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摩訶不思議国家インド

「13億人のトイレ」(佐藤大介著、角川新書)は素晴らしい本でした。

私がインドに興味を持つきっかけになった本の一つに「河童が覗いたインド」(妹尾河童著、新潮文庫)があります。その本でもトイレには注目しているように、インドに旅行して、トイレが気にならない人はまずいません。「不潔なトイレでは絶対に用を足さない」という人なら、今でも、インド旅行は不可能か、制限が極めて多いものになります。インドの経済発展とトイレ問題に注目した本は出るべくして出た本だと思います。これからも多くのインド本で、主題とはしないまでも、トイレ問題は出てくるはずです。

中国はアメリカのようだが、インドはヨーロッパのようだ」でも書いたように、インドほど訳の分からない国は、世界中に存在しないと私は確信しています。旧宗主国のイギリスを上回る経済大国になった今でさえ、何億人ものインド人はトイレを使わず、野外で用を足しています。そこまで経済発展したのに、下水はともかく、トイレすら普及していない国は世界中探しても、現在にも過去にも、存在しません。

「トイレも普及していないのに、なぜ携帯電話が普及するのか」「野外でウンチするような人たちが世界で通用するわけがない」「こんな変な国の存在感が増してきたら、世界はどうなってしまうのか」

そんな疑問は考えるべきです。何度も書いていることですが、「中国はこれまでの世界の常識が通用しない」と嘆いている日本人は、インドを知るべきです。インドに比べたら、中国なんて、よほど世界の常識、日本の常識が通用します。

インドは知れば知るほど、訳の分からない国だと思うほど、訳が分からない国だと私は考えていますが、当然、より広く深く知っている方が、インドを理解でき、インド人ともつき合いやすくなるはずです。

次の記事から、「13億人のトイレ」の内容を示しながら、インドの実像を少しでも明らかにしていきます。