未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

アメリカは不平等条約の締結を目的としていなかった

上記タイトルは、幕末外交について私が最も主張したいことで、事実であれば、幕末・明治の歴史家や外交研究者はもっと注目すべきであり、場合によっては、教科書に記載してもいいと思います。 「日本開国史(石川孝著、吉川弘文館)」によると、ペリーが日本…

西洋人は政治や宗教の話が大好きである

「政治や宗教の話をしてはいけない」という忠告があります。カナダでは、日本以上にその言葉をよく聞いたように思います。実態は、カナダ人は政治や宗教の話が大好きでした。カナダ人に限らず、私の知り合いで教養のある西洋人は、政治や宗教の話ばかりして…

西洋における人権の尊重

カナダにいて最も驚いたことの一つに、自由や平等といった基本的人権が非常に尊重されていることがあります。「国家権力に対して個人の力は小さいので、憲法が個人に与えた力が基本的人権だ」という説を、日本の法学教養本で読んだ記憶があるのですが、私の…

「西洋人はyesとnoをはっきりさせる」はウソである

北米もヨーロッパも、日本と比べると多民族多文化国家であり、お互いに察することができないため、自分の意見をはっきり伝える必要があります。ただし、「あんたなんか嫌い」「あなたは間違っている」「なに言っているか分からない」なんて言えば、相手の感…

カナダ人の寛容性と生産性の相関関係

私がバンクーバーに住んでいた時、市長選挙では麻薬中毒者対策がいつも争点になると知りました。選挙戦では「どうやって麻薬中毒者を取り締まるか」と論ずる候補者はいなくて、どの候補者も「どうやって麻薬中毒者を救うか」と論じています。カナダ人にとっ…

国家の富は国民の道徳と教養によって決まる

私がカナダに長期留学していて、いつも疑問に感じていることがありました。 「カナダ人はこんなに怠け者なのに、なぜ日本人より一人当たりGDPが大きいのだろう?」 また、中国に住んでいた頃に、こんな疑問を感じていました。 「上海は東京並みに商品が豊富…

人間は無意識に自分の過去を肯定する

「徴兵制は国民に戦争への肯定感を与えるので反対だ」 私が友人のユダヤ人に言った言葉です。その意見に、徴兵制のあるイスラエル出身の彼が反対しました。 「徴兵制は国民を戦争嫌いにさせる要素もある。徴兵を楽しみにしている奴なんて、まずいなかった。…

日本で革新的でも西洋では保守的である

日本史をある程度勉強した方なら、天皇機関説を唱えた美濃部達吉は知っているでしょう。どの日本の文献で調べてもらっても、美濃部は非常にリベラルな人物、場合によっては急進的と評してもいい人物として記述されていると推測します。だから、アメリカでピ…

私が日本の最も嫌うところ

私の人間観の一番の柱は「人間は皆同じ」です。これは私が22才の頃に到達した概念で、それ以降、どんな国のどんな人に会っても、この概念が間違っていると思ったことはありません。 聖人も犯罪者も、大金持ちも浮浪者も、大学教授も知的障碍者も、人間は本来…

ソマリランドでの新しい政治制度

「謎の独立国家ソマリランド」(高野秀行著、本の雑誌社)に、国連にも認められていないソマリランドで実施されている珍しい政治制度が書かれていました。「政党を三つに限る」という制度です。ソマリランドは氏族社会であるため、政党の数を限らないと分家…

なぜ岩倉使節団は不平等条約を改正できなかったのか

日米修好通商条約が不平等条約であることは、遅くとも大政奉還が行われた1867年には日本でも周知の事実でした。この頃には、国際貿易や国際法に無知により、日本がアメリカにまんまと騙されたことに気づいていたのです。 不平等条約を結んだ政権を倒して、新…

ハリスを好きになったバカな日本人

有名な不平等条約の日米修好通商条約はハリスによって結ばれました。(余談になりますが、正確にいえば、この時に不平等な領事裁判権が認められたのではなく、それ以前にハリスと下田奉行の間で領事裁判権は認められています。その前に、オランダ使節と長崎…

日米和親条約にある不平等条項

これも日本開国史(石井孝著 吉川弘文館)によって始めて知ったことですが、日米修好通商条約だけでなく、日米和親条約も不平等条約でした。日米和親条約に治外法権が一部認められうることもそうなのですが、今回注目したいのは片務的最恵国待遇条項が入って…

問題先送り外交

「木を見て森を見ず」という言葉があります。些末なことにこだわって、大局的な視野を失くしている状態を指す言葉です。外交に限らず、日本人がしばしば陥る失敗です。一方で、「木を見るべきときに森を見ている」失敗も、日本人はよくするように感じます。…

幕末の動乱は不可避だったのか

当時のアメリカ側の文献を読めば読むほど、ペリーは日本と本気で戦争する意思はほとんどなく、アメリカ本国政府に至っては日本と戦争する意思など皆無と言っていいことがよく分かります。ペリーはあくまで威嚇によって日本に譲歩を迫ったのであり、それにま…

幕末の稚拙な外交政策から日本は教訓を得ているのか

私が中学生だった頃、日本史を勉強していて、最も謎だったのは日米修好通商条約です。これは日本が自由貿易を始める画期的な条約であると同時に、アメリカ人の治外法権を許し、日本に関税自主権がなく、アメリカへの片務的最恵国待遇を認めた不平等条約です…