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ガソリン価格減額補助金3兆円は博報堂が分配

国家支出で、つまり税金で、燃料油価格激変基金が3兆円もある、と今朝の朝日新聞で知り、驚きました。現在の日本の国家予算は110兆円程度で、年間3兆円以上の売上のある企業となると、日本に50ほどしかありません。利益が年間3兆円もある企業など、日本に一つもありません。それほどの大金が、ガソリン価格の値下げのために、1年半程度で使われているそうです。

経済産業省資源エネルギー庁のHPによると、「小売価格の高騰を避けるため」らしいです(一方で「価格を引き下げる制度ではありません」と書いているので、意味不明です)が、日本はデフレ脱却に20年以上も戦ってきたのですから、インフレを抑制することはないでしょう。それに、ガソリン値下げは車を持つ富裕者に恩恵があります。インフレで最も苦しむ貧困者へ補助金を出すのなら分かりますが、車を持つ富裕者に3兆円もの莫大な補助金を出す理由が分かりません。日本の年間の生活保護費の総額は約4兆円です。生活保護費のほぼ半分は医療扶助、つまり生活保護受給者の手に渡らない金なので、年間3兆円もあれば、生活保護受給者の手に入る金額を倍増できます。

しかも、その3兆円の公共事業を博報堂に丸投げしているのです。博報堂とは日本で2番手の広告代理店です。石油精製企業でもなく、石油輸入企業でもなく、ガソリンスタンド企業でもありません。新聞やテレビやネットの広告を作っている企業であり、はっきり言って、石油とは全く関係はありません。そんな企業がガソリンの値下げをどうやって実現できるのでしょうか。

結論を言えば、できるわけがありません。博報堂が、各ガソリンスタンド企業に3兆円の補助金を配って、実現させているのです。

当たり前ですが、本来、それは博報堂ではなく、公的機関の仕事です。不正受給がないように監督しなければならないからです。経済産業省が直接、各ガソリンスタンドに3兆円の補助金を配分すべきであり、博報堂が間に入るべきではありません。

しかし、現実には、経済産業省とガソリンスタンド企業の間に博報堂があり、さらに経済産業省博報堂の間に、全国石油協会という一般社団法人まであります。全国石油協会がなにをしているのかはよく知りませんが、経済産業省天下り機関であることは容易に想像できます。つまり、ガソリン値下げのための3兆円の税金は全国石油協会と博報堂ピンハネ(中抜き)されているわけです。

さらに、このような税金のピンハネ不正は、なにもガソリン値下げに限らないことが朝日新聞に示されています。中小企業等事業再構築促進の5800億円の補助金は、中小企業基盤整備機構という独立行政法人ピンハネされた後、竹中平蔵が会長を務めたパソナでもピンハネされて、各中小企業に分配されたようです。他、ワクチン生産体制強化の1000億円の補助金、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の753億円の補助金、中小企業イノベーション創出推進の700億円の補助金でも、同様の2段階ピンハネが行われ、民間企業が配分しています。

2021年にコロナ対策の持続化給付金で社団法人が広告代理店最大手の電通に事業を丸投げした問題を契機に、10億円以上の事業について、「事業全体の企画・立案、根幹に関わる執行管理」の外注を禁止しました。しかし、経済産業省は「(補助金が)経由する社団法人や独立行政法人の業務は資金管理だから、それ以外の業務を外注しても、規定違反ではない」と説明し、早くも上記の「外注禁止」は骨抜きになっているそうです。

それにしても、民間企業が税金配分まで決めるなど、ありえませんし、あるべきでもありません。民間企業には、情報公開法や収賄罪は適用されないからです。

合法だから問題ないとするのではなく、もっと多くの国民が知るべき大問題だと考えたので、記事にしておきます。