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「西洋人はyesとnoをはっきりさせる」はウソである

北米もヨーロッパも、日本と比べると多民族多文化国家であり、お互いに察することができないため、自分の意見をはっきり伝える必要があります。ただし、「あんたなんか嫌い」「あなたは間違っている」「なに言っているか分からない」なんて言えば、相手の感情を害することは間違いありません。相手への批判は「すまなさそうに言う」または「ぼかして言う」ことは世界共通の礼儀です。もしそれができていない西洋人がいたら「失礼な奴だ」あるいは「なめられている」と思っていいです。

西洋人は「yes」と「no」をはっきりさせる、というのも日本によくある誤解です。私に言わせれば、むしろ正反対です。教養の高い西洋人ほど、世の中には断定できないことが多いと知っているので、「I think」「maybe」「could be」などの表現を多用します。もしそうでない西洋人がいたら「教養のない奴」か「こちらが見下されている」と思っていいでしょう。

私の経験からいえば、日本人の方が西洋人より遥かに断定口調が多いです。特に、マスコミに出てくる日本のエリート連中です。日本人は「なにを言っているか」ではなく、「誰が言っているか」で発言の良し悪しを判断しがちだからでしょう。この傾向に関しては、「メラビアンの法則」の記事で掘り下げるつもりです。

教養の高い西洋人が断定口調になるときは、断定できないことを断定している奴と話すときです。たとえば、「中国人ってマナー悪いよね」と言ったとしたら、日本人なら「そうだよね」と返す可能性が高いかもしれませが、人種差別発言に敏感なカナダ人なら、まず「中国人だってマナーがいい人もいますよ」と言い返してくるでしょう。また、西洋で「マリファナを吸う人は刑務所に入れるべきだと私は思う」と言えば、「どうしてそう思うの?」と返してくるでしょうが、「マリファナを吸う人は例外なく刑務所に入れるべきだ」と断定口調が強くなると、「それは間違っている」と断定口調で返される可能性は高いでしょう。

なお、私がカナダでうっかり断定口調してしまった経験を「カナダ人は怠け者だ」の記事に書いています。