未来社会の道しるべ

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西洋人は政治や宗教の話が大好きである

「政治や宗教の話をしてはいけない」という忠告があります。カナダでは、日本以上にその言葉をよく聞いたように思います。実態は、カナダ人は政治や宗教の話が大好きでした。カナダ人に限らず、私の知り合いで教養のある西洋人は、政治や宗教の話ばかりしています。

ところで、なぜ政治や宗教の話をしてはいけないのか、知っているでしょうか? 日本では政治や宗教の話をあまりにしないため、なぜしてはいけないのか、理由がすぐに浮かばない日本人すらいます(私は何度もそんな日本人に会っています)。

その答えは、もちろん、言い争いになりやすいからです。政治や宗教は、人の大切な価値観に関わる問題なので、わずかな違いでも大きな対立を生みやすいのです。だから、政治や宗教に限らず、道徳、家族、性などの繊細な話題は、心の琴線に触れるので注意すべきです。

ただし一方で、政治や宗教などは、人が生きる上で極めて重要な問題でもあります。だから、より多くの人の意見を聞き、視野を広げるべきでもあるのです。また、その人にとって重要な問題ほど、その人の内面が分かるので、より話し合うべきだ、という考え方もあるでしょう。

なにごとも争いを避けがちな日本人は政治や宗教の話題には触れませんが、人として根源的に大切なものを重視する西洋人は政治や宗教の話題をよく持ち出すようです。

ただし、これは国民性の違いだけでなく、政治システムや教育にも原因があるでしょう。日本だと政治家よりも官僚が権力を持っており、選挙によって政治があまり変わりませんし、日本人の多くは無宗教です。だから、話題にするもなにも、そもそも日本人は政治や宗教に関心がないのです。また、日本の教育は政治や宗教を議論する能力を育てていません。それについては、これからの記事に書くつもりです。