未来社会の道しるべ

新しい社会を切り開く視点の提供

なぜ第三次ベビーブームは起きなかったのか

性犯罪推移

上のグラフにあるように、なぜか平成10年(1998年)頃から強制わいせつが激増しています。この時期に強制わいせつ防止対策基本法でも成立したのでしょうか。

いえ、そんな事実はありません。強制性交等罪が成立したのは2017年ですし、なにかと問題視される不同意性交等罪ができたのは2023年です。

いくつかの公的文献を調べてみても、1998年頃から強制わいせつが「なぜ増えたか?」については一切触れていません。「なぜ増えたか不明」と答えるのではなく、「なぜ増えたか?」について考えていない、書かれていないのです。「増えた事実」はさすがに書きますが、「増えた理由」はなぜか考察されていないのです。奇妙奇天烈としか言いようがありませんが、だいたい、その理由も予想できます。

下のグラフを見てください。

性犯罪内訳の推移

強姦も強制わいせつも「親族」や「面識あり」が一貫して増加傾向です。「親族」や「面識あり」が増加しているのは、これまで犯罪としなかった親族間や知人間の性犯罪が立件されるようになったからです。ここでは数として多い「面識あり」を特に問題視します。

「面識なし」で性行為や痴漢行為があれば、誰だって強姦や強制わいせつと判断します。しかし、「面識あり」で性行為や痴漢行為があった場合、どこで強姦や強制わいせつでないか、判断するのでしょうか。

法律で読む限り、明確に書かれていないので、裁判官が総合的かつ道徳的に判断するのでしょう。ですが、1998年頃に「強制わいせつ激増」につながる特別な判例は見つけられませんでした。ここから導かれる結論は、1998年頃から強制わいせつが激増した理由は、「それまで見逃されていた『強制わいせつ』が起訴されるようになった、女性側が訴えるようになった」になります。

訴えたら、だいたい女性が勝ち、男性が負けます。「訴えるくらいなんだから、女性は嫌がっていたんだろう」という理屈です。悪徳弁護士が金儲けのために女性に訴訟を勧めることもあるのですが(強制わいせつ訴訟ではなく離婚裁判ではありますが、私は元妻からそれをやられました)、そんな悪徳弁護士がいることを前提として判決が出ることは、あまりなかったようです。つまり「言った者勝ち」の状態が現在まで続いています。

なお、司法試験合格者は何十年間も年間約500人と決まっていたのに、1990年代から増加に転じて1999年には年間1000人を越えており、現在まで続く弁護士過剰問題が発生しています。「強制わいせつ激増」の本当の理由は「弁護士過剰」「日本になじまない訴訟社会の導入」と断定してもいいかもしれません。

常識で考えれば分かると思いますが、わずか3年で強制わいせつが「本当に倍増」していたのなら、この頃、確実に大きなニュースになっています。「夜も女性が一人で歩ける日本の安全神話は崩壊した」と世界中に喧伝されていたかもしれません。しかし、同時代を生きた日本人なら知っている通り、そんなニュース報道は全くありませんでした。だから、この公式統計を作った人も、考察した人も、教えられたマスコミ各社も「強制わいせつは日本で現実として増えていない、場合によっては減っている可能性もあるが、統計上は激増してしまっている」事実を知っていたに違いありません。

この現象が草食系男子の増加につながらない、少子化につながらない理屈があれば、下のコメント欄に書いてもらえると助かります。

そういえば、第三次ベビーブームは1998年から2003年に起こるはずでした。まさにこの「強制わいせつ激増」と時期が一致しています。ここ30年ほどの日本の政治・経済・文化の全てにおいて最大の社会問題である「少子化」の最大の原因は経済不況ですが、二番目の原因は「強制わいせつ言った者勝ち文化の普及」なのではないでしょうか。

それで、1998年頃から強制わいせつが「なぜ増えたか?」について考察されていない理由はなんでしょうか。もちろん、上記のような事実、つまり「日本で強制わいせつは実際のところ全く増えていないのに、あるいは減っていたかもしれないのに、『言った者勝ち』が激増したため強制わいせつ件数としては激増してしまった事実」は公式文書で明言しづらかったからです。

だから、私がこのブログで明言しました。

公式文書を作成した方も勇気を持って、その事実を明言すべきだったと私は考えます。万一、公式文書を作成した方がその事実に気づいてすらいなかったのなら、知性が低すぎます。勇気の欠乏にしろ、知性の欠乏にしろ、公式文書を作成した方は公務員として失格だったのではないでしょうか。