私は福祉について人並み以上に勉強しており、里親制度(親権を持たずに子どもを育てる制度)について知っているつもりでしたが、里親になると月15万円も補助金がもらえるとは知りませんでした。
「児童養護施設施設長殺害事件」(大藪謙介、間野まりえ著、中公新書ラクレ)によると、「養育費約5~6万/月」がもらえると知っていた人は1.9%、「養育費とは別に里親手当9万円/月」を知っていた人は1.2%、「2ヶ月などの短期間でもできること」を知っていた人は2.6%です。これは里親になってみたい人たちに対する日本財団調査の認知度なので、一般の人たちだと、認知度はさらに下がるはずです。さらに、こちらのHPによると、医療費、幼稚園費、教材費、通学費、給食費(小学、中学)は全額公費、中学時代だけとはいえ塾費用と部活費用も全額公費、教材費とは別に学用品として小学生2000円/月、中学生4000円/月で高校生は特別育成費として公立2万円/月、私立3万円/月、入学金として小学生4万円、中学生5万円、高校生で6万円、修学旅行費は小学校で2万円、中学校で6万円、高校生11万円という大盤振舞です。県や市町村によって支給金額は多少異なり、ここ10~20年間ほどで里親への補助金は大幅に上昇したようです。ここまで大金だと、金銭目的で里親になる人も出てきそうで、そんな心配の声もネットにありますが、実体は、日本の里親普及率は他の先進国と比べて、極めて低いです。
厚生労働省「社会的養護の現状について2014年3月」によると、里親率はオーストラリア93.5%、アメリカ77%、イギリス71.7%、イタリア49.5%、韓国43.6%であるに対し、日本では14.8%です(ただし、2019年調査で最高の新潟市60.4%から最低の熊本県12.2%と大きく差がある)。日本で実親が育てられない子のほとんどは児童養護施設などで集団生活しています。しかし、集団生活している子よりも、里親や養子などで育てられた子の方が大学進学率は遥かに高く、犯罪率は遥かに低いと統計で分かっているので、国としては里親をできるだけ増やそうとしています。だからこそ、里親補助金も増額し続けているのでしょう。
なお、wikipediaの里親には「東京都では児童養育の経験があること、又は保健師、看護師、保育士等の資格を有していることなどの全ての項目を満たさなくては里親になれない」という情報がいまだにありますが、数年前に東京都も「児童養育の経験があること」や「保健師、看護師、保育士等の資格を有していること」なんてバカな規制は撤廃しています。
日本には女性の高齢結婚が増えていますし、男女とも未婚率も高くなっています。超高齢社会になって、金はあるが、やりがいを見つけられない高齢者も増えています。この記事を見るような人たちは子育てと教育能力もそこそこあると思うので、金銭目的でもいいので、里親になってみてはどうでしょうか。