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ポピュリスト支持者の本当の敵であるグローバリズムの弊害の解決方法

21世紀の現在、資本主義経済は地球規模で急速に浸透しており、世界中で貧困層が急激に富を得ています。発展途上国から安価な商品が入ってくることで、相対的に賃金の高い国の人たちは職を失っています。このため、多くの先進国で外国人排斥を唱えるポピュリスト政治家が台頭し、問題になっています。

私が指摘するまでもないでしょうが、ポピュリスト支持者は明らかに敵を間違っています。国内の外国人を排斥したところで、安い外国商品が入ってくれば彼らの仕事は脅かされますし、安い外国商品の輸入規制をしても、国内の消費者が高い商品を買うだけです。彼らの本当の敵は、グローバリズム経済によって莫大な富を理不尽に蓄積しているごく一部の富裕層でしょう。敵を正しく認識できないため、資本主義の権化であるトランプがグローバリズムを批判して大統領に選ばれる、なんて喜劇のような事実が生まれています。

2016年にパナマ文書が公開され、世界中の上流階級の人たちが事実上の脱税をしている証拠が出てきました。本来なら最も多く税を納めるべき上流階級が脱税しているなど言語道断なのですが、「タックス・ヘイブン」(志賀櫻著、岩波新書)を読めば分かる通り、こんな不正がまかり通っていることは知識人なら昔から知っていることでした。

上記の書にあるように、リーマンショックの反省から、この最悪と言っていい不正の対策は少しずつ進んでいるようです。世界中の先進国の中間層が、それこそポピュリスト政治家を支持した熱烈さでタックス・ヘイブンを批判すれば、来年にでもこの問題は解決するでしょう。しかし、「共産主義が失敗した思想的理由」にも書いた過ち、弱い者たちがさらに弱い者をいじめ、強者になびいてしまう過ちをいまだ人類は犯しているようです。戦争と並んで、現代社会のバカの極みです。

この問題を解決する最も単純な方法は、世界中のあらゆる金銭取引を1セントに至るまで、ネット上に公開することです。これは「日本が世界最高のAI国家になる方法」で私が述べた方法と同じです。簡単ではありませんが、この金銭取引公開はいずれ必ず実現すると私は予想します。100年後の人たちが現在を振り返ると、タックス・ヘイブンでのあからさまな不正がこんなコンピュータ時代にまで蔓延している現象が信じられないはずです。

医療でも正しい診断ができれば、8割程度問題は解決したようなものです。同様に金銭取引を完全公開できれば、資本主義の宿命とも言える貧富の格差問題は8割程度解決するでしょう。