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和歌山毒物カレー事件は冤罪だが林眞須美は一生社会に出るべきでない

多くの方が指摘しているように、和歌山毒物カレー事件は冤罪の可能性が高いでしょう。飯塚女児殺害事件の記事でも書いた日本の冤罪事件の4つの特徴が全て満たされています。

1,警察が見込み捜査をしていた

2,マスコミも見込み捜査が正しいとの前提で報道していた

3,決定的な物証のSpring-8の検査に重大な瑕疵があった

4,既に十分に捜査したはずの犯人宅から物証が突如発見された

少なくともアメリカの裁判所であれば、疑わしくは被告人の利益の原則から、まず有罪にはならなかったはずです。だから、林眞須美の死刑判決は不当なのですが、林眞須美は一生刑務所にいる方が社会のために有益だと私は考えています。

和歌山毒物カレー事件が冤罪である証拠は「毒婦」(田中ひかる著、ビジネス社)にだいたい書かれているので、この記事ではこれ以上書きません。なお、他の冤罪主張本と同様、「検察は本人を有罪にするための証拠はいくらでも出すのに、無罪にするための証拠は一切出さない」と批判するのに、この本は、本人を無罪にするための根拠はいくらでも書いているのに、有罪にするための根拠はほとんど書いていません。

だから、上記の本は、林眞須美ひいきで間違いありませんが、その本の記述だけでも、林眞須美が社会にいるべきでないと証明できると私は考えています。

林眞須美自身も認める罪として、保険金詐欺事件があります。検察が主張した林眞須美の毒盛り事件は23件あり、裁判所で林眞須美に罪があると確定した事件で、保険金詐欺事件4件と殺人未遂事件3件あります。林夫妻が受け取った保険金は、林健司(林眞須美の夫)が認めた分だけでも合計8億円にも及びます。本によると、元従業員のMは林夫妻の保険金詐欺の共犯者で、ヒ素中毒に自ら陥って、保険金50000万円を林夫妻と折半しています。Mに対して、林健司は「ええか。高度障害という、死亡時と同額もらえる保険があるんや。これは医者の診断書次第で満額かゼロや。勝負かかっとんのや。高い入院費も払えず、今後の生活の目途もつかない、と困っている表情で担当医に訴えろ。検温や回診の時は、絶対にニコニコ笑うな」と演技指導していたそうです。林夫妻は保険金詐欺で得たお金で事件当時働きもせず、豪邸に住んで、豪遊していました。

裁判で有罪となったのは林健司が認める保険金詐欺総額の5分の1の1億6千万円だけで、林健司はこのため懲役6年です。林健司自らが認める通り、軽すぎます。本来の被害額で単純に比例計算して、この5倍は懲役刑を受けるべきだったと考えます。林健司は2005年には出所していますが、林眞須美は死刑執行こそされていないものの、今も拘置所の中にいます。保険金詐欺は明らかに林健司が主犯で林眞須美が従犯なので、和歌山毒物カレー事件が冤罪だと仮定するなら、林夫妻のいるべき場所は本来逆であるべきだったでしょう。

林眞須美(林健司もですが)が社会にいるべきでない根拠をさらに示します。林健司は自宅豪邸内に麻雀部屋を作り、仲間を呼んでは一晩中騒々しく麻雀をしていて、近隣住民に騒音被害を与えていました。また、林眞須美は日常的に家の裏を流れる用水路にゴミを違法投棄していました。さらに、林夫婦自らは平気で不法駐車しておきながら、他人が路上駐車をしていると、脇を通れるにもかかわらず、わざとクラクションを鳴らしていました。本によると、「近所迷惑の限りを尽くしていた」そうです。

林家が引っ越してくる前、その豪邸には暴力団幹部が住んでいたことから、住民たちの多くは林健司も暴力団関係者だと考えていました。そのため林家に苦情を言いたくても直接言えず、自治会長に苦情が殺到しています。

林眞須美は自ら「裕福な家庭で何不自由なく育ったワガママ娘」と認めています。林眞須美は林健司と結婚のため、看護学校を卒業直前に辞めますが、看護師になろうと思ったのは人助けをしたいからではなく、母が「医者と結婚させるため」だったので、林眞須美の母も倫理観にかなり問題があります。

林眞須美は逮捕前の写真や映像が山のように残っています。その理由は、林夫妻が「目立ちたがり屋」だったからです。地域のほぼ全ての家族が強引なマスコミ取材を拒否したのに、林夫妻だけは嬉々としてマスコミ取材に応じていました。約束違反やマナー違反をするマスコミも多かったのですが、林夫妻は他の地域住民のマナー違反には厳しいくせに、マスコミ各社のマナー違反は大目に見て、妙に優しく接していました。理不尽に犯人扱いされてからは、さすがに林夫妻もマスコミに怒り出し、夫妻の悪態はマスコミの記録に残っています。私を含む多くの一般人は、林夫妻がマスコミと当初から敵対的だと誤解していたでしょうが、当初は奇妙なほど友好的な関係を築いていました。

