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日本で女性があまり社会進出していない最大の理由

日本の結婚社会学の第一人者と私が考えている山田昌弘の「結婚不要論」(山田昌弘著、朝日新書)からの引用です。

 

欧米では、男女とも経済的に自立して他人には頼らない。日本で一般的な夫が妻に稼いだお金を全部渡すというのは、あり得ないことなのです。

日本人の女性は、当然のように「結婚したら、夫のお金は私のお金として管理できるはずだ」と思っていますが、欧米では男性も女性も、そういうことはあり得ないと思っています。妻も自分で稼ぐか、夫が自分の稼ぎから自分のこづかいを差し引いて、残った一定額を生活費として渡すことが当たり前なのです。

アメリカのロサンゼルスのマッチング業者は、アメリカ人男性と結婚した日本人女性が驚く典型的な例として、この家計の分離を挙げていました。事前にそうした説明をしていても、トラブルは絶えないそうです。

実は、欧米でフェミニズム運動が強かった要因の一つは、こうした「経済生活の自立」すなわち自分で自由に使えるお金が欲しいという動機があります。逆にいえば、女性が夫の収入を全部コントロールしていることが、日本でフェミニズムがあまり浸透しなかった大きな理由だと思います。

 

「大きな理由」というより、「最大の理由」でしょう。

 

山田昌弘は2006年7月1日の週刊東洋経済で「女性が結婚しないのは高収入の男性を求めるため」と題した記事を投稿しています。「未婚女性が結婚相手に求める年収は、現実の平均年収に比べれば相当高い。このことを10年以上私は言い続けているが、大きく取り上げられることはなかった」「根本的な原因にはメスが入れられず、根本的でない要因のみが強調される。『出会いがない』とか『キャリアが中断される』から少子化か起きると言っていれば、誰からも文句を言われることはない。どうも、日本社会は、本気で少子化対策を進めたいとは思っていないようだ」と書いています。

私も全く同感です。