未来社会の道しるべ

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3K職場でも喜んで残業してくれる外国人労働者は日本の救世主である

前回までの記事で、マスコミ記者が介護制度の基本知識すらないまま介護殺人を感情的に報道していることを嘆きました。その記者たちの弁護をすると、日本の介護制度は1日や2日で全体像を把握できるほど単純ではありません。まして、外国の介護制度と比較して、日本の介護で生じている問題の解決策を提案するとなると、基本知識を共有した記者たちが複数人体制で半年程度は取材しないと無理でしょう。毎日新聞NHKも「複数人体制で半年程度は取材」したようですが、「基本知識の共有」すら十分できないまま終わっています。逆にいえば、介護経験ゼロのマスコミの記者たちが半年頑張って取材しても、基本知識の共有すらできずに、感情的な報道しかできないほど、日本の介護制度は複雑です。

介護制度同様、「ルポ技能実習生」(澤田晃宏著、ちくま新書)の著者が認めているように、外国人労働者制度も一冊の本ができるほど複雑です。知識ゼロのマスコミ記者による「外国人労働者が劣悪な環境で働かされて可哀そうだ」という感情的な報道ばかりが注目されていますが、問題の本質はそこにはありません。そんな感情的な報道しか知らない日本人にとっては、「ほとんどのベトナム人労働者は残業が多い仕事を好む」事実を正しく理解できないはずです。

出稼ぎ目的の外国人が日本で実習生と留学生になる理由」からの一連の記事にも書きましたが、「日本人が嫌がる仕事を、安い賃金で外国人にさせるのは道徳的に許されない」との考えを私はほとんど持っていません。ほぼ全ての先進国はそれを実行していますし、発展途上国の人たちもそれを承知で、喜んで出稼ぎに来ています。一連の記事に書いたように、問題の本質はそこではなく、「外国人労働者最低賃金しか受け取っていないのに、経営者はその数割増しの実質賃金を払っていること」「汚職のせいで、外国人労働者たちが不必要な渡航費を払っていること」「優秀な外国人労働者が他国にとられていること」「日本の労働不足を補うほど外国人労働者が来てもらえる制度になっていないこと」になります。

外国人労働者最低賃金しか受け取っていないのに、経営者は最低賃金以上のお金を払っている」理由は、既に「外国人実習生からピンハネする官僚たち」に書きました。他の問題については、これからの記事に書いていくつもりですが、まず大前提として、ほとんどのベトナム人が日本で成功している統計事実を示します。