このように、林眞須美は極めて自己中心で、他人の気持ちを考えるのが苦手です。林眞須美の長女は、殺人犯の娘となったせいで、就職や結婚で苦労しました。交際相手の家族が興信所を使って素性を調べて、林眞須美の娘との結婚に反対したりしました。だから、長女は交際相手の家族を変に刺激しないように、眞須美に手紙を書くな、と念を押したにもかかわらず、林眞須美は無視して、2度も手紙を書きます。この心労のせいか、長女は予定日より2か月も早く出産し、1200gの未熟児は保育器に入れられます。眞須美の無実を信じ、事件後も眞須美と友好関係を保っていた長女も、さすがにこの件で怒り心頭に達し、「あんた、ほんまに私の親なん? 学歴でしか人を判断できんバカ親やもんな。顔も二度と見たくないわ。私はこれでほんまに、あんたを一生許さへんから」との手紙を送りました。2021年、この長女はこの時の子どもを16才で虐待死させた後、自殺しています。長女の夫によると、子どもだけでなく、夫にも長女は暴力を振るっていたようです。

林夫妻は子どもを甘やかしすぎて、親としても落第だったと確信します。たとえば、林眞須美は三女にピアノを習わせていました。発表会の日は美容院で髪をアップに結い、結婚式用の取れないメイクをほどこし、ピアノ演奏、歌、踊り、集合写真と3回も着替えさせました。保育園の運動会で一番注目を浴びるのがバトンガールなのですが、三女にその役をさせるため、3才からバトンクラブに入れ、小学校高学年の子どもたちと一緒に練習させました。

上記の本では、この眞須美の異常な甘やかしぶりを書いた後、こんな記述で締めくくっています。

「眞須美は、どこにでもいる過保護で見栄っ張りな母親だった」

こんな母が、日本中、どこにでもいるのでしょうか。

もしその通りなら、だからこそ、日本はダメなのでしょう。だからこそ、何十年たっても、女性の社会進出も国際平均から大きく遅れているのでしょう。

間違いないのは、こんな母が仮に日本中のどこにでもいたとしても、働きもせず、保険金詐欺で得た金で、娘に贅沢させる母は、近所迷惑の限りを尽くす母は、道徳的に許されるべきでない、社会にいるべきでないことです。

調べてみると、著者は四流私立大学卒の作家です。こんな恵まれた地位を得られる人は日本人の1%未満です。自分自身がこのように甘やかされて育ってきたか、周りにそんな人が多いから、「どこにでもいる母」と勘違いするのでしょう。日本人の世帯平均年収は550万円であることを誰かこの著者に教えてあげてください。もちろん、まだ3才の子がいる若い両親の家庭なら、もっと低くなります。たかが保育園の行事で目立ちたいがためだけに、わずか3才の子を専門クラブに入れるほど経済的に余裕がある親など例外中の例外です。

上記の林眞須美の長女による虐待殺人と自殺事件は、マスコミが生んだ社会的差別による側面もあるでしょうが、林眞須美の育て方が間違っていた側面も小さくないと考えます。子育てさせるべきでない道徳観の崩壊した親が子どもを持ってしまうケースは、林眞須美に限らず、日本に山のようにあるので、「家庭支援相談員」や「子ども集団生活施設」の制度は必要だと考えます。

林眞須美が刑務所や拘置所にいると、社会全体に有益となる理由も書いておきます。

林眞須美は子どもへの手紙に「マスコミで(林眞須美が)『自殺図る』とかやっていたらしいね。アホちゃうか。このあつかましい女が自殺なんかするかいな」と書くほど図太い奴です。その気力で、自身のいる大阪拘置所の処遇などに対して国家賠償請求訴訟を起こし、これまで30件以上の勝訴を重ねています。

具体的には、「以前は認められていた日用品や絵葉書、靴下やカイロなどの差し入れを禁止されたことを不当として訴え、解禁を勝ち取った」そうです。刑務所や拘置所は、公的施設の中で、最も生活環境が劣悪になりやすい場所です。逆に言えば、受刑者の生活環境改善は、国民全員の生活環境改善の底上げになります。多くの受刑者は、刑務所や拘置所の生活環境改善をする知力も精神力もないのですが、保険金詐欺で8億円も荒稼ぎした林眞須美にはそれらの能力があるようです。林眞須美は一般社会の中にいると、他人に迷惑の限りを尽くしますが、拘置所の中では国民生活全体の底上げしてくれるようです。林眞須美に拘置所は、適材適所なのかもしれません。

ところで、以上の全てを勘案しても、和歌山毒物カレー事件が冤罪であれば、他の罪人の受ける罰と比べて、林眞須美がずっと社会に出られない罰は重過ぎる、との批判はあるでしょう。上記のように、夫の林健司が林眞須美よりも早く出所しているのは不適切と私は考えるので、その意見は私も同意します。

私が最も妥当だと考える林眞須美への処遇は、和歌山毒物カレー事件は理性に沿って無罪として、保険金詐欺事件で懲役15年くらいにすることでしょう。ただし、「福田孝行と門田隆将の死刑観の違い」に書いたように、私は懲役刑延長制度を導入すべきと考えています。もし林眞須美の懲役刑が満了になっても、林眞須美の倫理観が現在の林眞須美程度なら、林眞須美への懲役刑は延長すべきだと考えます。つまり、林眞須美が現状の道徳観と気力の持ち主なら、一生、懲役刑を受けることになり、処遇改善の要求を繰り返して、日本人全体の生活環境の底上げをすることになります。