2024年12月3日の韓国戒厳令は世界に衝撃を与えました。
その意味を十分理解している人は、当時、戒厳令を出した尹錫悦大統領を含め、誰もいませんでした。
戒厳令が出た当初は「韓国でも訳が分からない」という情報しか入ってきませんでした。
事実の確認をします。
12月3日22時、韓国で44年ぶりの戒厳令が発せられます。その理由は「反国家勢力」にあるとされました。
反国家勢力? 千人くらいの北朝鮮の精鋭特殊部隊が国会を占拠したのでしょうか?
いいえ、違います。「反国家勢力」とは「野党」のことでした。特に最大野党の「共に民主党」です。
(野党が反国家勢力だって! なるほど! 野党が軍を懐柔して、クーデターを起こしたのか! やばい! 韓国、大変なことになったぞ! 内戦突入か? その間、北朝鮮が攻めてきたら、どうするつもりだ? 日本に影響はないのか?)
普通なら、そう考えます。
しかし、事実は全く違います。
国会で野党が圧倒的多数派で、与党の法案が全く通らないので、逆ギレした大統領の尹錫悦が戒厳令を発したのです。
(は? え? ちょっと、ごめんなさい。意味が分かりません)
韓国人も含めて、世界中の人がそう考えました。
(国会で野党が多ければ、与党の法案が通らないのは当たり前でしょ。次の選挙で勝つしかないよ。なに戒厳令なんか出しているの? 戒厳令出した尹錫悦って大統領でしょ? 韓国の大統領ってバカなの? それともワガママなの?)
誰もがそう考えました。同時に、誰もが半信半疑でもありました。
(いくらなんでも、そんなバカな話はない。アフリカの独裁国家ならともかく、韓国は民政移行して37年もたっている。経済的にも日本を追い越すほどの先進国だ。なにかの間違いだろう)
事実経過を追います。
「野党が反国家勢力なんて、ふざけるのもいいかげんにしろ!」
激怒した野党国会議員たちが国会に集まり、12月4日午前0時頃、戒厳令解除要求決議を出します。
この時、国会に280人の兵士が突入していますが、決議を止めることはできませんでした。というのも、兵士たちも事情がよく分かっていなかったからです。いえ、むしろ兵士たちですら戒厳令に反対でした。
(なんで44年ぶりに戒厳令なんか出たんだ? 軍政に戻す気か?)
(野党が反国家勢力って、意味が分からない)
(こんなくだらない理由で戒厳令出すな!)
ほとんどの兵士はそう考えていたようで、国会審議を実力で止めようとはしませんでした。
12月4日午前4時には、軍や国民の支持が全くと言っていいほどないことを自覚した閣僚たちが戒厳令を解除します。戒厳令はわずか6時間で解除され、実質的に尹錫悦の自爆で終わる結果になりました。
(なんだ、このグダグダな政治は? 普通、戒厳令出すなら、軍に根回ししたり、国会を実力で封鎖したり、事前準備をするもんじゃないのか? 呆れるほど無様な失敗だよ。これじゃ、思いつきで戒厳令を出したとしか思えない。尹錫悦大統領はガチのバカなの? ソウル大学卒で検察総長まで務めたエリートじゃなかったっけ?)
国会で野党にイジメられ、与党内でも権力基盤が弱い尹錫悦は、唯一自分の味方をしてくれる極右you tuberの動画に没頭してしまい、極右you tuberが訴える「全ては北朝鮮のしわざ」との陰謀論に飛びつき、戒厳令を出してしまった……といった説がまことしやかにマスコミで(SNS発信ではなく!)流れたりもしました。実際、そうとしか思えないほど、戒厳令を巡るドタバタは滑稽でした。
その後、韓国史上初めて大統領に内乱罪が適用され、12月14日には国会の弾劾決議可決で、尹錫悦の大統領職務が停止され、2025年4月4日には正式に大統領を罷免されます。罷免された大統領は朴槿恵に次いで2人目です。
さて、ここまでの情報なら「尹錫悦は韓国史上最低最悪のバカでワガママな大統領だった」なのですが、「尹錫悦は韓国史上最高の知性と最高の倫理観を持つ大統領だった」との説も有力です。先走って書きますが、私は前者より後者が遥かに正しいと信じています。つまり私は尹錫悦支持者です。
いえ、もっとはっきり書きます。私は尹錫悦を尊敬しています。尹錫悦は天才で、韓国を救えた英雄です。
その英雄をなに拘束・逮捕・起訴しているんですか!
これはソクラテスを死刑に追い込んだ裁判と同じくらいバカげた処分です。世界史上の汚点です!
そう考える理由を次の記事に示します。