未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

なぜ今日起きてもおかしくない国債デフォルトが起きた時の準備をしないのか

2023年12月15日の朝日新聞の記事の抜粋です。

「国会が開いているにもかかわらず、国会審議がいらない予備費で経費をまかなう事例が相次いでいる。政府が2020~21年度に使い道を決めたコロナ予備費約14兆円のうち4割超が国会開会中の決定だった。政府は緊急性を強調するが、決定から1カ月以上も使われなかったものが3分の2を占める。予備費ではなく、審議が必要な補正予算で対応できたとみられ、国会軽視との批判は免れない」

財政が緩みっ放しの日本も、国会で審議されない予算が数兆円も現れており、末期症状が出てきた気がします。とはいえ、日本の財政危機は「末期症状を呈している」「待ったなしだ」「危険水域を越えた」「今日国債デフォルトが起きてもおかしくない」といった切羽詰まった表現を、バブル崩壊から35年間も聞き続けています。私も含めて、ほとんどの日本人はとっくの昔に慣れてしまっているはずです。

前回までの一連の記事にからめていえば、日本の国債デフォルトの警告は、大地震警告と似ているところがあります。「今日、東京に大地震が起きてもおかしくない」ことは誰でも知っていますが、現実に大地震のために東京を今日逃げ出している人はいないように、「今日、国債デフォルトが起きてもおかしくない」ことは誰でも知っていますが、現実に国債デフォルトのために日本円を今日全く持っていない人はいないはずです。

ただし、両者の重要な違いは、大地震が起きた時にどうすべきかについて行政やマスコミで何回も議論され、莫大な予算もかけて準備されているのですが、国債デフォルトが起きた時にどうすべきかについて行政やマスコミで全く議論されておらず、当然、準備も全くされていない点です。

こうなると、国債デフォルトが大地震よりも日本にとって被害が大きくなると断言したくなりますが、必ずしもそうとも言い切れないと考えます。2001年のアルゼンチン、2015年のギリシアなど、国債デフォルトに陥った国は世界史上、何例もありますが、なんだかんだ、そこまでのパニックは生じておらず、だましだまし、経済を回しているからです。

一方、首都直下型地震は、東海地震東南海地震、南海地震を誘発する可能性があり、さらには富士山の大噴火も誘発する可能性があると地震学者たちは大真面目に予測しています。三大都市圏を直撃するような大地震が連鎖し、富士山まで大噴火すると、この世の終わりのようですが、科学的に十分ありえることは教養ある日本人は全員知っています。

「大地震の連鎖と富士山大噴火」と「国債デフォルト」の被害規模の比較は難しいでしょう。

それにしても、「ここまで増えた国債はどうやっても返せるわけがない。だから、国債デフォルトは必ず起こる」「今日、国債デフォルトが起こってもおかしくない」「国債デフォルトが起こったら日本中がパニックになる」ことを日本人の誰もが知っていながら、国債デフォルトが起きた時の準備を国家としてすべき(個人資産の海外持ち出し禁止など)、と提言する日本人はなぜ(私以外に)一人もいないのでしょうか。私にとって、長年の日本の謎の一つです。

なお、日本の国債デフォルト発生前にすべき準備として、私は「日本が国債デフォルトする前に金銭取引を完全公開しておくべき理由」に書いています。

日本の危機に関して言えば、私にとって、長年の日本の謎が他にもあるので、次の記事に書きます。