未来社会の道しるべ

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老後に1千万以上の貯蓄の必要性はないし、あるべきでもない

「老後には〇千万円の資金が必要です」という嘘広告はよくあります。これが銀行広告なら預金の宣伝として、まだ許されるのでしょうが、一流新聞の記事でも平気で同じ主張が載っていたりします(日本経済新聞2016年7月20日朝刊など)。

そんな広告を見て、一般の日本人はどう思っているのでしょうか?

(ちょっと待て。3千万円の貯金なんて、できるわけがないだろう! なに? 20%の高齢者は退職金も含めたら、それくらいの貯金があるって? アホか! 高齢者にそんな大金持たせてどうするんだ! オレオレ詐欺のカモになるだけだ!)

(そもそも、1千万以上の資金がないと、まともな老後が送れない社会だとしたら、社会保障制度に問題があると、どうして気づかないんだ! 世の中には、収入も貯金も全くない高齢者だっているんだぞ!)

こんな私みたいな感想を持つ日本人は、やはり少数派なのでしょうか。

福祉先進国・北欧は幻想である 」にも書いた通り、日本の医療・福祉は世界で最も恵まれているようです。これは収入によりません。年金をもらえない生活保護世帯であっても、世界最高水準の日本の医療・福祉を受けられます。そんなことは、医療職や福祉職に就いている人なら、全員知っているはずです。何千万円もの貯金がないと幸せな老後が送れないという広告や記事は真っ赤な嘘ですし、社会道徳的に考えて、嘘であるべきです。

 

※注意 日本の高齢者は恵まれた医療・福祉を受けられるものの、「保証人制度をなくした場合の金利上昇はいくらなのか」に書いた通り、日本は異常なほど保証人制度が浸透している国なので、保証人になってくれる親戚がいないと、引っ越しや施設入居が極めて難しくなる、などの問題が出てきます。この保証人制度のせいで、高齢者本人はもちろん、それを助ける福祉職の方も本当に苦労しています。恵まれない高齢者をさらに理不尽に苦しめているので、この保証人制度は即刻廃止すべきです。