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「大地震連鎖と富士山大噴火」と「国債デフォルト」よりも被害が明らかに大きくなる日本のリスク

前回の記事の続きです。

「大地震の連鎖と富士山大噴火」と「国債デフォルト」の被害規模の比較は難しいですが、それ以上に悲惨な状況になる危機を今現在の日本が抱えていることを知っているでしょうか。この問いに日本人の多くが即答できないのなら、それは日本の教育やマスコミの失敗ではないでしょうか。

もちろん、答えは原子力発電所の壊滅的メルトダウンです。

東日本大震災の「最悪のシナリオ」は次のようなものでした。福島第一原発で「全職員が避難する」(「『東京電力全面撤退は誤報である』は誤報である」に書いたようにこれは誤解があります)ほどの状況になれば、当然なら福島第二原発の職員も避難せざるを得ないので、福島にある10基もの原発には何万年も人類が近づけなくなります。東京都心部を含む半径250㎞では防護服を着ないといけないので、事実上、まともな生活はできません。福島原発からそう遠くない、茨城県の東海、東海第二の2基の原発宮城県の女川の3基の原発、さらには新潟県柏崎刈羽の7基の原発も放棄することになるでしょう。柏崎刈羽の7基の原発放棄は、滋賀県の2基の原発放棄にもつながり、福井県若狭湾に集中する13器の原発も放棄することになります。そうなると、常識的に考えて、静岡県にある浜岡の5基の原発も放棄せざるを得ません。つまり、東北地方のほとんど、関東地方、関西地方、近畿地方が全滅し、1万年以上、人が住めなくなります。さらに悪い想定、たとえば日本全ての原発メルトダウンすれば、北海道の一部と沖縄くらいしか、日本人の移住区域は残されません。

繰り返しますが、北海道と西日本だけで日本人が生きていく可能性は、2011年の福島原発事故当時、吉田所長を含めた現場職員首脳部、菅直人首相も含めた日本政府首脳部が本気で心配していた事態です。かつ、今でも福島原発事故で「そうなる可能性があった」「なぜそうならなかったのか不明」と言われる事態です。

もちろん、メルトダウンが起こる原因は、大地震以外でもありえます。軍事的には、北朝鮮のミサイルが一番ありえるでしょうか。また、中国とアメリカの核戦争が起きれば、普通に考えて中国は日本の原発を核ミサイルで狙うので、すぐに日本が滅亡するに違いありません。誰だって、日本を本気で潰すつもりなら、日本の原発を狙います。

このように、日本中の原発は、大地震群発と富士山大噴火、国債デフォルトをしのぐ、文句なしの日本にとって最大最悪のリスク因子です。

原発を考慮に入れた時点で、日本の安全保障問題を考えるのがバカらしくなるくらい、原発は日本の究極のリスク因子です。「日本の安全保障を議論したいなら、日本の原発を全て廃炉にしてからにしましょう」という意見を誰も言わないことは、私にとって長年の日本の謎の一つです。