもちろん、特にアメリカなど海外の政治ニュースは、選挙で誰が選ばれた、誰が勝ちそうだ、誰がスキャンダルに巻き込まれたなど、くだらない政争の話がほとんどです。
「韓国社会の現在」(春木育美著、中公新書)を読んで、この10年ほどの韓国の政治改革について、新聞を毎日読んでいる自分がここまで無知であったことに愕然としました。同時に、日本の全ての大手マスコミが韓国に現地駐在員を常駐させているはずなのに、ここまで参考になる、参考にすべき韓国の政策情報が日本でろくに報道されていないことに憤りを感じたので、あえて上記のことをここで訴えました。