カントの「実践理性批判」は、道徳法則について書かれています。もっとくだけていえば、「人はどう生きるべきか」について書かれています。
カントによると、道徳法則とは「格率(するべき行為)」に従うことです。もっとも、「するべき行為」は明確ではありません。さらに言えば、時代や場所によって変わってきます。とはいえ、一般論として、社会に普遍的な「するべき行為」(≒義務)をしている人は道徳的に好ましいでしょう。
快楽に向かうのではなく、義務に向かう自由意思を持つ我々人間は自然から独立した「人格」を持ちます。道徳法則に反する行為をしてしまう人間もいますが、そんな人間でも人格(良心)を持っています。
確かに、どんな悪人でも良心を持っていることは、私の経験上、正しいです。だから、カントによると、人間は全て尊重しなければなりません。
カントの「永遠平和のために」は、人類最大の悪である戦争をなくすためにどうすればいいかを書いています。社会はどうあるべきかについて書いているとも言えるでしょう。
ここで「常備軍を持たない」「他の国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない」「全ての国は共和制でなければならない」「国際法を制定すべきである」「国際連盟の枠組みを作るべき」とカントは主張しています。カントの提言した「国際連盟」が実現したのは1920年なので、カントは125年も時代を先取りしていたわけです。
SF作家は科学の未来を予見している、という考えがあります。実際、SF作家ジュール・ベルヌの創作「月面旅行」に感動した科学者フォン・ブラウンが、本当に月面旅行を実現させたのは世界史的事実です。
それにならっていえば、カントのような哲学者は社会の未来を予見しているようです。新しい思想、新しい社会制度は、まず哲学者が予見して、政治家がそれを実現させることもあります。