未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

「薬品業界は不正の温床」という格言

海外の医学会に参加して、全てのパンフレットの裏表紙に「当学会は製薬企業から金銭支援を受けていません」と書いてあるのを見て、異様に感じる日本人医師たちが(残念ながら)います。ちなみに日本では、ほぼ全ての学会で製薬企業がスポンサーに入って、医者家庭で育った金持ちたちでさえ「一体どこで買ったんだろう」と思わせるほど豪華な弁当を無料で配るのが普通です。私は一度「この豪華弁当代金が最終的に患者負担、保険料負担、税金負担になることは知っていますか?」と学会参加医師たちに聞いたことがありますが、鼻で笑われて終わりました。

MRという職業があります。病院やクリニックに薬の営業をする仕事をしています。日本中おそらく全ての大学病院、および、ほとんどの大病院の医局前で列を作っている人たちです。医師が通るたび礼儀正しく会釈をして、医師と話せるまで何時間でも背筋を伸ばして立っています。待っている時間はなんら生産的な活動をしていませんが、当然、勤務時間内なのでMRの給料は発生しています。明らかな無駄で、恐らく日本中の医者がこの制度を恥ずかしく思っていますが、まだなくなっていません。

日本の医薬分業を最も推進してきたのは日本調剤の三津原博社長でしょう。医薬分業とは、簡単にいえば、病院から薬局を分離させる政策のことです。そのせいで、昔は病院で薬をもらえたのに、今は病院ではもらえず、薬局で薬をもらっています。患者さんの手間がかかるだけならまだいいのですが、前回までの記事に書いたように、この過程で莫大な医療費が余計に発生しています。三津原は「医薬分業」を企業理念とする日本調剤を創設して、日本中の病院の前に門前薬局を建てまくり、ボロ儲けしています。ボロ儲けとは決して大げさでなく、三津原は企業役員報酬ランキングで毎年上位に入っており、トップに立ったことさえあります。薬の費用ではなく、薬をもらう行為の費用のピンハネで、毎年5億~7億円もの報酬を受け取っている人物がいるのです。当然ながら、三津原の報酬は、患者、健康保険料、税金から支払われています。