未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

いつの間に日本はこんな残念な国になったのか

前回の記事の続きです。

中国が日本を追い抜いたもう一つの点は、街中カメラの設置台数です。これにより誰がどこの場所にいるのか瞬時に把握できます。残念なのは、それを報道している日本の記事が次のような切り口になっていることです。

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正確な統計はないものの、「2億台近い監視カメラの普及で犯罪は減り、夜中の一人歩きも安全になった」と書かれています。そこまでメリットがあるにもかかわらず、「日本で中国のような監視社会は無理」と、なんの根拠もなく断定されています。朝日新聞は、このような街中でのカメラの普及は一長一短である、と伝えたいのでしょうか。いえ、「忍び寄る監視社会」という見出しからしても、この記事を読んだ人は、一長二短くらいの印象を持つのではないでしょうか。

前回の記事の信用スコア同様、真面目に誠実に暮らしている人たちにとって、街中の監視カメラを恐れる理由はないはずです。監視カメラを恐れる人たちは、社会道徳に反することをしているはずです。もちろん、戦前の日本のように、憲兵たちが犯罪予防まで干渉するのは問題ですが、監視カメラを怖がりすぎるのも問題です。監視カメラによるプライバシーの侵害よりも、犯罪率の減少の方が、大多数の一般人にとって好ましい効果を持つはずです。監視カメラの普及は、中国でさえ二長一短、日本なら四長一短くらいの制度にできると考えます。

また、公権力による干渉問題を解決するためにも、「日本が世界最高のAI国家になる方法」にも書いたように、全ての街中のカメラの映像は、世界中にネットで公開すればいい、と私は考えます。そうすれば、国家権力の監視という意味が薄れ、犯罪防止にも有効です。このシステムは科学技術的に今すぐに導入可能なので、できるだけ早く導入してもらいたいです。断言しますが、全ての金銭取引と全ての人の位置情報をネット上に瞬時に公開できれば、日本は中国に逆転できます。

前回の記事、そして次の記事も含めての感想ですが、隣国の中国がここまでのスピードで変化しているのに、日本は「変化のスピードが恐ろしく遅い時代」を続けています。本来なら「革新的」であるはずの朝日新聞でさえ、無数のカメラによって全ての人の位置情報を提供できる未来社会について、上のような批判記事を書いています。さらに、朝日新聞は中国について先月6月4日に、1989年の天安門事件の30周年を大きな記事で論じていて、呆れました。

「30年前の天安門事件なんて、日進月歩の現代中国を考える上で、なんの役にも立たない。日本人はいまだに中国人が冷たい食べ物を嫌いなんて、基本的な情報すら知らない。中国人のマナーが劇的に改善していることも知らないし、キャッシュレス社会になって日本が追い抜かれた意識すらない。私はもちろん、あなたでさえ新聞記者になる前の天安門事件を大々的に書くくらいなら、現在中国の変化について記事にして、日本人の中国観を正しくした方がよほど日本全体の利益になる。違いますか?」

そんな風な発言をする気概のある記者は、朝日新聞に一人もいなかったのでしょうか。

中国の変化のスピードに日本人が茫然となっているのなら私も少しは安心できますが、ほとんど日本人はただボケーっとしているように思います。

隣の中国に対してでさえ、そうなのですから、それよりも早いスピードで発展するであろうインドについて、日本人はほとんど無関心のはずです。さらに、21世紀に人口爆発と経済急発展が起こるサハラ以南のアフリカについて、日本人は無知に等しいでしょう。かくいう私も、人類史上最大の人口爆発の起こる国がニジェール(2000年に1000万人だった人口が2015年には2000万人と倍増しており、これが2100年で2億人になる)だと知ったのは、先月です。中国が日本のように人口減少社会を迎える未来を見越し、アフリカで大規模投資をしているのに対して、日本人の多くが日本のマスコミのように「中国はアフリカで人権を無視した政権を援助している」としか考えていないのなら、本当に残念です。