未来社会の道しるべ

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生活保護を現物給付にする

日本の公的医療保険と公的介護保険は、現物給付です。病気になったら、介護の必要が出てきたら、お金がもらえるのではなく、治療や介護を格安で受けられる制度です。

他の全ての社会保障も現物給付にした方が好ましいのではないでしょうか。

たとえば、収入の少ない人のための公的扶助、つまり生活保護は現在のように現金給付ではなく、次のような食事給付、住居給付に変えた方がいいように思います。

生活保護を受ける方は、そのための集団住宅で生活します。もともと一人世帯の生活保護者であれば、風呂とトイレは共同になります。集団施設内では健康的な給食を決まった時間に集団で摂ります。この集団住宅施設には給食を作るなどの介護者だけでなく「一人の取りこぼしもない社会」にも書いたような人的支援者(ソーシャルワーカー生活指導員)が常勤で働き、そこでの生活者たちの社会復帰を支援します。生活保護者の医療費や授業料や通勤通学の定期代は無料になりますが(医療費は現在でも無料です)、原則、自由に使えるお金は一切支給されません。衣服は、施設利用者が衣料品店で選んだ現物を無料で受け取り、後で衣料品店に当該衣服費が支給されるシステムになります。ただし、一人の利用者が無料で受け取れる衣服の総額は制限があります。石鹸やシャンプーや歯ブラシなどの衛生用品、各種洗剤、文房具などの消耗品は施設内の物を借りて使用します。施設にある簡単な娯楽(集団でのテレビ、カードゲーム、ボードゲーム、卓球などのスポーツ器具、たまのカラオケ)以外の全ての娯楽は制限されます。

この第一のメリットは、現在よりも生活保護者の生活費用が安くすませられることです。一人一人が別の世帯として暮らすよりも、大人数が一つの施設で暮らす方が何割も安上がりです。もちろん、こういった施設を作るために当初の費用は高くなりますが、維持費は安くなります。その分、人的支援に費用をかけられます。

第二のメリットは、生活保護者を堕落させず、健康的な生活を提供でき、社会復帰を今より遥かに促進できることでしょう。パチンコなどのギャンブルはできませんし、テレビゲームもできません。食事はジャンクフードを一切出さず、健康に配慮したものになります。今の病院食の2倍は費用をかけて、「生活保護の集団施設は健康的で多様な食事を提供する代表的な場所である」と思われる程度にはしてほしいです。就寝時間は決まっていませんが、起床時間は決まっており、特別な理由がなければ、その時間に起こされます。昼寝は原則禁止です。場合によっては、以上のようなルールを守らせる生活指導員ソーシャルワーカーの他にいた方がいいかもしれません。

以前私が提案した「子ども集団生活施設」同様に集団生活保護施設ごとに特性があるべきで、利用者はソーシャルワーカーと合意すれば、別の集団生活施設へ転居することもできます。

施設常勤のソーシャルワーカーは利用者が無為な毎日を過ごすことがないように、就職活動や作業所参加や文化的活動(図書館の利用など)を促します。ソーシャルワーカーは利用者の多種多様な相談に応じ、利用者に合わせた社会復帰の方法を一緒に考えていき、毎日の過ごし方も利用者と計画していきます。ソーシャルワーカーには大きな権限が与えられ、例えば、ソーシャルワーカーの提案した就職斡旋所に何日も行かないで悪い友だちと遊んでばかりいることが判明すれば、その利用者の外出を禁止する権限を持たせていいと思います。

ただし、これだけだと、ただでさえ息抜きが必要な利用者の自由を制限しすぎるので、以下のような一定の金額の入ったプリペイドカードはソーシャルワーカーの許可の元、利用者に持たせていいと思います。

このプリペイドカードは、クレジットカードと同様、日本のほぼ全ての場所で使えますが、使用記録が残ります。ソーシャルワーカーが社会復帰に適切と判断すれば、利用者はそのプリペイドカードでパチンコを楽しむこともできますが、パチンコのために使うとソーシャルワーカーと合意していなかったのに、利用者がパチンコをしていたら、翌月からプリペイドカードの利用を禁止されるか、利用金額を減額されます。

このような生活保護制度が確立されたら、失業給付は解消していいはずです。医療や介護同様、生活保護も現物給付が本人にとっても社会全体にとっても効果的だと考えますし、効果的にできると考えます。